ラスボス化の進むヒョードル

 起きるとそこは荷物まみれの部屋だった。
 ぐったりする。
 早く人間の住める部屋にしなければと思う。

 『ソフィーの世界』は小金井図書館で借りていたので、再読が終わる前に返却してしまった。
 4分の3ほど読んでおり、残りをさっさと読んでしまいたいのだが、赤坂の図書館には置いていない。
 かといって古本屋でわざわざ買うわけにはいかない。
 金の問題じゃない。場所の問題だ。
 買って読んだものを簡単に捨てられるなら、引っ越しの時にあんなに苦労してはいない。

 だが、昨夜段ボール箱をいくつか開けてみて、これはさすがに捨ててもいいんじゃないかという本を何冊か見つけた。
 思い切って捨てられるだろうか?
 自分に対する挑戦だ。

 中崎タツヤは『じみへん』で引っ越しについて、
 「お金はいるけど、ものはいらない」
 と書いている。
 同じところに住めば住むほど、ものは増えていく。
 沼にアオコが増殖していくのと同じだ。
 たとえば三船敏郎のように、身の回りのものを正確に分類して保管できる人ならば、ものを捨てずにとっておいてもいいかもしれない。

 昼、ゲッツ板谷『戦力外ポーク』買う。
 電車の中で読むが、笑いをこらえるのが苦しかった。

 ウィンドウエアコンの処置に困っている。
 前の部屋で9年使い続けたものなのだが、昨日北側の窓に取り付けようとしたら、設置窓枠がうまくはまらなかったのだ。
 窓が古いせいだろう。
 取付をためす時間があまりなかったので、エアコンはそのまま床に置いてある。
 非常に邪魔だ。
 いっそ捨ててしまおうかと思い、リサイクルセンターに電話してみたら、6000円前後かかるといわれてバカらしくなった。

 壁や床はリフォームしてあるが、窓は昔のままのようだ。
 壁にツタが這っているからレトロ感があり、昔の大学みたいな雰囲気があるのだが、例えば網戸を設置するだけでも苦労する。

 夕方実家へ。
 色々なことをネットで調べたかった。

 ウィンドウエアコンはオークションで買えばそれほど高くないようだ。
 冷房だけしか使えないため、そろそろシーズンオフで安くなったりすることもあるのだろう。
 中古品だと1万円前後で即決のものもあった。

 テレビで先日行われた PRIDE GP を放送していたので見る。
 ミルコ対ヒョードル戦となれば、見ないわけにはいかない。

 どうせ番組の終わりに放送するのに、CMのあとすぐにでもミルコ・ヒョードル戦をやりそうな演出には心底ムカついた。
 そりゃ、そんなことされたら最後まで見るけど。

 1Rのミルコはパンチをヒョードルにヒットさせたり、ハイキックをかすめたりと健闘した。
 だが、上になられた攻防でスタミナをロスし、2R、3Rでは遂に優勢になることはなかった。
 結果、3-0の判定でヒョードルが王座を防衛した。

 お互い、1Rで相手を倒そうとするあまり、2Rと3Rではスタミナをロスし、決定打に欠けたようだ。
 それでも、達人同士が肉を切らせて骨を断つ戦いは、派手なK.Oシーンを凌駕する興奮と感動があった。
 誰もブーイングなど飛ばさなかったし、敗者のミルコにかけられる声援と拍手には賞賛の響きのみがあった。
 しかし、ミルコが負けたら一体誰がヒョードルに勝てるというのだろう。
 意外と無名の選手にあっけなく倒されるんじゃないか。