気に入ったかいボクの地下室は

 PCを養子に出し、新しく孤児院からPCをもらい受けた。
 「今度の子はもっと優秀に違いないよハニー」
 「優秀でなくてもいいわ。汚い言葉はもうウンザリよ」
 「大丈夫さ。シスターの話じゃ、体は小さいけれど、本が好きで大人しい子らしいから」
 「ねえダーリン、もし今度も失敗したら・・・」
 「しないさ」
 「聞いて。私たち、別に子供がいなくてもうまくやっていけるんじゃないかしら」
 「子供がいればもっとうまくやっていけるさ」
 「わたし、自信がないのよ」

 などという脳内夫婦の会話をどぶに捨てる。
 新しく入手したのは、やはりレッツノート。
 最新のW4やT4はまだまだ高くて買えないので、W2を入手した。
 DVD-ROM/CD-RWドライブが内蔵されているにも関わらず、バッテリ駆動時間が7.5時間で、重さが1.3キロ弱だ。
 Dynabook ss2000は標準バッテリーのみだと1.2キロを切るが、それでは駆動時間が2時間と少ししかない。
 大容量バッテリーを装着してようやく7時間に到達するが、重さは1.6キロを超えてしまう。
 もちろんCD-ROMドライブはない。

 というわけで、届いて早々Let’s Note W2の軽さに驚いている。
 書類をはさんだルーズリーフのバインダーより軽い。
 ただし、キーボードはDynabookの方が打ちやすい。

 しかし、まだ起動はできていない。
 なぜならACアダプタがまだ届いていないからだ。
 amazonで注文したが、いつ届くことやら。
 それまでは、変態的にボディに触れたり、変態的に筐体を眺めるくらいしかすることはない。

 とりあえず、PCを撫でさすりながら鏡を見る。
 電気を消し、懐中電灯をつける。
 そしてPCの目隠しをゆっくりとはずしてやる。
 俺に撫でさすられている姿が、PCにもよく見えるようにだ。
 そして、筐体をパカッとあけたり閉じたり、タッチパッドに優しく触れたり、キーボードを激しく叩いたりしてみる。
 懐中電灯を、PCの色んなところに当てたりしてみる。

 しかし、いくらコミットを試みても、電源のないPCは熱を持たないただの箱であり、決して杉本彩ではないのだった。

 そういえば昔、待ちに待っていたファイナルファンタジー7をやっと手に入れ、嬉しさのあまり電源を入れると同時に全裸になってプレイをはじめた男の話を聞いたことがある。
 その男にとって裸になることは、嬉しさをあらわす重要な表現手段だったのか。
 それとも、
   裸になる → 気持ちいいことがある
 という刺激を人生から一定量与えられ、
   気持ちいいことがある → 裸になる
 というパブロフの犬的反応が形成されてしまったのか。