プロレスリングノアの放送をビデオで見た。
3月5日武道館大会の2試合。
マスコミにえらく評判の良かった三沢対森嶋戦と、小橋対KENTA戦だ。
三沢の戦い方は、巨漢の攻撃を受けて受けて受けきって、最後にエルボーで勝つというものだった。
単純きわまりないが、攻撃をしのいで立ち上がる時など、間合いの作り方に<三沢の味わい>がある。
全日本プロレス時代からそれは変わらない。
どちらかというとしょっぱいレスラーである森嶋は、この試合で極限まで光らされた。
かつて三沢を苦しめた、ハンセン、テリー・ゴディ、ウイリアムス、ベイダー、そしてもちろんジャンボ鶴田。
森嶋にはそれら巨漢レスラーに匹敵する恵まれた体躯がある。
そのことに改めて気づかされた。
小橋対KENTA戦は、KENTAのえげつなさが必要以上に際だっていた。
高山や天龍、秋山相手の試合ならば、激しい攻撃もKENTAの魅力というふうに映るのだが、小橋相手のファイトだと、
(いつ小橋の怒りが爆発するんだろう?)
そう思ってしまう。
せっかくのファイトが、小橋の魅力誘導材になっているのだ。
というわけでこの試合は、小橋の<スーパーベビーフェイス>ぶりが炸裂した試合だったともいえる。
KENTAの蹴りは、体格のハンディを感じさせないものだった。
だが、いくら威力で小橋に迫っても、まだ決して超えられない壁がある。
試合後のKENTAはかなり気落ちしていたらしいが、試合に負けたことだけじゃなく、壁の存在に気づいたからではないだろうか。
試合は小橋が、2年前のドームで秋山相手に見せて以来のバーニングハンマーで勝利した。
KENTAはピクリともせず3カウントを聞いた。
次回公演に『ラジコン少年』という仮タイトルをつけている。
ところが案外、題名のすわりがいいので、このままでもいいかなと思いかけている。
主人公の名前も決まった。
ラジコン少年だから、ラジ男。
あんまりなネーミングだが、単純でいい。
本当は少年ではなく大人なのだが、大人が演じるのだから問題はない。
彼は小学生の頃になくしたラジコンをずっと探して、20年近くも下校中なのだ。
だからランドセルを背負っている。
なぜ、ラジコンを探し続けなければならないのだろう?
ノートに思いつく考えを箇条書きにしてみたが、決め手はまだみつかっていない。
この話の重要なポイントになるから、しばらくは他人事のようにラジ男くんに関して考えていこうと思っている。