送別の餞

マラソン疲れか春のせいかやたらに眠かった。
朝からずっと雨が降っていた。

古本屋と古着屋をのぞき、「ラーメンの王様」で遅めの昼飯を食べる。
昔よく行った店だ。
東京ラーメンを食べ終わった客が、
「うまいラーメンだねえ」
と言いながら金を払っていた。
麺をすすりながら、
(さほどのものか?)
と思った。
レジのあんちゃんが、
「…ありがとうございます」
と答えるまでに間を費やしたのは、オレと同じことを思っていたからに違いない。

夕方新宿へ。
帰郷して家業を継ぐことになった、ノブ君の送別会に参加する。
主宰オギノ君が指定した待ち合わせ場所は、大ガード下だった。
托鉢僧の斜め前で知り合いを待つが誰も現れなかった。

オギノ君に電話すると
すでに店に入っているとのこと。
待ち合わせ場所は正しかったが、お互いに気がつかなかったようだ。

オギノ、宇原、中山、わっちゃん。
イーノ君夫妻。百子ちゃん。鶴マミ。綾香。
以上の面々が参加。
少人数の割に派手な宴となったのは、オギノ・中山・宇原の<どす黒い三連星>が序盤から飲み飛ばしたためだろう。

オギノ君がセレクトしたノブ君へのプレゼントは、大人買いの極みとも言える、ショベルカーの巨大なラジコンだった。
その場でノブ君が動かすと、みんなは大騒ぎしてそれを写真に撮った。

6時から飲み始めたので、4時間近く店にいてもまだ10時だった。
同じビルのカラオケに移り、ノブ君に好きなアニソンをたっぷりと歌ってもらった。

終電を逃した中山君は、痛恨の極みといった顔をしていた。
明日の仕事のためか、宇原君の部屋に泊めてもらうため二人で先に帰った。
カラオケでも飲み放題だったため、日付が変わる頃には酔態が乱痴気騒ぎの域に達していた。

そのまま朝の4時半まで遮二無二歌った。
色々歌った。
そして燃え尽きた私たちはステージにマイクを置き歩み去る。

始発にて帰宅。
全身からヤニの匂いがした。
暖かくなったことや空の明るさに気づいた。
そろそろ桜が咲く。