焦りがやってくる

なぜ今まで自分で作らなかったのか疑問だが、仕事をしていて頼まれる作業を、個人的にExcelにまとめた。
たぶん、一度作ってしまうと、仕事が増えるさまが見た目にあからさまになってしまうのが怖かったのかもしれない。

案の定、各方面から様々な依頼。
「お忙しいですか?」
と聞かれたら必ず、
「大丈夫ですよ。なんですか?」
と答えるのが精一杯のやせ我慢。

5時過ぎ、片付けをして退社。
大急ぎで家に戻り、着替えて自転車に乗り、稽古場へ。
稽古場料金を支払おうとしたら、
「もういただきました」
とのこと。

必要以上に焦って、大急ぎで稽古場に来たため、せわしない気持ちになっていた。
そのまま稽古を始める。
心の中では、
(焦るなよ、焦るなよ)
と思っているのだが、稽古時間の少なさに怯えている自分がいる。

舞台の配置は満足に決まっていないに、ともかく立って稽古をした。
焦っていたからではなく、稽古場を借りているのに「本読み」をするのは、お金を払って借りているにしては使い方が有効でないと思えたから。
稽古場は、とにかく役者がいて、装置に見立てられる机や椅子がある。
「目に見える」形を仮定でき、なおかつ大きな声を出して、色々動ける。

だが、明らかに稽古参加者の誰よりも、自分が焦っていた。
『ラジコン少年』の稽古をしていた時の感覚に似ている。
役者が決してさぼっているわけじゃないのに、せわしなくなった自分が、ペースの合わなさにいらいらする構造。

(焦るなよ、焦るなよ)

呪文のように唱えるが、最後までがつがつ、せわしなく、時間のなさに苦しんだまま稽古をした。
稽古二日目にしては、存分に立てたけれども。

稽古の後、家に帰り、今回の公演がどういうものなのかを自分に問い直す。