声をつぶした過去

本日は12時と19時半の2ステージだった。
10時に劇場入りし、カロリーメイトを食べ、本番の準備をする。

本番前の返しで、優都子ちゃんの声が出なくなっていた。
スモークで喉をやられてしまったらしい。

マスクをして体調管理して、どんなに気をつけていても声は出なくなることがある。
長く役者をやっていて、声をつぶしたことのない人はいない。
あの、情けなさ悔しさ恥ずかしさ。

後輩というか、年下の役者が舞台に出ていて声をつぶしているのを見ると、叱咤してしまう。
楽屋では激励されているからこその叱咤だ。

おれが最後に声をつぶしたのは2003年の夏。
東京OXカンパニーに客演した時のことだった。
日記にも書いている。
声つぶれる

座組みで最年長なのに声をつぶして、どうにもならなくなってるのに虚勢を張ってる日記。

今だからというわけじゃないが、やっぱり情けなくて悔しくて恥ずかしかった。
マスクをして身体をしっかり暖めてのどを潤すようにしてるのに、日に日に声が出なくなり、本番中に完全につぶしてしまった。
丸一日まったくひと言も喋らないことで千秋楽は持ち直したけど、ざまあない。

この時の打ち上げでカラオケに行き、ある歌が流れた時に号泣してしまったのだけど、要するに悔し泣きだ。
悔し泣きするのが悔しかったから、歌に感動したフリをしただけだ。
優都子ちゃんが感じている悔しさは、かつて自分も感じた悔しさだ。

マスク姿の優都子ちゃんが楽屋で涙をこぼしていた。
でもつぶした以上、もうそれでやるしかない。
この体験をじっくり味わうしかない。

12時に開演。
冒頭シーンで博士をやる時、昨日以上に声を張り上げてしまったのは、優都子ちゃんのことがあったせいだろう。

声を張りすぎ、芝居が空回りしてしまった。
必死な感じになってしまい、政治家・磐城をやる時の余裕が足りなかった。
それでもお客さんの反応は良かった。
翼くんとクッシーの場面が鉄板化しつつあり、安定感を作っていたのだと思う。

終演後、吽形チームの本番準備にはいる。
次の阿形チームの本番まで5時間あった。

着替えて、劇場近くの「十王ラーメン」へ。
美味いんだかまずいんだか判別しかねる店。
十王麺を食べる。

環八沿いのジョナサンに移動し、そこでメールやたまった仕事を片付ける。
6時前までそこで時間をつぶした。

吽形チーム終演時刻前に劇場に戻る。

7時半の開演に向けて準備する。
待機時間が長かったので、滑舌を入念にやる。

声、高音が段々でなくなってきた。

磐城の場面で台詞を飛ばしてしまった。
自分のひと言の後に片山さんが入ってくるのだが、言うのをすっかり忘れて、入ってくるのを待ってしまった。
途中で気づいて、しばらく動転してしまった。
他にも、前半は台詞の噛みが多かった。

暗転中に深呼吸し、後半で集中を取り戻す。
取り返すのではなく、いつもやっているような落ち着きを取り戻す。

前半は台詞とばしがあったにせよ、舌が回らないことが多かった。
舌が疲労しているのを感じる回だった。

2ステが終わり、明日の入り時間を確認して解散する。
飲みには行かず、真っ直ぐ帰宅。
10時半。