幕が開いてほっとするつかの間

朝、印刷の残りに少し手間取り、11時過ぎに劇場到着。
田和君、すでに来ており、ホワイトボードと机も届いていた。

机と椅子とボードの位置を何となく決めて、田和君は明かり作りに入った。
役者は12時集合。
上岡君、昨日の休みが良かったようだ。

荷物をとき、衣装と小道具を出し、3時にゲネが開始できるよう準備をする。
ほとんどやることはないので、稽古や自主練が中心となる。

ゲネ中、「喪失」をやっていて、笑いが止まらなくなる。
セリフの「カバ」を「バカ」に変えただけでボロボロになった。
血が出るほど唇を噛んでも笑いが止まらなかった。
面白かったからというより、スイッチが入ってしまった。

それ以外は無難にまとまる。
音は自分が出すが、何カ所か役者に手伝ってもらうことになった。
押すだけで済むようにしないといけない。

「作家」のラストは、お客さんが実際に入らないとどう受け取られるのかまったくわからない。
最初の前説から芝居が始まっていたのかと、あとでわかりながら帰っていただくようになると、まずまずの成功。
理屈で色々言えそうな構造だが、それを言わずにお客さんも我々もお互い終われると、非常にいい終わり方だと思う。

受付手伝いにかっすんが来てくれた。
本番が始まり、遅れて入ってくるお客さんの対応をお願いする。

亜企ちゃんが、弟さんやヨシエさん、それにお友達を一人連れて見に来てくれた。
大変嬉しかった。

ナベさん、ふかやん、シゲ、谷中さんと、今日の回は塚本の知り合いが多かった。
前説を、台本通りに3回こなし、芹川は小道具を机に並べる。
役者は前説を終えた順に長机の席に座る。
受付を終えた知恵ちゃんが4回目の前説をして座り、そのタイミングで俺が、入り口の暗幕を閉め、最後の前説をしてウォークマンのボリュームを絞る。
音が消えてから、
「開演しました」
と言う。

「これから6本の短編をお見せします」

前説の続きであるかのようにセリフを言い、一本目の短編「友情」へとつないでいく。
お客さんは、
(どういう趣向だろう?)
という感じで舞台を見ていた。

「友情」の、訪問販売の展開あたりからお客さんが笑い始め、「献血」でリラックスした様子だった。
「車内」「張込」と順調に進み、懸案の「喪失」は大騒ぎのうちに終わり、ラストの「作家」へ。
「作家」の最後、役者達が本人達に戻り、カーテンコールのセリフを言うところ。
拍手が起きるまで、微妙な間があった。
(これで芝居は終わったのかな?)
というような間。

それでも全体的に、お客さんは楽しんでくれたようだった。
劇場さんが見に来て、知り合いの若い子達に見せたいと言ってくれたのが嬉しかった。
その場で予約を入れる。

近くの、華の舞にて初日打ち上げ。
とにかく、幕を開けることが出来て良かった。
それに尽きる。

11時半頃に店を出る。
12時過ぎ帰宅。
明日のための印刷作業をしてから眠る。