市場で食いそびれ

5時半起き。少々ベッドに寝転び、起きられるまで覚醒するのを待った。
5時45分、着替えてチェックアウトした。

駅前の卸売市場へ。

この市場に朝5時からやっている食堂がある。まぐろ中落ち丼などが美味しいらしい。
市場は地下一階にあった。若い頃卸売市場で働いていたので、雰囲気はわかる。

目当ての店に行くと、おばちゃんが準備をしていた。メニューが張られているのをよく見ようと思って近づくとおばちゃんが言った。
「まだよ」
「えっ?」
「まだだって」

どうやら、まだ営業をしていないということらしかった。

仕方なく、市場の他の食堂ものぞいてみたが、そこも営業開始時間はまだだったので、市場を出た。

他に駅周辺で早朝からやっている店はなかった。ラーメン屋ならば7時からやっているところがあり、吉野家もあったが、三食続けてラーメンは嫌だった。吉野屋も先日の旅ランで食べたばかりだ。

今日は8時4分のリゾートしらかみに乗って秋田に向かう予定だった。電車の中で景色を眺めながら駅弁でも食べるかと思い、スマホで駅弁を売っている店を調べた。

検索に出てきた店の前に行ってみた。明かりがついていなかった。駅弁を買うにも時刻は早過ぎるようだった。

そのあたりの街路樹はりんごだった。姫りんごなのか、小さい種のようだった。

駅に戻る前に海辺を歩いてみた。かつて青函連絡船に使われていた八甲田丸が係留されていた。

下北半島方面。

駅に戻り、KIOSKには駅弁が売っているだろうと思い、行ってみた。しかし、青森駅は改修工事をやっているようで、場所がよくわからなかった。

KIOSK以外のコンビニに売ってないかと思い、ローソンに行ってみたが、なかった。駅弁を結局買えなかった時のためにパンを二つ買っておいた。

KIOSKは2階のびゅうプラザ内にあるらしいとわかったので行ってみた。しかし、駅弁は売っていなかった。そろそろ乗車時間が迫っていた。仕方なくそこでおにぎりを二つ買った。

朝市で食えず、駅弁も買えず、心の中はこんな気分だった。

ホームに入り、端の方まで行ってみた。

青函連絡船があった頃は、この線路の先に連絡船がぴったり接岸し、貨物列車をそのまま乗せることができたらしい。その昔、貨物列車は物流の花形だったよなあとつくづく思う。

8時4分、リゾートしらかみに乗った。この列車をネットで予約する時、青森方面、秋田方面の表示に惑わされると、海側の席を取り損なう。昨日乗った席は山側だった。
今日は、十二湖で下りて散策するつもりでいた。そのつもりで予約していた。しかし、青森から秋田までの乗車時間は5時間もあることに加え、十二湖でいったん下りてうろちょろし、次の列車に乗ると、帰りの飛行機に乗る時刻がギリギリになりそうだったのでやめにした。で、昨夜、チケットを予約しなおした。昨日の乗車体験で、進行方向の反転現象に気づいたので、今日はしっかり海側の席に座ることができた。

朝飯におにぎりを食べた。

鰺ヶ沢を過ぎるまでは海がまったく見えなかったので、蓮實重彦『映画狂人 神出鬼没』を読んだ。

車内販売がきた。りんご系のお菓子とシードルを売っていた。シードルは少量で1500円もしたが、買った。美味しかった。

鰺ヶ沢を過ぎて少しすると、千畳敷海岸で十分以上止まった。ここで長く停車するのは定番のようだった。乗客が降りてミニ観光をしている間、先頭車両の展望スペースが空いたので、移動して場所を取った。コンセントがあったのでスマホの充電もした。

千畳敷駅を出るとすぐ、昨日いか焼きを食べた店の前を通った。

岩館を過ぎるまで、ひたすら車窓から海を眺めた。展望席には20分ほどいたが、後ろに、座りたそうにしているじいさんがいたので、譲って自分の席に戻った。そのじいさんはその後ずっと展望席に座っていた。

スマホ充電のために急速充電アダプタを持って来ていた。これが昨日から大活躍している。コンセントがあった時にちょっと充電するだけで、電池残量のパーセントが二桁分回復するのは大変ありがたい。

秋田までこの列車に乗って行くつもりでいたが、到着予定時刻は2時近かった。ふと、その時間になると昼飯を食べる店に困りそうだなと思った。

五能線だと次の列車を待つのに3時間くらいかかる。しかし、東能代なら奥羽線だからそこまで待たなくて済む。

東能代で昼飯を食べられる店を検索すると、駅近くに食堂があった。がっつり系の店らしかった。望むところ。

で、12時半頃に東能代で下りた。じいさん、まだ展望席にいやがった。てめえじじい、譲り合えよ。

目当ての『中川食堂』という店に行き、カツ丼を食べた。カウンターで注文を言うと、できたものがカウンターに置かれ、自分で取りに行くスタイルだった。

カツ丼は600円だった。見た目だけではわかりにくいが、ご飯の盛り密度が高く、ずしっと重かった。タレはやや濃いめで、重い飯に合っていた。カツも多く、香の物に沢庵がついていた。カツ丼はこういうのがいい。非常に満足した。

東能代駅の待合室で秋田行きの普通列車を待った。改札口に風鈴がいくつも吊されていて、時々とてもきれいな音を立てていた。

1時50分過ぎの普通で秋田に向かった。八郎潟近くを通る時、八郎潟のことを検索した。戦後すぐ始まった巨大干拓事業だったが、完了する頃、政府はむしろ減反政策を進めるようになっていたため、時代と逆行する結果となってしまった。干拓される前の八郎潟は日本で二番目に大きい湖だった。埋め立てられたことで調整池が残ったが、生態系は完全に変わってしまった。昔は汽水湖だったが今は淡水湖でブラックバスがいるらしい。などなど。

2時前に秋田に着いた。飛行機の時刻は8時過ぎなので時間にはかなり余裕があった。とはいえ、搭乗手続きやリムジンバスの時刻もある。
リムジンバスの乗り場で時刻表を調べた。4時50分に発車するバスに乗ると、5時半頃に空港に着くようだった。そこで1時間半くらいまったりすればちょうどいい時刻に手続きができそうだった。

駅前をフラフラ歩いてみた。午後2時台だから当然暑かった。

秋田は、さすがに県庁所在地のため資本が投下されており、能代と比べると断然都会に見えた。しかし、初めて秋田に来た8歳の頃は、能代と秋田にそれほど違いは感じられなかった。能代は今よりも人口が多く賑やかだった。とはいえ、全盛期よりは寂れていたのかもしれないが。

フラフラ歩いてから、スマホの充電をしようと思った。電源が使える店を調べる。ローソンのイートインが検索結果に出てきた。ローソンは目の前にあった。入ってジュースを買い、イートインでスマホの充電をした。

気がつくと4時を過ぎていた。ちょっと歩いて、ちょっと充電したらその時間だった。

リムジンバスの乗り場へ行き、ベンチに座ってバスを待った。日は傾きかけていて、そんなに暑くなかった。

4時50分のバスに乗り空港に向かった。途中、蓮がたくさん浮いている池があった。

空港方面に雨雲が見えた。地面の所々が濡れていた。しかし空港に着いても雨は降っていなかった。

ラウンジのカウンターでビールを飲みながら『映画狂人 神出鬼没』を読んだ。腹は減っていなかった。

7時頃、ロビーへ行くと、西の空が見事な色に染まっていた。

8時5分の飛行機で羽田へ。予定より15分早く着いた。9時過ぎの京浜急行で新橋へ行き、メトロに乗り換えた。
ドラッグストアで買い物をし、10時半過ぎ帰宅。

トマトの収穫をした。赤くなったのが6個あった。これでトータル収穫数は113個になった。2018年の収穫数110個を超えた。2018年は8月半ば過ぎにその数に到達したが、今回は7月中に到達した。収穫ペースもかなり早くなっている。青い実もまだたくさんついているので、8月中にも収穫は続きそうだ。

トマト棚にとんぼがとまっていた。シオカラトンボの雌だろうか。トマトが育ち、茎周辺には蚊が集まっているが、その蚊を狙ってきたのだろうか。

12時就寝。