本ばかりの年末

10時頃、父から電話。
届いた荷物の件だった。
パソコンであることを伝える。

そのまま眠って、次に起きた時は3時を過ぎていた。
朝の5時に寝たとはいえ、寝過ぎだ。
昨日出歩いて、疲れていたのだろうか。

カップ麺とポテトサラダを食べ、図書館へ行き本を借りる。

原田芳雄「B級パラダイス」読了。
1982年に出た新書の復刻版。
新書といっても、最近あまり見かけなくなった「ワニの本」スタイル。

能弁な人ではないが、訥弁というほどでもなく、芝居やブルースのことを語る時、その言葉は磨きに磨かれ光っている。
幾度となく繰り返された飲みや遊びで磨かれたのだろう。

たまげたのは、黒澤明の映画『影武者』で勝新太郎が降板した直後、原田さんに東宝からオファーが来ていたという話だ。
時期的には『ツィゴイネルワイゼン』撮影と重なっていたかもしれないが、出演は断り、そのことについて特に惜しいとか残念と思ったりせず、淡々としているところがすごい。
役者道をヒエラルキーとしてとらえ、上に上がっていこうという気持ちで続けてきたのではないのだろう。
生涯に出た映画の多くが、ATGやインディペンデント系だったことは、主義としてそうしていたのではなく、出演について自分の判断を積み重ねてきた結果だと思う。
ショーケンや松田優作のように、一般人に影響を与えずにはいられない出し方を、原田さんはしていない。
でも、ひとたび興味を持ってその演技や考え方に触れると、芝居をやっている人間は皆、参ってしまうだろう。
その引き寄せる力の強さはすさまじい。

5時前に図書館へ。
予約した本が用意できたので借りる。
山口猛『紅テント青春録』

この本は随分前、たぶん1998年頃に一度読んでいる。
小金井に住んでいた時で、図書館で借りたのかどうか、記憶がおぼろだ。

古いPCモニタをショッピングバッグに入れ、夜9時に西葛西へ。
リュックに本が詰まって重かった。

TSUTAYAで『風花』『大鹿村騒動記』借りる。
『風花』は随分前にシナリオを読んだ。

明日帰ってくると思われていたらしく、夕飯はなかった。
母が寿司を買ってきたが、お店には一人前のパックしかなかったらしい。
「食べても良いか?」
父が言う。
好きなの食べなよ、余ったの、俺、食うからと答え、自分用に冷凍ピラフを使ってドライカレーを作る。
すると父は、ドライカレーも美味そうだと思ったらしく、
「もらっても良いか?」
と聞く。

俺が何か食べていると、すごく美味そうに見えるらしい。
この二十年間ずっとそう。

父は寿司を半分残した。
ドライカレーと、余りの寿司を食べたら、結構お腹いっぱいになった。

米澤穂信『追憶五断章』読了。
死んだ父の書いた小説を探して欲しいと依頼された、古本屋勤めの若者の話。
依頼内容がたまらない。
見つかった小説の出来がすこぶる良い。
そういう小説を書けばいいのにと思わせる。