ポテトのマリネ

10時に起きた。
非常食のわかめご飯をお粥にした。
きな粉を足してみた。
香ばしく濃厚な味になった。

寒かった。そして眠かった。
8時間は寝たのだが、一昨日から続く眠気が続いていた。

二度寝して起きると3時だった。
昨夜からトータルで13時間近く寝たことになる。
それだけ長く寝たのは久しぶりだ。

寝ている間夢を見た。
何かの集まりがある。何の集まりなのかわからないが。
そこで、見知らぬ女性と会い、珈琲を飲みに行くことになった。
一緒に歩いていると、どうも彼女の方はオレのことを知っているらしかった。
どこで会ったのか考えていると、昔話をその人がして、誰なのかがわかった。
知り合いだった。
しかし目の前にいるその人は、オレの知っている彼女とは似ても似つかなかった。

朝作ったきな粉粥の残りと、フランクフルトで昼飯。
今日は走らず、家でダラダラする日だ。
一昨日、そして昨日と、午前中はとてもやる気に満ちているのに、午後のある時間を過ぎると失速した。
ジョギング中エネルギーが切れて、へたる時と似ていた。

夕方図書館へ。
北方三国志の10巻借りる。

玉葱マリネと、グリーンレタスのサラダ、それにミニフライドチキンで夕食。
サラダの量は、一般人が引くくらい多い。
サラダは、野菜不足を補うために食べるのではなく、肉類を食べる時に一緒に食べるものだと思う。
レタスやキュウリなんぞ、なんの栄養もない。
が、肉と一緒に食べると初めて真価を発揮する。
良質で豊富な繊維質。

学生時代からの親友であるクワガタ好きの清水くんは、焼き肉に行くと必ずサンチュを頼む。
それはいいのだが、肉を巻こうとせず、そのままムシャムシャ食べてしまう。
肉が焼けた頃、サンチュはもうない。
「なんで先に食べちゃうんだよ!」
「そんなことより塚本くん。キミもそろそろクワガタを飼ってみないかい」

風呂に入り、かなり長くゆっくりつかる。
長く入る時はいつも本を持って入る。
いつからそんなクセがついたのだろう。

『三国志』9巻読み始める。
馬超と張飛の一騎打ち。
関羽、長男の孤独。
そして孫権の意外な低評価。

昨日買ったキャベツとピーマンを、玉葱と一緒にマリネにした。
レタスやキュウリよりよっぽど栄養がある。
めんどくさいけど。

マリネといえば、ヘミングウェイ『移動祝祭日』に出てくるポテトを思い出す。
ポム・ア・リュイルといい、ポテトのオイル漬けのことらしい。
形が崩れないポテトをマリネしてあるらしいのだが、どういうものなのか想像できない。

若き日のヘミングウェイは。ある日空腹を抱えたままシェイクスピア書店へ歩いていった。
店主のシルヴィアに食事はしてきたと強がるが、自分宛に原稿料が届いたと聞き、ちょっと弱音を吐く。
金の入ったヘミングウェイは「リップ」へ行き、大いに食べる。
1リットルのビールに、ソーセージ、そしてもう一つが、ポム・ア・リュイル。
この描写を読んでしまうと、その日はビールを飲まずにはいられなくなる。
腹が満ちて落ち着いたヘミングウェイは、作家としての現状を冷静に思い起こし、店を出てカフェに移り、書いている短編の続きを書く。
この時書かれていた短編が、名作「二つの心臓の大きな川」だった。

『移動祝祭日』は、今、パリでベストセラーになっているらしい。

キャベツを切っている時、左手の人差し指をざっくりと切った。
すぐに絆創膏で応急処置をした。
ドキドキしたのはその後だった。
マリネの仕込みが終わってから、絆創膏を貼り替えた。
血は止まっていた。