わが日曜

体が重かった。
旦那の義太夫を寝床でも聞かされ、うめくような思いをしていた。
今何時だろう。外は明るい。時計が近くにない。確認するのがめんどくさい。後にしよう。
そしてまた、旦那の義太夫。

起き上がると寒かった。冬だ。キッチンに行き、給湯スイッチのデジタル時計を見ると1時10分だった。
なんてこった。寝過ぎだよ。でも昨日は3時まで起きてだらだらしていたから仕方ないか。それにしても非生産的この上ない休日の過ごし方だ。朝起きてジョギングなんて夢のまた夢か。

着替えた。とりあえず飯を食おう。炭水化物だ。パン、ご飯、麺類。休日は麺類に決まってるだろう。誰が決めたのか知らないが。
外に出る。昨日より寒い。曇りだ。自転車で大宮八幡方面に向かう。自転車のかごには本。北方三国志の11巻。

「草むら」に入った。永福大勝軒よりは安く、スープの脂も控えめだ。ラーメンの大盛りを頼んだ。チャーハンも気になっている。いつか食べたいな。
店に流れる音楽は、まずDuran Duran の “The Wild Boys”
次にNenaの “99 luftballons”
どちらも80年代だ。意表を突かれた。
ラーメンが来た。持って来た「三国志」はほとんど読めなかった。割り箸を割る。麺の量は大盛らしい大盛。荻窪「丸信」の大盛と同じくらいだ。
The Byrds の “Turn! Turn! Turn!” が流れた。来た来た来た。なぜラーメン屋でバーズが流れるのか。誰が選曲しているのか。
ラーメンは普通の醤油味。こういうオールドファッションドラーメンが減っているのはどういうことだろう。新宿の「風雲児」は行列のできる店で、食べログの評価は極めて高いが、2回行ってもう結構とオレは思った。ラーメンを食いに来たのにラーメンじゃないものを食わされてる気がした。椎名誠さんもたぶん同じことを言うだろう。
“The dog of the bay” が流れた。オーティス・レディングだ。いったい選曲の基準はどうなっているのか。有線なのか? だとしたら、なんていうチャンネルだろう。

食べ終わった。会計をする時にスピーカーをチラ見した。有線なのかCDなのかMP3なのかよくわからなかった。

2時過ぎ帰宅。ソファに座り『三国志』を読む。11巻。
夷陵の戦いが終わり、劉備は白帝城で衰弱していく。陸遜は魏の軍勢を打ち払う。孔明は蜀の立て直しに懸命だ。

5時過ぎ、着替える。走りに行かないと。
部屋でストレッチをしてから外へ。事前に地図でコースを作成した。方南通りから環七、甲州街道、山手通り、井の頭通りから代々木公園の西側を走り、西参道から中央公園の北を走り、いつも仕事で使っているコースを家に戻る。
起きた時は体が重かったが、走るとそうでもなかった。軽いわけではなかったが、先々週の連休中に飯田橋まで走った時よりはずいぶんまともになっている。

甲州街道に出るまえに、幡ヶ谷の南を走る。9年前に働いていた建物がその辺にある。西荻に住んでおり、自転車で通っていた。真夏も自転車だった。スーツではなく私服だったから大丈夫だったのだろう。片道8キロ。往復16キロ。いい有酸素運動になるだろうと思っていたが、その仕事中はかえって肥えた。
かつての仕事先の横を通り、幡ヶ谷から山手通りへ。人が多い。脱走する矢吹ジョー。豚の群れをフットワークでかわす力石。行き交うのは豚。そしてオレは力石。
妄想は山手通りで終わる。甲州街道との交差点。かつてみずほ銀行があったところ。そのちょっと先のビルにはアスキーがあった。バイク便の常駐部屋があった。ビルに近づいてみる。もうアスキーは入っていないようだ。
裏道に抜け坂を下り、突きあたりを右折して山手通りに戻る。そこから井の頭通りへ緩い下り坂が続く。山手通りは自転車と歩行者の道が分かれていてとても走りやすい。山手通りRunというのも面白いかもしれない。帰りが大変だが。

代々木八幡の陸橋で写真を撮る。駅と商店街の明かりが綺麗だった。
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井の頭通りを左折し、代々木公園の交差点を左折する。そこから西参道へむかうのだが、一本裏側の道を走る。
バイクに乗っていた頃はしょっちゅう通っていた道だ。つまり十数年ぶりにそこを通っている。バイク便時代に通ったり訪れたりした場所は、懐かしさにもれなく鬱屈がついてまわる。芝居のことやお金のことでいつも悩んでいたせいだ。
西参道口へ向かう。首都高の下。そのあたりからは仕事先のテリトリー。見慣れた風景だ。ラーメン屋の「道楽」を横目に、西参道口の交差点へ。この交差点にも昔バイトしていた会社のビルがある。二十歳の時。チラシ配り。給料が週払い制だったので助かった。途中で「リーダー」になったので1000円アップしたのも嬉しかった。今はもうない。移転したのか。それとも倒産したのか。

十二社通りを真っ直ぐ進む。見慣れた信号を左に曲がり、見慣れた住宅地の路地を走る。要するに仕事帰りに通っているコースだ。環七を渡り、16キロを1時間32分でゴール。途中信号で止まる時間も含めてだったから、そこそこいいペースで走れたようだ。
しばらく近所をぐるぐる歩きクールダウンし、ぬるめの風呂につかる。走った後のぬるい風呂は格別だ。

買い物に行く。ソフトクリームを買う。
浅香からメールが来た。実は走っている最中に来ていた。代々木八幡駅の陸橋で写真を撮っている頃だった。退院が決まったらしい。急転直下の展開。おお!と思ったが、なにしろ取り込み中だったものだから、返事は後にすることにした。
で、帰って風呂に入って買い物に行ってソフトクリームを買って、もやしと豚ロースの炒め物を作って夕食にそれを食べ、浅香にメールをした。
転院ではなく退院に至ったのは、リハビリが順調に進んだからだったのだろう。見舞いに来てくれた人と喋ると左手が良く動くとFacebookにも書いていた。2015年に借りを作らず終われそうで何よりだ。

昨日なぜ夜更かしをしていたのか思いだした。スザンナ・ホフスのことを延々と調べていたのだった。誰それ? バングルスの一番背のちっこいメンバーだ。
ああ、あのカエル声の子ね。そう答えるのはおっさんだろう。でもまさしくその通り。バングルスの曲はヒットしていたのでそれなりに知っていたがCDを買うには至らず、ソロデビューしていたことはまったく知らなかった。
知っていたのは、プリンスが彼女のことを気に入り、バングルスのために “Manic monday” を提供したということ。
プリンスの好きなタイプは共通点がありそうだ。シーナ・イーストン、シーラ・E、スザンナ・ホフス。みんな華奢。

バングルスはとても人気があったのだけど、アイドルの数歩手前で踏ん張り、あくまでもガールズポップバンドの矜持を守っている印象があった。
PVを見ると、スザンナ・ホフスの必殺流し目光線の威力はなかなかすさまじく、解散後四半世紀以上経つ現在でもそのへんの若い男を軟体化させるに十分な威力はある。

The Bangles – Manic Monday

コーラスが入ってからが、実にいい。
歌っているカエル声の女性が、スザンヌ・ホフスだ。
彼女の流し目殺人光線が炸裂しているのが、全米1位となったこれ。

The Bangles – Walk Like an Egyptian (Video Version)

でも、オレが昨夜気になったのは、ソロになって出したこの曲だった。

Unconditional Love (Susanna Hoffs)

これを昨日、なにかの拍子に聞いてしまい、グッときたのだった。
椎名林檎がカバーしているので、知っている人は多いのだろう。シンディ・ローパーの曲。シンディとスザンヌは親友だったらしい。

3年前にソロアルバムを出しているらしい。Amazonで調べた。好評。買うか。ポチるか。いや、TSUTAYAで借りておくか。ぐぐっと迷う。
そしてたぶん、スザンナ関連の検索をこれからして、夜更かし注意報が発令されるのだ。