伊藤蘭ソロコンサート

8時起き。

午前中、書き物などをし、11時40分頃に臨海病院へ。
母が来て、父が手術を受けると言ったという。
どういうことかと聞くと、今朝、巡回してきた医師に「90まで生かします」と言われたとのこと。それで気持ちが変わったのだそうだ。
しかし、母がその場で、術後の体力低下について話すと、やはりやらないという結論になったそう。結局、結論は変わらないのだが、気持ちが揺らいでいるのだと思った。当たり前だ。しかし、90まで生かすという言葉の根拠が気になった。励ますために言ってくれたのだろうか。

妹が来て家族全員が揃った。看護師さんが来て、医者の説明について、その傾向と対策みたいなことを言ってくれた。野ウサギを思わせる顔立ちのかわいい女性だった。

12時を少し回ってから面談室に案内された。先生はすでに来ており、ノートPCを開いていた。

手術をしなかった場合の説明を10分ほど受けた。予想はしていたが、そうだろうなあという内容だった。

ただ、することで延びた余命がどのようなものになるかを質問すると、先生も口ごもった。

どうしますかと先生に問われ、父ははっきりと拒否を表明した。

先生は、わかりましたと言い、今いる外科病棟から内科に移る手続きをすると言った。心なしかほっとしているように見えた。父の年齢や状況を考えても、決して進んでやりたい手術ではなかったと思う。

病室に戻ると昼の食事がすでに届いていた。母に、たぶん退院はそれほど先のことではないのではないかと言い、父と握手をし、病室を出た。ナースステーションで、さきほどの野ウサギ看護師さんに声をかけられ、少し立ち話をした。彼女も、手術には反対だったのだろう。態度や話し方がそれを示していた。

頭が痛かった。

駅前の本屋で「ロッキンオンJAPAN」を探すが置いていなかった。

2時半帰宅。お粥を炊き、キャベツと卵の味噌汁を飲んだ。

ぼんやりと過ごし、5時過ぎに再び家を出て、自転車で高円寺へ。そこから水道橋へ。南口のVELOCEに入った。その辺りは、以前の仕事場にいた時、ランチによく通った。訪れたのは六年ぶりくらいだった。「ハングリーカレー味川」は店を閉じ、同じ建物に「カレーは飲み物。」が入っていた。よくカツ丼を食べた古くてこぢんまりとした居酒屋はなくなっていた。すた丼の店もなくなっていた。

6時40分、東京ドームシティホールへ。入り口に、五、六十代男性たちの長い列ができていた。

伊藤蘭のファーストソロコンサート。
キャンディーズ解散から41年経ち、女優に専念してきた蘭さんが今年初めてソロ歌手としてアルバムをリリースした。アルバムに合わせてコンサートも開かれることになった。知ったのは4月だったか。速攻でチケットを入手した。
キャンディーズのリアルタイムファンではない。まだ子供だった。しかしテレビ番組の「 みごろ!たべごろ!笑いごろ! 」は見ていた。解散して、次の週から別の女子三人組がレギュラーになった。子供ながらにさみしい気持ちになった。
キャンディーズが好きだとはっきり自覚するようになったのは二十歳を越えてからだ。CDを聞いて、幼い頃に見た記憶や解散時のさみしさが知っている曲と結びついた。ま、後追いファンだ。このブログでも過去に散々書いてきた。

正直、今日はライブに行きたいという気持ちではなかったが、入り口にずらっと並ぶアニキたちが発するノナネールの瘴気が、自分もまたこの日を待ち望んでいたことを思い出させてくれた。

席はアリーナ。前から11列目だった。良い席だ。会場前のBGMに、キャロルキング「君の友だち」、フリートウッド・マック「リアノン」、 オリビア・ニュートン=ジョン 「ザナドゥ」などがかかっていた。蘭さんの選曲かなあと思った。

開演すると、客席のあちこちから「ランちゃーん」の声が聞こえた。おそらくノネナール系男子であろうと思ったが、声は不思議と二十代のままだった。

蘭さんの歌はアルバム曲が中心だった。一曲目はさすがに緊張しているのがわかったが、歌ううちに声はどんどんしっかりしていった。蘭さんの声も不思議と二十代のままだった。
アルバムは聞いていなかったが、トータス松本の曲が実に良かった。よくできたアイドル歌謡曲という感じだった。そういえばウルフルズは「春一番」をカバーしていたなあと思い出した。

バンドは手練れ揃いで、コーラス二人とダンサーを従えたステージは、予想以上にちゃんとしていた。もっとささやかな、歌だけのショーではないかとも思っていたのだ。

キャンディーズのアルバムに入っているソロ曲を二曲歌った。「アンティックドール」という、蘭さん作詞の曲は、キャンディーズ時代よりもボーカルが安定しており、なんだか現役時代より歌が上手くなっているような気がした。

後半が過ぎてから、蘭さんの朗読が始まった。自分で書いた、歌詞みたいなものを、きれいな声で読むと、いきなり「春一番」のイントロが流れた。思わず「おおおーっ!?」と声が出た。次の瞬間、会場全体が爆発した。
そして、蘭さんはランちゃんになった。
声が、キャンディーズの時のまんまだった。

「その気にさせないで」「ハートのエースが出てこない」「年下の男の子」と、キャンディーズの曲が四曲続いた。ランちゃんの声は驚くほど安定していた。特徴である裏声がきれいに出ていた。

嵐のような4曲が終わり、最後の曲へと続き、ランちゃんはステージを去った。しかし拍手は鳴り止まなかった。数分してバンドメンバーとランちゃんが再び出てきて、アンコールにアルバム曲を歌った。いい曲だった。

二時間弱のライブだった。いいライブだった。もともとコーラスグループで、ソロ活動をしていなかったランちゃんにとっては、これは「デビュー」なのだ。キャンディーズ時代も一人で歌う場面はあったのだが、スーちゃんやミキちゃんがいないと、どこか頼りない印象を持つこともあった。しかし今日のランちゃんは、終始落ち着いていた。一人で歌うという責任をしっかり背負っていた。歌手活動再開にあたっては、そうとうきちんとトレーニングを積んできたのだろうと思った。

会場を出る時、エレベーターでアニキ二人組が興奮して話していた。「おれもう泣きそうですよ!」「なあ!来て良かったよな!」

高円寺に着くと雨が降っていたので、エクセルシオールに入って雨宿りをし、伊藤蘭関係のツイートを検索した。数は多くなかったが、感動している人がほとんどだった。

10時半帰宅。夕食にご飯、味噌汁、鯖の水煮食べる。

色々なことがあって、頭が混乱していた。2時まで、検索したり、本を読んだりして過ごした。