「午後の光」初日

6時半起き。一汁一菜食で朝飯。
二度寝し、8時半起き。洗濯した衣装をリュックに入れる時、ベストがないことに気づいた。
月曜の稽古の時、壊れたリュックとシャツを持って帰ったのだが、その時一緒に持って来たかどうか、記憶が曖昧だった。しかし、洗濯物を取り込む時、ベストをしまった記憶がなかったから、楽屋に置いているはずだと思い、家を出た。

阿佐ヶ谷から八王子へ。11時前着。小屋入り前に無銘庵近くの「ふたばや」へ。11時過ぎに行ったが、開店間もないというのに満席だった。
紙に注文を書いて渡す方式だった。「温 1.5玉 肉 たぬき」で注文した。温かい肉入りたぬきうどんだ。
やってきたうどんは、丼に揚げ玉が山ほど盛られており、てっぺんの玉が汁に浸る時、ジュッという音がした。揚げたてなのだ。
うどんは太さが不揃いの、手打ちそのものといった感じの麺だった。汁は甘辛く、すき焼きの割り下を思われる味で、肉とよく合った。夢中で食べ、大量の汗をかいた。

12時に小屋入り。段ボールのサイズ修正、動きの直しをしてからゲネプロ。いきなり、コートを仕込むのを忘れたために、やり直しとなった。失敗した。そこでオタオタしたというわけではないが、前半のオノさんとの絡みは大人しめになってしまった。
ゲネ後、修正稽古と直しをする。大げさに一回やる。その後、本番の準備に入る。

5時45分開場だったが、お客さんが早めに来られたとのことで、5分ほど早く開場する。二階の楽屋部屋にこもって開演を待つ。普通の民家の部屋なので、居心地が大変よかった。むしろ良すぎて、寝っ転がりそうになった。
開場から開演までの時間が、ちょうど日没時間と重なっていて、外はどんどん暗くなっていった。
5分前に、白幕を張るために舞台に出る。気分は落ち着いていた。口笛を吹きながら幕をセッティングする。客入れ時間なのだが、お客さんはもう芝居が始まったのかという感じでこちらを見ていた。
打ち合わせ通り、客電が落ちて芝居が始まった。ゲネよりもいい感じだった。天井に月の飾り物をつけ、小道具の水筒、ラジカセ、双眼鏡を身にまとい、ランプをつけ、帽子を被ってコートを羽織り、舞台の明かりを暗くして本編が始まった。

始まってすぐ、大失敗に気がついた。眼鏡をつけていなかった。舞台に上がる前、目にまつ毛が入り込んでしまったのをとるため、眼鏡を外し、ウェットティッシュを使ったがとれず、洗面所で目をそっと洗い、ティッシュで拭いた時に5分前になった。そのまま下に降り、舞台に出ていったのだが、外した眼鏡をかけるのを忘れてしまったのだ。
あちゃー、だった。何してんだオレはと思った。眼鏡をオノさんが外す場面があるが、そこはどうすればいいだろう。パントマイムでやれるが、オノさんと相談もできない。
しかし、もう出てしまったのだから仕方ない。こうなったら超・いい芝居をするしかないなと思い、そこから先は眼鏡をすでにかけているものと思いながら芝居をした。
肝心の場面は、オノさんがアドリブで台詞を替えてくれたので、それに合わせて芝居をした。眼鏡を外すことで表現しようとした葛藤は、眼鏡がないことでかえってむき出しの感情として心に迫ってきて、こういうことだったのかと納得ができた。
50分と少しで本番終了。台詞を忘れることなく無事終われて良かったが、終わってすぐオノさんに謝った。目にゴミが云々をギャーギャーいうのは不適切に思われた。恥ずかしかった。

お客さんは、終わった時拍手をくれたので良かった。音もなく、入り込んでいた役柄をリセットして、俺本人に戻るだけで終わりを伝えないといけないので、そこだけちょっと不安ではあった。スタッフさんが先んじて拍手をしてくれたのも良かった。終わりのサインになっていたと思う。

清水、榊原、飯川来る。榊原に、夏フェス土産のPerfumeタオルをもらった。
マグに良く来てくださるモリイさんも見に来られた。ありがとうございましたと挨拶し、その後テンパって、お住まいはどちらですかとか、遠いところをわざわざとか、その辺の言葉を吐き散らしながら超動揺してしまった。
野武士来る。お土産にどら焼きをもらった。

明日の集合時刻を決めてから撤収し、清水くんたちが飲んでいる店へ。八王子北口のジンギスカンの店だった。ビールを飲む。メニューは羊ばかり。しかし、脂が滋味深く、どれも実に旨かった。羊は旨いんだなと思った。

9時過ぎに店を出る。清水飯川は京王線、榊原は横浜戦、オレは中央線と別れる。

是枝裕和『映画を作りながら考えたこと』読む。是枝さんは、理想主義と現実主義のバランスが非常に良い人だと思った。どちらかに極端に触れないから、滞ったり中止になったりというトラブルがそれほど多くない気がする。プランBの使い方も上手い。

10時半帰宅。シャワーを浴び、メークでやっていた総白髪頭を落とす。

2時過ぎ就寝。