梶芽衣子が「まちぶせ」を歌ったら

7時起き。朝飯にご飯、鰺、味噌汁。

母にDVDプレーヤーの操作法を聞かれ、説明する。いつも、こちらの説明するペースと、母が質問するペースが噛み合わず、イライラさせられてしまうのだが、今日は「イライラするのは噛み合わなさが原因なのだ」ということが初めから頭にあったので、わりとスムーズに教えることができた。「でもすぐ忘れちゃうんだよな」と母は言った。それは年だから仕方ない。

7時半過ぎに家を出る。9時前に初台へ。

午前中、古株ツールのエラーについて調査する。コードマスタの上書きと更新がうまくいかなかったことによるものだった。なぜそれが起きたのか、シミュレーションをしようと調べているうちに、昼になった。

昼、「ラーメン坂内」に長い行列が出来ているのを見た。ビルの地下にある店だった。当然、坂内はスルーし、時間をずらして「大勝軒」に行った。つけそばを食べた。

午後、コードマスタ更新を再現しようと試みたが、バックアップデータがあるわけではなく、更新が行われた時点のフォームの状態を想像するしかなかった。データの復旧は楽に出来そうだったので、ボスに報告し、修正を行った。

そして暇がやってきた。

暇つぶしに2019年を振り返った。結構色々あった。
1月 Commodore64実機よるデモソフト実行 ジュリー、レキシライブに行く
2月 豚汁フェスタ行く 肉離れ
3月 板橋Cityマラソン
4月 北海道弾丸旅
5月 自転車盗難 新車購入
6月 伊藤蘭ライブ行く らっきょう漬ける 梅酒漬ける
7月 ぬか漬け始める 瀬戸内弾丸旅
8月 毎日10キロ走る 150キロ自転車旅 修善寺記憶たどり旅
9月 午後の光公演
10月 ジョーカー、真実、宮本から君へ見る
11月 松戸マラソン 攻殻機動隊はまる
12月 ピアノ発表会 U2ライブ行く
興味の対象がコロコロ変わっている。落ち着きがねーなー。

夜、オフィスの忘年会に参加する。つきだしからメインの鍋まで、どれも美味しかった。食べ物はすべてひとりひとりに小鉢で出してくれたので、取り分ける手間がないのがよかった。

元写真家だったT氏と話す。沖縄に住んでいたというので、おすすめの離島はどこかアドバイスを聞く。ただし、1月2月は行っても雨ばかりとのこと。

10時前に散会。こういう忘年会に参加して、過去、あまりいい思いはしていないのだが、今日はなんだか気持ちが落ち着いていて、楽しく飲めた。

10時過ぎ帰宅。ハイボールを飲み直し、懐メロをYoutubeで聞いた。「さらばシベリア鉄道」「木綿のハンカチーフ」「まちぶせ」あたり。

ストーカーソングとして有名な「まちぶせ」も、三木聖子が歌うと切なく聞こえる。

三木聖子はジュリー主演の狂ったドラマ「悪魔のようなあいつ」で、ジュリーの妹・いずみを演じた。「まちぶせ」が出たのは翌年で、その次の年くらいに引退した。咲く期間の短い可憐な花のような人だった。「だった」なんて書くとリアルタイムで知っているみたいだが、当時おれはまた乳児OBの現役幼児だったのでまったく知らなかった。

「まちぶせ」自体は石川ひとみバージョンで知った。ひとみは聖子より健康的なので、切なさはあまり感じなかった。

梶芽衣子がこの歌を歌ったらどうなるだろう。
こんな場面を想像した。

夕暮れの街角で喫茶店を覗く、女囚701号松島ナミ。
店内には微笑み見つめ合うカップルがいる。
ナミは唇を噛みしめ、口元から赤い血が流れる。
「あなたとこんなふうに会ってるからなのね……」
店内のカップル、何ごとかを感じ窓の外を見る。ナミの姿はない。
ナミは街角を走る。ナミ自身のナレーションが被さる。
「好きだったのよあなた、胸の奥でずっと」
ナミは坂の上で立ち止まり、喫茶店を見下ろす。手にドス。
「もうすぐ私きっと、あなたを振り向かせる……」