『怒りの葡萄』読了

リモート関連調整のため、金曜日までやることがなくなってしまった。そのため、空き時間は『怒りの葡萄』を読んで過ごした。

夕方、水道道路を10キロ走った。ペースを一定にして、呼吸の苦しさに注意を向けた。
そして、苦しさは呼吸の苦しさだけにあらず、ということに気がついた。先に苦しくなるのは心臓で、結果として息が上がるのてはないかと思った。
ラストは100メートルダッシュ3本と300メートルダッシュをやった。この時も、心臓が苦しくなっていく感覚に注意をした。呼吸が苦しくなったのは、ダッシュを終えてからだった。

『怒りの葡萄』下巻読了。
ジョード家は官営の野営場でひと月過ごしたが、その土地近辺で仕事を見つけることができず、お母のひと声で仕事を探しに北へ移動する。途中、パンク修理をしていると、うちの農場で桃摘みをしないかとスカウトされ、一家はそこへ向かう。その農場の賃金は安く、家族総出で摘んでやっと1ドルだった。しかも農場付属の売店は市内より値段が高かった。
トムは、その農場の野営地を見回っている時に、家族の犠牲になって逮捕されていたケイシーと出会う。ケイシーはストライキの指導者になっていた。そこへ、スト粉砕を目論む自警団がやってきて、もみ合いのうちにケイシーを殺害する。トムは反射的にケイシーを殺した男を殺す。
ムショ帰りのトムは、もしここで見つかったら再びムショ行きになってしまうので、家族は農場を脱出し、尋問対策のため裏道を走る。その途中で綿畑に気付き、そこには仕事があるはずだとふんで、トムはその近くに身を潜め、家族は綿畑で仕事をすることになった。
綿畑の仕事はまずまず順調だったが、娘のルーシーが、お菓子を奪った悪ガキに、人を殺したことのあるトム兄貴がおまえらをやっつけるというようなことを言ってしまう。お母はトムのところへ行き、どうしようかと相談する。トムは家族と別れ、去っていく決意を固めていた。彼はケイシーの衣鉢を継ぎ、労働運動に身を投じようとしていたのだった。母と息子はそこで別れる。
摘み取りシーズンは終わり、雨が降り始めた。野営地そばの沢は水かさを増していた。ロザシャーンが産気づき、トレーラーハウスで出産するが、死産に終わってしまった。雨は降り続け、お父は他の労働者たちと即席の堤防を作る。しかし上流から流れてきた木のため、堤防は簡単に決壊し、トレーラーハウスは水浸しになる、家族はアルの案で作った棚に荷物を移動し、帆布を張り、雨をしのぐ。いったん雨が上がっても水は引かなかった。そしてまた雨が降り始める。上の方に移動し、そこに納屋があることを知った家族は中に入る。中には男とその息子の少年がいた。男は息子に率先して食料を譲ってきたため、弱り切っていた。彼を助けるため、お母は男とロザシャーンと自分を残し、他のものを外に出す。ロザシャーンは男のそばに添い寝し、彼を生かすために、乳房を含ませ、謎めいた微笑みを浮かべる。

映画『レディ・バード』の冒頭で、レディ・バードと母親は、車の中で『怒りの葡萄』の朗読テープのラストシーンを聞いていた。二人とも泣いていた。あの映画の冒頭は、大学見学のため、カリフォルニア州のあちこちを母娘二人でドライブした帰りという設定だった。
『レディ・バード』は、自立の話ではあるけれど、家族の話でもあった。『怒りの葡萄』と設定が重なるわけではないが、底に流れている信念みたいなものが、同じのような気がする。

映画『怒りの葡萄』について調べた。ジョン・フォード監督作品として1940年に撮られているそうだった。出版してすぐだ。主演はヘンリー・フォンダ。AmazonPremiumでちょっとだけ見たが、冒頭シーンなど、原作に忠実に撮られていた。これ、近いうちに見ないといかんな。