身延線を下る

スマホのアラームで目が覚めた。7時過ぎだった。もう一度温泉につかるか迷ったが、結局やめにした。

朝食バイキングを食べ、部屋に戻って荷物をまとめた。そそくさとホテルを出る。バス通りで時刻表を見ると15分待ちだったので、運動がてら次の停留所まで歩く。三つくらい移動すると8分待ちくらいになったのでそこで待ち、来たバスに乗って甲府駅へ。

9時過ぎの身延線に乗った。ロングシート車両なので少し残念だった。

富士川に沿って電車は南下した。遠くに南アルプスの峰々が見えた。昔行ったことがある奈良田温泉のある方角だった。

車内に延々と話をする熟年夫婦がいた。妻が自分の勤めている職場について愚痴を言っているように聞こえたが、知り合いの女の子の話が出てきたりして、内容はまったくわからなかった。しかし一貫して妻が夫に延々と不満を訴えていることはわかった。強く、ではないため、逆に訴える時間は長くなり、電車が静岡県に入るまで1時間以上は話し込んでいたと思う。夫の方もさすがに終わりの方になると辟易しているようだったが、そもそも妻は別に文句を言っているつもりはなかったのかもしれない。

静岡県に入ってからは富士山がよく見えた。冠雪していなかったので、別の山に見えた。

富士宮駅で降りた。時刻は12時過ぎだった。この駅に決めたのは単純で、昼飯に富士宮焼きそばのしぐれ焼きが食べたかったから。

駅から5分ほど歩き、『虹屋ミミ』という店に入った。小さい店だった。先客がふた組いた。しぐれ焼きのミックスと缶ビールを頼んだ。テイクアウト注文をした常連客がやってきて、店のマスターと今年の祭りについて雑談していた。

しぐれ焼きは富士宮焼きそばを使ったお好み焼で、広島風のように層になっておらず、全体をヘラで押さえつけて薄くしているようなものだった。甘めのソースが美味しかった。ビールと一緒に食べたせいかかなり腹が膨れた。

店を出て、イオンモールに入っている書店に行った。『新潮』2月号を買うか立ち読みするかしたかったのだが、なかった。

身延線富士行きの時刻が迫っていたので駅に戻り、1時40分過ぎの電車に乗った。富士駅で熱海行きの東海道線に乗り換える。

熱海には2時半ごろ着いた。降りて『源楽』のまんじゅうを買おうか迷ったが、次の電車の乗り換え時間が5分しかなかったので諦めた。

上野東京ラインに乗り、国府津でグリーン車券を買って湘南新宿ラインに乗り換えた。ガラガラのグリーン車でスマホ用キーボードを出し、少しだけ書き物をした。その後、『倫敦塔・幻影』読了。文語体で書かれている「薤露行」が少し読みづらかった。最後に収録されている「趣味の遺伝」が面白かった。語り手は漱石本人を思わせる人物。日露戦争の帰還兵たちを出迎える人の群れを見て、戦死した友人を思い出す。彼は旅順の戦いで、塹壕の中で機関銃に撃たれて死んだ。母一人子一人で、残された母は悲嘆に暮れている。慰めに行きたいが、泣いてばかりなのと、自分はそういう時に適当な言葉を選べないため相手を不快にさせる可能性もあるので、母を訪ねる代わりに墓参りに行く。すると絶世の美女が友人の墓に詣でている。好奇心がわき、その美人は誰だったのかを調べ、色々あってその美人が友人の母と懇意になるようにさせ、二人が義理の母子のようになっていることに満足する、という話だった。
語り手の『漱石』が滑稽でおかしい。新橋駅で帰還兵を見ている時、群衆に阻まれて乃木将軍が見えず、ジャンプして見てやろうとする場面や、謎の美女について手がかりを得るため、友人の父方がいた藩の古老を訪ねて話をする場面が笑った。素の漱石を感じた。

4時半頃に電車は新宿に着いた。丸の内線に乗り換え、5時過ぎに新高円寺着。ファミマで買い物をして帰宅。夕食にチキン南蛮を食べた。

結局、一日中電車に乗っているだけだったが、運転とは違って本を読んだり書き物をしたりできるのは良かった。普通のグリーン車に乗ったのは初めてだったが、これも快適だった。

12時まで何もせず。ダラダラこたつで過ごす。

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