現金に体を張った

9時半起き。
朝飯に担々麺のカップ麺を食べた。

Youtubeで、旧江戸川シーバス関連の動画を見る。昨夜、舞浜大橋南側のポイントでシーバスが釣れたらしい。ルアーはサイレントアサシンだった。あの辺のポイントは魚が居つきやすいのかなあと思った。

昼、トーストとベーコンエッグ食べる。ふと、ヘミングウェイの「ファイター」を読みたくなり、本棚から高見浩訳の『われらの時代』を抜き出して読む。声に出して読むと落語みたいになった。
「頭が割れるようにいてえんだよ、バグズ」
「今に良くなるさ、フランシスさん」
ベーコンエッグの場面と、このセリフが、ずーっと印象に残っている。

1時、走りに行く。昨日と同じくダイソーめぐりをした。
祖師ヶ谷大蔵のダイソーに向かった。店舗規模が中型のダイソーでは中野の次に家から近い。

外は寒かった。気温は10度以下だと思った。1月や2月に走る時と体感温度が同じだった。

荒玉水道を南下し、環八を渡って、住宅地を抜けた。途中、世田谷のクラフトビールを造っている酒屋の前を通った。普通の家の門だったが、張ってある地図によると酒屋らしく、ビールはそこでしか売っていないようだった。お店は閉まっていた。次に走る時は買いに来ようと思った。

ダイソーに到着。店舗規模は確かに大きかったが、驚くほどではなかった。しかし、釣り具コーナーの品揃えは良かった。スプリットリング、フック、蛍光ジグヘッド、ソルト用ジグヘット、シャッドテールワーム、光沢紙2L、アイロンプリント用紙を買った。

買いたいものはすべて買ってしまったので、他のダイソーに行くのはやめ、荒玉水道を走って戻った。距離調整のため、甲州街道を渡ってから住宅地に入り、西永福を回った。ファミリーマート手前でゴール。走行距離はちょうど16キロだった。

今月の走行距離が100キロを超えた。12月にそんなに走ったのは初めてだ。なぜだろう。特にたくさん走ろうと意識したわけではないのだが、秋よりよほど走っている。

ファミマでキャラメルナッツタルトとコーヒーを買った。

3時過ぎ帰宅。入浴。

ドラッグストアへ行き買い物。ビール、ハイボール、コーラサワー、しゅうまい、さば水煮缶買う。

4時半、早めの夕食。フルーツグラノーラと豆乳食べる。
その後、しゅうまいとさば水煮を魚にしてビールやサワーを飲む。

7時から2時間ほど仮眠をとる。

9時20分に起きる。

夜から朝まで、リキッドルームでやっている石野卓球の地獄温泉に行く予定だった。開場時間は11時。行く前に『永福大勝軒』で腹ごしらえをしようと思い、自転車で永福町に向かった。

荷物は持たなかった。駐輪場まで家から2キロ弱程度なのでグローブもしなかった。そのくらいなら大丈夫だろうと思ったのだが、走りはじめてすぐに後悔した。駐輪場に着いた時には指先が冷え切っていた。

両手をポケットに入れ、セブンイレブンに向かった。現金がなかったのでATMでお金をおろすつもりだった。

井の頭通り沿いのセブンに入った。コインロッカー代とドリンク代とSuicaのチャージ代があればいいので、9000円ほどおろすつもりで、ATMにカードを入れた。

カードが戻ってきた。残高不足ではない。三井住友銀行が営業休止の時間帯に入っていた。

8年ほど前、芝居の稽古帰りに飲みに行く途中で、飲み代を引き出すためにコンビニへ行ったのに、お金を引き出せなかったことがあった。コンビニに行こうとする時、出演者の誰かから、「この時間、引き出せないんじゃないですか?」と言われ、「大丈夫だよ」と自信満々に答えたが、結局引き出せず、バツの悪い思いをした。

今日が、その時と同じ時間帯だったかはわからない。調べると、三井住友は日曜の夜9時から月曜朝7時までを取引の一時停止時間としているようだった。

現金が財布にないのは金曜日からわかっていた。しかし、キャッシュレス生活を三日間送ってしまったため、引き出すことが頭に浮かばなかった。

だが、腹ごしらえの『大勝軒』が食えなくなっただけだから、我慢すればいいだけだと判断した。
財布の小銭入れを見た。700円とちょっとしか入っていなかったが、永福町と恵比寿を往復するには十分だ。Suicaを使えばロッカー代は残る。

それでも現金がないのは不安だったので、引き出す方法を考えた。クレジットカードは持っていたが、現金を借りられる設定にしていなかった。住信SBIの口座にも現金が入っているが、こちらはカードを持ち歩いていない。

あとになり、住信のスマホアプリで引き出しができることを知ったが、この時は知らなかった。また、家に帰れば住信のキャッシュカードを持っていると思いこんでいたが、実は持っていないことも、この時は知らなかった。

家に帰って住信のカードを取ってこようと考えたのだが、手の冷たさを思いだしてやめた。やめて正解だったことになる。時刻は9時50分になっていた。開場までそんなに時間もなかった。

とりあえずローソンへ行きチケットを発行した。

改札に向かい、Suicaをタッチする。アラームが鳴った。残額が12円しかなかった。

渋谷までの交通費は140円。そこから恵比寿への交通費を足せば280円。往復560円。所持金の700円から引くと、残額は140円。ロッカー代アウトだ。

だが、明日の朝7時になれば現金は引き出せる。片道280円だけ使うなら、残額420円と、その他、残った小銭をかき集めれば500円にはなるから、両替してもらえばロッカー代は出せるだろう。ギリギリの状況だったが、まだ何とかなる。

電車に乗った。そして、現金を引き出す方法を思い巡らせた。

今年の6月に財布を紛失した時も、同じような状況に陥った。その時と同じように、スマホで現金を引き出す方法を検索した。方法は二つあった。PayPayかラインのアプリにお金をチャージして、コンビニで引き出す方法だった。

PayPayは、日頃クレジットカードを登録して払っているため、チャージ額がほとんどなかった。だが、先ほど家からカードを持ってくることを諦めた住信の口座からチャージができるかもしれなかった。

車内でアプリを開き、口座登録をしてみた。ログインをし、取引パスワードを入れるなどの手順を踏むと、PayPayへの銀行口座登録はわりと簡単にできた。

続いてチャージをした。しかし、銀行の残高が不足しているというメッセージが出てしまった。

残高不足ということはないはずだ。住信のサイトを見てもはっきりと残高が確認できた。口座登録はできても、使用できるようになるまでは時間がかかるのだろうか。いずれにしても、チャージができない以上、現金の引き出しもできない。

渋谷に着いた。JRの改札に向かう途中、目の前の階段でキャリーケースを持っていた女性がずっこけて、ケースが倒れる音がした。滑ったのかなあと思いながら、その女性を特にじろじろ見ることなく、むしろスルーするように、視界に入れたまま通り過ぎようとした。
女性は階段にケースを立て、うつむき気味に四つん這いになっていた。別の女性がかがみ込んで、バッグから何か出していた。転んだ女性を後ろから見ると、血を床にポタポタたらしていた。鼻血を垂らしているような見え方だった。

ぶつけたのかしらと思いながら改札に向かった。改札を通り抜ける時、事務室に男性が入って行き、駅員が飛び出して行った。さっきの女性のところへ行ったのだろうかと思った。改めて心配になった。ぶつけて鼻血程度だったらよいが。

恵比寿に着いた。10時20分だった。

小腹が空いていた。現金はなかったが、キャッシュレス時代を生き抜く装備は手元にある。町を見渡すとマックやコンビニがあった。さっき食い損ねたのはラーメンだ。何でもいいから麺類が食いてえ、と思った。

セブンに入った。ポークチャウダーヌードルと、トリスのポケット瓶を買った。カップにお湯を入れ、外に出てうろちょろし、昔バイク便時代に恵比寿で待機するときによく行った公園でカップ麺を食べ、ウイスキーを少し飲んだ。

ウイスキーを飲んでいる時、はたと気づいた。
リキッドルームって、ドリンクチャージなかったっけ?

昨年の地獄温泉の記憶を探った。ロッカーに荷物を入れたのに、ドリンク代を出しておくのを忘れ、ロッカーをまた開けたのを覚えている。でもそれは開始2時間後くらいだった。入場時はどうだったか覚えていない。

でも、入場時にドリンクチケットを買わないといけないならアウトだ。財布には569円しかなかった。ドリンク代はたしか600円だったはずだ。

じゃあ、ドリンクチャージができないためすごすごと帰り、悲しい気分で年末年始を過ごさなくてはならないのだろうか?
とーしーの、はーじめーの、たーめーしーとてー、を、マイナーキーに転調しなくてはならないのだろうか?

なんとしても現金を手にしないといけないと思った。

再びネットを検索した。

どうも、PayPayではスマホだけで現金を下ろすのは難しそうだった。セブン銀行に振り込んで、セブンのカードで引き出すという説明がネットにあったからだ。セブン銀行の口座は持っていない。

対してLINEは、スマホアプリを使っての引き出しができそうだった。ただ、LINEのチャージ額は760円しかなかった。チャージ用の口座設定を見ると、三井住友銀行が登録されていた。おそらく6月に設定したものだ。しかし、一時停止中となっていた。

住信SBIの口座をLINEに登録した。手続きはPayPay同様簡単にできた。そしてチャージを試してみた。

ダメだった。残高不足と出た。

ここで終わりか?
それとも、コンビニにいる人に、「これこれこういうわけなんで、あなたの買い物を私のPayPayでさせてくれませんか? そしてそのお金を現金でくれませんか?」と頼んでみようか。

ふと、先ほど住信SBIの口座で残高を確認した時のことを思い出した。SBI内にオレの口座が二つあったが、金を入れているのは片方だけなのだ。もう片方はいわゆる普通口座だ。チャージは普通口座から行われるのではないか?

住信SBIのサイトへ行った。口座情報を確認すると、普通口座の残額は0円だった。金額ボックスに3000円ほど入力し、振替を押すと、もう一つの口座からの振替があっけなくできた。

次にLINEアプリに移り、住信SBIから3000円をチャージした。

できた。

公園から、カップ麺を買ったコンビニに戻り、ATMのところへ行く。スマホから手続きするボタンを押すと、QRコードが表示された。LINEアプリでコードを読むと、スマホに企業コードと取引コードが表示された。それをATMに入力した。金額入力画面になった。3000円と入力する。ATMが振動し取り出し口が開く。3000円が出てきた。つかみ取りガッツポーズをした。スマホの時計を見ると10時50分。開場まであと10分だった。

リキッドルーム近くへ行くと、列が交差点のところまで伸びていた。11時開場だったが、手の消毒やIDチェックなどで、すぐ入場というわけにはいかないのだろう。

結局、20分くらい外に並んでいた。寒かった。中に入り2階に上がった。ドリンクチャージはなかった。しかし、3000円があったので、まずビールを買って飲み、ロッカーに上着とシャツと財布を入れた。財布から残りの現金を出してポケットに入れた。フロアから音が聞こえてきた。ビールを飲み終えてから1階に降りた。