5時半起き。
気分が憂鬱だった。
思い当たるフシはなかったが、間違いなく憂鬱になっていた。それ以上気分が下降しないように、予防のためロディオラを飲んだ。
入浴し、汗を流す。朝飯は食べなかった。
7時半に家を出る。自転車で現場に着き、コーヒーを飲みひと息ついていると、お腹が痛くなってきた。胃痛でも食あたりでもない痛みだった。
午前中、昨日発覚したページロック現象を分析した。
対象テーブルを参照するクエリを直接開き、手動で更新しようとすると、ページ単位のロックがかかってしまうが、テーブルを直接開いて同じことをすると、ちゃんとレコード単位のロックがかかった。
また、テーブルを参照したクエリをフォームのレコードソースにして、フォームで値の更新をしようとすると、ちゃんとレコード単位のロックがかかった。
ツールの動作としては、フォームで更新する時にレコードロックになっていれば十分なので、とりあえず大丈夫と判断した。
昨日、ユーザーから、ロックがかかって更新できないと言われたのは、オレが動作確認のためにクエリを直接ばんばん開いていたせいだ。きっとそうだ。
作業中、「ん?」とか「あれ?」とか思うたびに、お腹がキリリと痛んだ。傷みがストレスと連動しているかのようだった。
昼、フライドチキンと、惣菜ハンバーガーを食べた。食あたりの可能性も考え、コーラも飲んだ。
午後、お腹の痛みが時々やってきては遠ざかった。早退しようかなと思いもしたが、午後4時を過ぎると、せっかくだから最後まで残ろうという気になった。といっても作業は特になかったが。
夕方、ゆっくり自転車を漕いで帰宅。
途中、サミットで、ソーセージ、ホットドッグ用パン、コーラ、ウイスキー買う。
夕食にホットドッグ食べる。
腹痛はその後も時々やってきて、しばらく滞在し、数分でいなくなった。
ここ数日に食べたものを思い返してみたが、食あたりは考えにくかった。
かといって、胃痛や胸焼けとも違っていた。
8歳と9歳の時、それぞれ初夏に腹痛を起こしたことがあった。その時の痛みに似ていた。
謎の腹痛だった。下痢を伴ったものではなく、虫垂炎を疑われもしたが、結局三日くらいで自然治癒したのだ。
9歳の時は、腹痛が原因で高熱を発し、体温が40度まで上がった。仰向けに寝ていると頭から地面に沈んでいくような感覚があったので、横を向いて寝た。
今回、発熱はないので良かった。大人が体温40度を超すと精子が全滅することがあると、昔、バイトの先輩に聞いたことがある。
その先輩は、子供の時に水ぼうそうをやっていなかったため、息子が罹った時にうつってしまい、40度近い熱が出てしまったそうだ。大人が水ぼうそうに罹るとそうなるらしい。
先輩の奥さんは看護士だった。パパも一緒に病欠になったのなら、息子の面倒はパパが見てねと言い、ママは働くことにした。
玄関まで見送りにきた可愛い息子とバカなパパに、ママは言った。
「いい? お熱が上がらないように、きちんと冷やすのよ!」
「うん!」「おう…」
ママは息子を見て、自分のおでこを押さえて言った。
「あんたはここ!」
「うん!」
息子は自分のおでこを押さえた。
次にママはパパを見て、自分の股間を押さえて言った。
「あんたはここ!」
「お、おう」
パパは左手を自分の股間にあて、右手で小さくガッツポーズをした。