88センチのシーバスを釣った

7時起き。
朝飯に、ご飯、ぶりの偽西京焼き、きゅうりのぬか漬け。
偽西京焼きは、普通の自作味噌で漬けたから「偽」なのだが、結構おいしかった。

自転車で中野へ。
昨日止めた駐輪場について中野区サイトで調べたら、オレがゼニを払った駐輪場の住所が二ヶ所記載されており、うち一つが昨日止めたところだった。つまり、一つの事務所で二つのスペースを管理していることになる。昨日の駐輪場には事務所がなく係員もいなかったから、定期利用をしようとしたら、事務所のある駐輪場にいくしかない。「ひと月お願いします」と頼む時に、「ここじゃなくてもう一つの方でひと月」と、わざわざ言わないといけないのだろうか。サイトを見てやってきた人間がそのことに気がつくとは思えないし、分けることに意味があるとも思えん。だって、一度に二台止めたりとか普通しないのだから。

昼、『吉左右』というラーメン屋でラーメンを食べた。スープは魚貝出汁が効いたどろっとしたやつで、『風雲児』『荒海』に似ていた。好きなタイプのスープではないが、店のご主人と奥さんの接客が丁寧で心地よかった。

現場の休憩スペースに誰もいなかったので、新日本プロレス道場でやっているような腕立て伏せをしていたら、別フロアで業務をしているであろう見知らぬ女性が音もなく入ってきて、床を相手にそんな腕立て伏せをしているオレを見ると、びくっとして固まっていた。ここ十五年くらいで一番恥ずかしかった。

夕方、西葛西へ。6時、実家帰宅。夕食にカレーライス食べる。

7時に家を出る。自転車のライトが電池切れになっていたので、アコレで電池を買って交換した。
自転車で旧江戸川に向かう。ラジコで中日対ヤクルト戦を聞きながら走った。家を出た時、中日は3回表の攻撃を終え、5対0とリードしていた。

今夜は楽勝、うっしっし、と、大橋巨泉ふうに笑いながら自転車をこいでいたら、環七の交差点を渡った時に青木がスリーベースを打ち、続けざまに山田哲人がツーランホームランを打ち、村上もソロホームラン打ち、雷公園前の堤防に着いた時には5対3となっていた。

ワンドの下流側に陣取った。目の前がワンドで、少し沖のルアーが届きそうなくらいの距離に、流心っぽい流れがあった。
満潮時刻は7時台の後半で、流れはほとんど止まっていた。水面は波が立っておらず、鏡のようになっていた。

アングラーはちらほら見かけたが、2月や3月の大潮直後のように50メートル以内の間隔でずらって並んでいる感じではなかった。もうバチ抜けシーズンは終わったのかなと思った。だとすると、シーズン中オレは一匹も釣れなかったことになる。

そういう風に考えると気分がくさくさしてくる。目の前の現実に対して、丁寧に対応していかないといけない。釣れないオレ、イコール、人として大切なものが欠けているオレ、と、肝に銘じる。

ノガレから投げ始めた。アップに投げ、ごくゆっくりと引く。ダウンに投げて同じように引く。反応はなかった。それでも投げて引いた。

昨年9月から今年3月にかけての釣行回数を調べると、43回あった。振り返ってみると、釣れない可能性が高い時間帯なのに、釣りたいという気持ちが勝り、無理矢理釣りに行っていることが多かった。パチンコに例えると、回収期に差し掛かっている店の、ここ数ヶ月ドル箱を積んだ台を見たことがないシマで、一台一台打っていたようなものだ。パチンコを始めたばかりの頃の打ち方がそれだった。出るわけがない。パチンコで勝つためには、そういう打ち方をやめることからはじめる。出ている時には手加減なく徹底的に粘り、骨の髄まで出し尽くす。その中間、出たり出なかったりという時がもっとも多く、そういう時に、ちょっと出たらそれ以上打たずに帰るということができれば、勝率は上がった。しかし、それが最も難しかった。

ノガレの後、コモモ、ローリングベイト、マニック、エリア10の順に投げた。反応はなかった。

8時にディズニーランドの花火が上がった。その後くらいから流れが出始めた。地形と風のためか、岸に近い方は上げて、流心に近い方は下げているように見えた。
その時間あたりでアングラーさんに声をかけられた。ラジオの音量を切り、全然ダメですよと答えると、その人は、「でも、すごくいい感じに流れてるじゃないですか」と言った。

中日は6対3とリードしていたが、7回裏に村上のスリーランで同点に追いつかれた。また村上。さすが村上。
しかし8回表、最初のバッター石川昂弥がホームランを打った。公式戦初ホームランだった。

その時、ルアーはVJ-16を投げていた。表層系のルアーで全然反応がなかったので、底を引いてみようと思ったからだ。しかし反応はなかった。バチも抜けておらず、ボイルもなかった。

今日もまた釣れずにおしまいかなあと思いながらVJ-16を外した。中日はピッチャーがロドリゲスからマルティネスへのリレーに入り、勝ちを決めようとしていた。

ふと、ルアーボックスのアルゴ105が気になった。流れが止まっていたら水紋を立てながら引いてみようかと思い、持ってきていたのだった。

流れは、あるにはあるという感じだったが、上げと下げが混ざり、ドリフトさせるには難しい流れ方をしていた。ならばいっそこいつをドッグウォークさせてみようと思った。半ば投げやりな気持ちだった。

アルゴ105をアップに投げ、アクションをつけながら引いた。ルアーにアクションをつけながら引いたのは、昨年の11月以来かもしれない。冬からはスローのただ巻きしかしてこなかったからだ。

ダウンに投げて同じようにし、正面に投げ、またアップ、そしてダウンと、投げる角度を毎回変えて投げた。試合は9回裏、ヤクルトの攻撃になっていた。

突然ロッドがしなった。ダウンに投げてドッグウォークをさせている時だった。反射的に合わせると、アルゴ105の浮いていた辺りで水音が聞こえた。
リールを巻いた。巻き始めて少ししてから、かかった、と認識した。結構良いサイズだと思ったのは、そのさらに後だった。リールのドラグ調整がきつく、糸が送られていかなかったので、ラインのテンションを維持したままドラグを緩めた。やがて、引かれると適度に糸が出ていく塩梅になった。

左手でゴロタ石に置いていたネットを探って拾い、柄を伸ばした。ヘッドライトをつけた。かかったのはシーバスだった。結構近くに寄ってきていた。魚体のサイズに比べると、ネットのサイズがすごく小さく見えた。これは入らん、と思った。

シーバスをゴロタ石の傾斜に乗り上げさせてから、グリップで捕獲することにしようと決めた。岸辺の形状をみて、乗り上げやすそうな石に見当をつけ、そこへ魚を誘導するようにロッドをコントロールした。乗り上げる寸前に魚は反転した。ドラグがジジジという音をさせて鳴り、ラインが出ていった。音が止まるまで引かせてから、再びリールを巻いて同じことをした。今度はうまいこと、魚体の半身を石の上に乗り上げさせることができた。

頭から体の半分を石の上に横たえたシーバスは、一度大きく跳ねたが、丘に上がれは急速に大人しくなるはずと思い、そのまま二十秒ほど待った。跳ねなくなってから、その状態で魚体の下半分をネットに入れておこうと思い、水に浸かった尻尾の方をネットに入れた。しかし、想像以上に大きく、そのままネットで捕獲することはできそうになかった。そこで、魚がずり落ちて逃げないように、ネットは尻尾にかぶせたままにして、押さえとして使った。

右ポケットからフィッシュグリップを出し、魚体に近づいた。シーバスは口を大きくあけていた。こぶしが入りそうなほど大きかった。下あごにグリップをかけてロックし、魚体を持ち上げると、シーバスは体を大きく揺すった。しかし、ロックをしていればもう大丈夫だという安心感があった。

そのままゴロタ石を上り、遊歩道に魚体を横たえた。リュックからメジャーを出してサイズを測る。88センチだった。

リュックからプライヤーを出してルアーのフックを外した。フックは顎にしっかりかかっていたが、わりにすぐ取れた。ネットを被せた時、フックがネットに引っかかってしまっていたが、それを取るのは後回しにして、魚体をまっすぐにしてもう何枚か写真を撮った。

フィッシュグリップを再び下あごに引っかけ、ゴロタ石を下りた。岸辺にしゃがみ、そっとシーバスの体を水につけた。シーバスは一瞬体をひねった。グリップを外した。泳いでいくかと思ったら、シーバスは魚体を反転させてしまった。グリップを外すのが早すぎた。
流れていきそうになったシーバスをネットで戻し、体を180度反転させた。シーバスは再び体をくねらせた。今度は、自分が正しい位置に戻ったことを認識している風だったので、ネットを外した。その後すぐ、シーバスはほんの数回の身じろぎで、沖の底へ泳ぎ去っていった。

中日は7対6で勝利していた。

シーバスをグリップに引っかけてゴロタ石を上る時、ルアーを口にかけたままロッドを置きっぱなしにして上ったので、ラインが引っ張られて切れていた。ルアーはネットに引っかかっていたが、これは簡単に取ることができた。

納竿して家路につく。

アコレで、コーラと、祝杯用のホワイトホースを買った。

10時前帰宅。
ネットとルアーを真水で洗い、コーラにホワイトホースを入れて飲んだ。

なぜ釣れたのかを考えた。

アルゴ105は、晩秋のコノシロパターンのように、ベイトのサイズが大きくなった時に使うものだと思っていた。あるいは、初夏以降の夜、シーバスの意識が水面に向いている時に波紋で目立たせたい時とか。

今日は、それらのパターンに合致する日とは思えないので、作戦勝ちというわけではない。行き当たりばったりに、持ってきたルアーを投げたら、たまたまランカーサイズが釣れたのだ。

投げた方向はダウンで、ルアーの向きは上流を向いていた。その状態で、ロッドティップを小さくちょんちょんと動かしながらスローリトリーブしていたら、ガツンと食ってきた。おそらく、バチやマイクロベイトが多い環境で、大きめの弱った魚に見立てられたルアーは、縁に潜んでいた孤高のシーバスにとって、狙い目のエサというふうに見えたのではないだろうか。

やはりシーバスは、夜のベイトは上にいるという意識を持っているのだということだろう。ボトムを夜に狙うのはよほどの時と考えた方がいいのだろうか。12月に釣った黒鯛はボトムで釣ったが、あれは真冬だったからハマったのではないか。シーバスじゃなかったわけだし。

旧江戸川でシーバスを釣ったのは、2018年に通い始めて以来初めてのことだった。その「お初」が88センチのランカーサイズであったというのは、できすぎなご褒美だと思う。

そして、もしこれが昨年の10月や11月の出来事だったら、「めっちゃ嬉しい」とかツイートして、それで満足していたと思う。そして翌年の秋になるまで、釣りはしなかったと思う。

今日は、なぜか冷静だった。ドラグ調整もできたし、岸に寄せてグリップで捕獲なんていうことも、淡々と出来ていたと思う。たとえ釣れていなくても、40回以上こつこつと通い続けたおかげではないか。

荷物を片付けていると、魚の寸法を測ったメジャーを川に忘れてきてしまったことに気づいた。釣り用のメジャーではない。代用品だ。一匹も釣れていないのにメジャーを買うのは、取らぬ狸の皮算用そのもののように思えて、気が引けていた。でも、とにかく今日、釣った。だからもう、メジャーを買っていいはずだ。

2時就寝。

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