二度目の銚子川

5時起き。
朝飯に、昨日コンビニで買っておいたパンを食べ、ペットボトルのコーヒーを飲んだ。朝食に、ホテルのお弁当が食べられる宿泊プランだったが、お弁当が用意されるのは6時半からだったので、食べずにチェックアウトし、駅に向かった。

6時26分の新宮行きに乗る。松阪を過ぎた頃から風景が田園になった。車内にはなぜかカメラ小僧が数名座っていた。

8時53分に相賀着。空は雲が多く、山間方面は厚く立ちこめていた。

徒歩で、銚子川に向かった。昨年来た時は大きな駐車場が閉鎖されていたため、橋から上流まで歩いて、浅いところで泳いだ。今年は、駐車場はあいているが、駅から歩きだ。

いったん橋を渡ると駐車場があり、そこから河原に下りられるのだが、泳ぎたい淵はこちら側にあったので、川沿いを歩けば下りるスロープがあるだろうと思い、上流に向かって歩いた。

しかし、スロープはなく、橋から1キロくらい上流にあるいて、やっと階段らしきものを見つけたので、そこから河原に下りた。流れがごく浅かったので、サンダル履きのまま川に入り、向こう岸に渡った。

先ほど渡らなかった橋のある下流に向かって歩いた、川遊びをしている観光客は数組しかいなかった。平日の午前中であるためだろうと思った。

橋近くの、淵があるところには、数組の観光客がいた。深さがあるため、淵のところは水の色がコバルトブルーに染まっていた。河原にリュックを下ろし、ゴーグルとシュノーケルとマリンシューズを装備し、防水ケースにスマホを入れ、川に入ってみた。

岸から歩いて数歩で水深は足が届かないくらいの深さになった。泳ぎなからスマホで動画を撮影した。以前、石垣島に行った時は、防水ケースがスマホ画面にぴったりくっつくように使用していたため、戻ると水圧でボタンが勝手に押されたようになってしまい、まともな撮影ができなかった。今日は、防水ケースを空気で膨らませるようにして撮影してみたら、うまくいった。

曇り空だったので、水底で反射する光量が不足し、深いところはよく見えなかった。リュックのところに戻り、スマホをしまって、泳ぐだけのために再び淵をひと回りすると、大きめの魚が数匹いた。汽水域でそのサイズとフォルムは、シーバスかなと思ったが、確信は持てなかった。

泳いでいると、背中に水が当たるのを感じた。雨だった。岸に上がり、リュックに防水カバーを掛けて再び泳いだが、降り方がけっこう激しくなってきたので、橋の下に移動した。

橋の下にはベンチがあった。荷物をおろし、Tシャツを脱いで絞った。着たまま泳いだので雨が降ってきても別に構わなかったのだが、荷物が濡らすわけにはいかい。一眼レフが入っている。

橋の下で10分くらい待っていると雨はやんだ。もう一泳ぎしようかと思ったが、列車の発車時刻があと1時間にせまっていたので、引き上げることにした。

国道42号沿いのファミリーマートまで行き、納豆巻きとおにぎりを買った。店の外でそれらを食べた。

駅に向かう途中、『菊屋』という洋菓子店を見つけた。なぜこんなところに? と思い、ネットで調べると、国道沿いにあるため、車で買いに来る客が多い店らしかった。評判もいい。

店に入ってみた。いかにも、町のケーキ屋さんといった感じの店だった。レモンレーヌとチョコレーヌを一つずつ買った。

駅の待合室には誰もいなかった。ベンチに座って買ってきた『レーヌ』を食べた。要するにマドレーヌだった。素朴で、間違いのない味だった。

跨線橋を渡り、新宮方面のホームに移動した。11時51分の新宮行きに乗った。そこから先、線路は海沿いを走った。一眼レフで時々、海の写真を撮った。

13時20分に新宮到着。カンカン照りというくらい晴れており、電車を降りると暑気にクラクラした。

去年も感じたが、新宮の町は全体的に白くキラキラ光っているような印象がある。

市役所前の道を進んで、和歌山ラーメンの店『速水』へ行った。14時が閉店時間だったが、その前に店に入ることができた。
特製大盛中華そばを頼んだ。特製とはチャーシュー麺の意味だった。いわゆる和歌山ラーメンを食べるのはこれが初めてだった。こってりしているようで、つるつる食べられた。

店を出て、新宮城跡に向かった。昨年みたいに神倉神社へ行き、参道の石段を登ろうかと思わないでもなかったのだが、サンダル履きだったのでやめにした。

新宮城跡に上る階段も結構な傾斜があった。上りきってから下を見るとなかなかな角度だった。

熊野川がよく見えた。海も見たかったが、樹木が眺望を遮っていた。

階段を下り、その近くにあるショッピングセンターのダイソーへ行った。

ボクサーブリーフを探すが売っていなかったのでショッピングセンターを出ようとすると、なんと、外は雨が降っていた。入る時は兆しもなかったのに。

ダイソーに戻り、ビニール傘を買った。しかし、外に出ると雨はやみかけていた。

新宮駅の待合室で荷物をおろし、近くのローソンでボクサーブリーフを買い、トイレでサーフトランクスを着替えた。

15時51分の紀伊田辺行きに乗った。海岸沿いをのんびり走る。那智駅では去年泳いだ海水浴場が気になったが、ホームからは見えなかった。しかしホームには結構人がいたので、昨年よりは賑わっていたのだと思うことにした。

18時16分に紀伊田辺に着いた。すぐに、御坊行きに乗り換える。外はすでに薄暗くなっていた。

車窓の景色が暗くなってきたので、カフカの『審判』を読み進めた。かなり進んでしまい、この分だと今日中に読み終わりそうだった。そうなると、明日一日、読む本がなくなってしまう。

御坊で和歌山行きに乗り換えた。Googleマップで、和歌山駅周辺の書店を検索してみたが、駅に近い書店は20時に閉まってしまうようだった。

20時18分、和歌山駅に着いた。

ゲストハウスにチェックインする。要するにそこは格安カプセルホテルだった。設備は清潔だったので個人的には全然問題なかった。成田空港そばで利用して以来だ。

荷物を置いて、夕食を食べに外に出る。目当ての居酒屋『芳文』に行ってみたが、外から店内を覗くと満席だった。

どこか他に面白そうな店がないか検索すると、餃子をメインに出す居酒屋が線路沿いにあった。

店は2階にあった。看板に『営餃中』と書かれていたのがかわいかった。

店にはバイトの女の子が四人と店長らしき男性が一人いた。狭いのに五人オペレーションだった。客はオレ一人だった。『メジャーアーチスト苦労話あるある』の、バンドメンバーの方が客より多かったみたいなパターンになっていた。だがしかし、大してうろたえることなく、堂々と餃子を注文し、ビールを飲み、ポテトサラダとメンマを注文し、ビールを追加し、とんこつラーメンを注文し、いいちこロックを追加した。一品一品は美味しかった。とんこつラーメンはシメメニューとして設定されていたが、昼にラーメン食べたのだから、頼むことなかったなあと思った。

店を出て、セブンイレブンで缶サワーとピーナッツを買い、カプセルホテルに戻る。ドラえもんの寝床みたいなスペースで缶サワーを飲んだ。

日記を書こうかと思ったが、壁に設置されているテーブルが高すぎて無理だった。

サワーを飲み、疲れに巻き取られるようにして、11時就寝。