王子小劇場新年会でベロベロ

 夕方、王子小劇場の新年会に行った。
 昨年も催されたのだが、マグネシウムリボンの本番が目前に控えており行けなかった。

 6時20分頃に劇場に行く。
 中に入って缶ビールをすすり、誰もいない客席でパンフレットを眺めていると、山崎が来た。
 「お疲れさまです塚さん!」
 「お疲れ様山ちゃん。この前の新年会もお疲れ様」
 「ごめんなさい先に帰っちゃって」
 「いいよ。疲れ果てたでしょう。次の日ずっと寝なかった?」
 「寝た」
 「俺もずっと寝てたよ。トータル14時間」
 「あ、でも昼には起きたかな」
 「なんだ」

 7時になると平台で作った即席のテーブルは埋まりはじめ、照明の菊地さんや松本さんが作った鍋が運ばれてきた。
 きりたんぽ鍋だった。
 大変おいしかった。

 8時から出し物があった。
 まず、つよしとひでき、による「SM社長」が上演された。
 何ともいえない間の笑いを堪能した。
 その後、劇団上田によるパフォーマンスがあった。
 縦笛で工藤静香の曲を吹いていた。
 鍋もおいしいし、非常に贅沢な気分に浸ることができた。

 チーム下剋上の芝崎さんがその後来た。
 「塚本先生、あの年賀状は反則」
 と言われた。

 これからのことを書くのは気が重い。
 まず、出し物が終わってからはだいぶ場の雰囲気が和やかになった。
 色々な人と話し、名刺を交換した。
 11時半頃、終電に間に合うよう劇場を出た。
 夜風が心地よかった。
 「塚本さーん」
 と後ろから呼ぶ声がした。
 智保ちゃんだった。
 「一緒に帰りましょう」

 田端で山手線に乗り換えるあたりから、回想シーンの映像がゆがみ始める。
 乗り換えのために階段を上り下りしたところまでは覚えている。
 山手線に乗ってから、記憶が曖昧になる。
 座っていたのか、立っていたのか、覚えていない。
 智保ちゃんとはなにを話していたのか。
 もしくはなにも話していなかったのか。
 とにかく山手線が田端駅を出るあたりで個人的な暗転が訪れる。

 気がつくと東中野駅のトイレで吐いていた。
 ひたすら気持ちが悪かった。
 吐き終わってから自動販売機のところまで歩いた。
 そこでなにか飲み物を買ったような気がする。
 電車が来て、乗った。
 東中野だから各駅停車だ。
 混んでおり、座れなかった。
 立っていれば降りる駅を過ごしてしまうことはないはずだった。
 ところがまたしても暗転。

 降りた駅は武蔵小金井の次の駅、国分寺だった。
 立っていたにもかかわらず、武蔵小金井を通り過ぎてしまったのだった。
 すぐに反対側のホームに行くが、もはや電車はなかった。
 南口に向かいながら、タクシーを使おうか迷った。
 しかし国分寺駅などいつもマラソンする時には歯牙にもかけぬ距離だ。
 その距離に千数百円を払うのはあまりにも馬鹿馬鹿しかった。
 歩こう、と決めて南口から左に曲がり、坂を下りる途中でまた暗転する。