夕方、荻窪のラーメン二郎へ行った。
池袋で食えなかったことを根に持っての行動だ。
店はあっけないほどすいていた。
トッピングもなく、最後に
「ニンニク入れますか?」
と聞かれるのみだった。
「お願いします」
と答えるのが精一杯だった。
味は、二郎にしては上品な感じがした。
(この野郎!)
と野菜がのり、
(参ったか!)
と豚がのる。
それが二郎なのに。
だが、都内の色々な町に二郎が進出した今、本来の味がどうこういう二郎原理主義は、廃れていく宿命にあるのかもしれない。
ここに、今から20年前のインタビューがある。
http://www.sthills.co.jp/jiro.htm
雑誌のラーメン特集に二郎が載ったことはほとんどない。
まして店主はまったくメディアに露出しない。
だから、この記事は大変貴重だ。
ラーメンが今のようにブームになる前のもので、インタビュアーは慶応の学生だという。
雑誌の取材ではなく、卒論に載せるためのインタビューらしい。
だからオーケーされたのかもしれない。
当時は成蹊大学そばの二郎がオープンしたばかりで、それほど人気もなかったという。
成蹊大そばの二郎は、店長が元慶応の学生で、本店の二郎を食べてラーメンに開眼し、学校を止めて二郎に弟子入りしてオープンさせた店だという噂があった。
都市伝説のひとつかもしれない。
初めて二郎のラーメンを食べたのは今から11年前だ。
成蹊大学そばの二郎だった。
行列に30分以上並んで食べたが、その量と味に衝撃を受けた。
以来、町でラーメン二郎を見つけるとつい、
(むむっ…)
とうなって立ち止まってしまう。
もしかしたら、初めて食べたときの感動が蘇るかもしれないと思うからだ。
だが、11年前に二郎ラーメンを食べた時は、まだ若くて食欲も今の数倍あった。
バーガーキングのワッパーが4個食えた。
その頃にうまいと思えたものを、今でもそう思えるだろうか。
11年前の二郎初体験から、色々な店の色々なラーメンを食べてきた。
最近では、食べて驚くということは滅多にない。
どのラーメンも何らかのカテゴリーに収まるし、食べながら脳内でそれを整理する自分がいる。
分析をすればするほど、感動の温度は低くなる。
「どうだった?」
「うーん、化学調味料使ってるからさあ、スープが舌にくるよね」
「どうだった?」
「うーん、麺がアタシ好みじゃないかも」
「どうだった?」
「うーん、もう魚系のダシだけで勝負するのは古いって感じかな」
「どうだった?」
「うーん、武蔵と青葉の悪いところを足して2で割ってるね」
「どうだった?」
「うーん…」
もう語るのはよそう。
自然に帰れだ。
先週の『西遊記』は伊藤蘭がゲストだったらしい。
三蔵法師の母親役だったそうな。
それだけ見たかった。
堺正章版『西遊記』の第9話を見た。
悟空、八戒、悟浄の掛け合いがスムーズになってきた。
岸部シローが関西弁、西田敏行が福島弁を喋っているのに対し、堺正章は江戸っ子風のしゃべり方をしていることに気づいた。
いかにも江戸っ子という感じのしゃべり方じゃない。
東京のお笑い芸人、堺駿二を父に持つマチャアキならではの、育ちからくる自然のしゃべり方だろう。
だから、3人組が会話すると、いろんなところからやってきた3人組という感じがして、実にいいのだ。
夏目雅子はだんだん、男役が板に付いてきた。
もちろん顔立ちはきれいだし、声も明らかに女なのだけど、魂が僧侶に近づいてきたというのか、女がやっているという不自然さがなくなってきた。
9話ではちょっとしたサプライズがある。
辺境の町を治める代官の息子役で、池田秀一が出ているのだ。
彼はこの放送の1年後、赤いモビルスーツに乗って地球連邦軍を大いに苦しめることになる。
声だけの出演だが。
池田秀一、出てたんだー。おぼえてない。
それ系のお話だと、島本須美が岸部シローに惚れる娘役で出てた、はず。
ですよね。
> きよきよ
そうそう。島本須美出てた。
島本須美はまだ新劇女優さんで、声優やってないんじゃないかな。
池田秀一って、子役タレント出身らしいよ。