体調が悪かった。
頭が痛いなどの反応はない。
なんとなく体がだるい。
夏バテに似ているなあと思うが、ここ数日の涼しさを思うと、違う気がする。
低気圧のせいだろうか。
そんな調子なので食欲がわかなかった。
夜はフルーチェで済ませた。
三年前の夏はとても暑かったから、稽古から帰るとよく杏仁豆腐を食べていた。
あの頃は毎晩、ぷるぷる系のおやつをご飯代わりに食べていた。
ゆっくり休んで体力を回復しようと思ったが、こういう時は変な夢をよく見るものだ。
夕方仮眠をとった時に見た夢。
割に大きめの家にいる。
廊下を歩いてダイニングに向かう途中、遠くに見えるダイニングテーブルの下に猫がいた。
しゃがんで招き寄せようとしたが、よく見ると豹の子供だった。
親の豹がテーブルを回り込んできた。
目が合った。
大きさは大型犬より少し小さいという感じだったので、
(戦いにはならない)
と判断し、
(ゴリラの真似をすれば助かる)
と重い、胸板を叩きながら後ずさりし、部屋に戻った。
もう一つ、怖い夢を見たのだけど、忘れてしまった。
起きると寝汗をかいていた。
トイレに行き、14年前に見た怖い夢のことを突然思い出した。
14年前、一人暮らしをして二年目の秋。
バイトが終わってうちに帰り、芝居の稽古が始まるまで寝ていた時に見た夢だ。
どこかの美術館。
両開きの扉から中に入ると、頭上4メートルくらいの高さに絵が飾られている。
トーガを着た女性の絵だった。
背後の扉が音を立てて閉まった。
絵の女性の目が光り、瞳がこちらの姿を見下ろした。
そして、絵がゆっくりと動いて、こちらに迫ってきた。
逃げようとしても扉は閉められている。
いつの間にか部屋は真っ暗。
女性の顔が目の前に迫る。
その瞳には
<死>
という文字が映っている。
うおおおおおおおおっ、うおおおおおおおおっ!
自分の絶叫する声で目が覚めた。
時刻は昼の2時くらいだったと思う。
14年前に見たその夢を思い出し、身震いした。
今日見た夢はそれほど怖くはなかったはずだ。
小金井に住んでいた頃は、悪夢によくうなされた。
うなされている時の俺は甲高い声で泣くらしい。
聞かされる人はいい迷惑であろう。