『聖餐城』読了。
久しぶりに重厚な読書を楽しめた。
書評にあった、
「この小説の主人公は三十年戦争」
という言葉は真実かも知れない。
主要登場人物それぞれのドラマは面白く、人間関係も巧みに書かれている。
しかし読み終わって浮かんできたイメージは、三十年戦争という戦争の姿だった。
三十年戦争は1618年から1648年までの期間に行われた。
常に戦争状態にあったわけではなく、小競り合いが頻繁に起きていた。
問題なのは戦争がない時で、職を解かれた傭兵が農村を荒らし回ったから、農民の立場で考えるとたまったものではない。
傭兵は勝ち戦にのることを望み、負け戦となればあっという間に離散する。
そのまま敵方に寝返る者も多数いた。
指揮をする貴族には<名誉>があり、敵に後ろを向けて逃げることはできない。
できれば略奪などもしたくない。
しかしそれを取り締まれば傭兵が離反してしまうし、代わりに補う給料や食料も足りない。
そんな時代にあって、常備軍を備えた国の兵隊は訓練も行き届き、強い。
常備軍を備えるためには国家が王権のもとに統一され、兵隊に給料を払えるほど収入が安定していなくてはならない。
絶対王政時代への扉がこうして開かれる。
そしてヨーロッパはアジアなど他地域を凌駕していく。
夕方、かちどき橋の近くを歩いていたら、隅田川沿いで水着ギャルのグラビア撮影をしていた。
背景にビルが建ち並び、なんだか場違いに見えて面白かった。
うちに帰りシャワーを浴びようとして、ドアの角に右膝を思い切りぶつけた。
皮膚がえぐれて血が出た。
涼しい夜だった。