朝5時半頃起き、作り置きおかず色々で朝飯食べる。ほうれん草胡麻和え、ひじき煮、高野豆腐煮物、ネギ納豆、豆腐味噌汁。
カート・ヴォネガット『青ひげ』読了。26年前、初台オペラシティタワーにある書店で買った。それから数回は読んだはずだが、ここ十年以上再読していなかった。
昨年末、手元に読む本がなくなり、何の気なしに文庫本本棚から『タイタンの妖女』を手に取って再読し、それからヴォネガット作品の時代順再読を続けている。ただし、『スローターハウス5』と『スラップスティック』は除外した。この二作は何度も再読しているからだ。
『青ひげ』だが、全体像はすっかり忘れ、覚えているのは細部だけだった。実際、初めて読んだ時からそうだったのかもしれない。読書に限らず、様々なことに対して自分はそういうことがたくさんあると思う。
主人公の画家、ラボー・カラベキアンは、確か『チャンピオンたちの朝食』に出てきたんじゃなかったか? 一本の線だけという作品がすごい高値で売れ、その意味を自ら説明するまで、詐欺師みたいに思われており、発狂したドウェイン・フーバーにボコられたんじゃなかったか?
カラベキアンは、トルコから迫害されアメリカに逃げてきたアルメニア人両親を持ち、伝説的イラストレーターに師事して画家を目指し、破門され、第二次大戦を戦い、抽象画家に鞍替えするも結局大成せず、美術収集家のようなものになり、年老いた今は、金はあるけど孤独な老人として、海辺の家に住んでいる。
ひょんなことから、自分より20歳以上年下の女流作家が、期間限定居候として家に転がり込む。彼女の影響からか、カラベキアンは自伝を書き始める。それが本作というわけだ。彼女のモデルはヴォネガットの二人目の妻、ジル・クレメンツだろうか?
カラベキアンはジャガイモ保管用の納屋に何かを隠している。彼の美術コレクションを知る人は中にあるものを想像しているが、どれもはずれである。
中身の正体はラストで明かされる。自伝スタイルであったため、彼の人生はそれのためにあったのではないかと思わされる。荘重なエンディングだった。これは映画で見たい。現場の奴隷待機所で読み終えた時、涙が出そうになった。
昼、『和合餃子』で麻辣刀削麺。ふた口だけで汗ばんだ。最近、辛いものを食べた時に出る汗の量がものすごい。代謝が良くなったのだろうか?
夕方、新監督から残業を頼まれる。1月から改修してきたツールの最終テストをするのだが、何かエラーがあった時に対応するためだった。
7時過ぎにテスト終了。一回だけ修正の出番があった。リリースはちょい待ち状態。
8時過ぎ帰宅。夕食にトースト、ハム、チキンハンバーグ。
いしいひさいち『吉川ロカ ストーリーライブ』が届いた。朝日新聞連載の『ののちゃん』に、一時期登場していた吉川ロカのエピソードをまとめ、それに、他媒体に描かれたものや書き下ろしなどが追加されたものらしい。『ののちゃん』は単行本を持っているが、ロカが出てくる前の選集なので、これまで読み返すことができなかった。
早速読んだ。
…
読み終わった。
柴島美乃が最後に送ったメッセージと、多くを語らぬラストを読み、ページを閉じると、切なさが胸にこみ上げてきた。今、この瞬間にロカちゃんの歌が聞きたいと思った。そして、彼女は現実に存在していないということに気づいた。読んでいる間はまったくそんなふうに思わなかった。
そして、今のこの気持ちは、たぶん、ロカちゃんの歌を聞いた時に感じる気持ちと同じなのだろう。これが、サウダージなのだろう。参った。
音楽の先生はかなりいい先生だ。本質を教えようとしている。
キクチババが最初の客で、ファドの感想を言うところがいい。
美乃の商会の中村さんの見た目がすごすぎて笑える。
弁当配達のアフメドくんエピソードに鳥肌が立った。
ギターのゲレイロさんが渋い。
熱狂的ファンを『鬼吉川』というのが笑える。オレも鬼吉川だな。