捨て捨て団

起きてすぐポテトサラダを作り、パンにのせて食べる。
キュウリが多かった。

水道屋が来た。
白髪のじいさん二人組みだった。

片方のじいさんが、離れたところにある天井の蓋をあける。
「おい、脚立持ってきてねか?」
「持ってきてねえよ」
「どうすっかな。そうだ、バケツあったろう」
「これか?」
「逆さまにして…(乗っかる)ダメだ、全然見えやしねえ」
「じゃあよ、オレの肩に乗っかれ」
「いいか?」
「よし来い」

相方の肩に片足を乗せ、懸垂の要領で天井裏を覗く。

「(懐中電灯で天井奥を見て)…ダメだ! 真っ暗でわかんねえよ」
「おろしていいか?」
「ゆっくりな」

天井を覗いたじいさんが言う。
「すいません、脚立を持ってまた来ますんで。今日はずっといらっしゃいますか?」
「いますけど、夜8時とかになると困りますね」
「そこまで遅くはなりません。昼過ぎに来ます」
「じゃあ大丈夫です。お願いします」

じいさま二人組は水道管に関する専門的な会話をしながらいったん帰った。

午後になって再び二人組は来た。
水が漏れている天井は、壁材がふやけたため、指で押すと穴があきそうだ。
天井じいさんが言う。

「この壁、ぶち抜かないと調べようがないですんで、今から壊しちゃいますから」

作業が始まったのでパソコン部屋にこもる。
時々、ベリベリという音が聞こえた。
肩を貸したじいさんは上階の部屋に上がり、時々水を流している。

1時間ほどして天井じいさんに呼ばれた。
断ち切られ鉛でふさがれた配管がある。
すでに使われていないらしかったが、経年劣化で塞いである部分に小穴があいた。
上階で水を使用した際に、そこから漏れ出したらしい。

「今、しっかり塞ぎました。すぐには乾かないのと、別のとこからまた水が漏れた時にいちいち壊すのは大変なんで、とりあえず天井はこのままにしておきます。材料が乾いて、水漏れがしないと確認できたら、天井をふさぎに来ますから」

お疲れ様でしたと言って二人を見送る。
やけに可笑しい二人組だった。

夕方、引き出し整理に使うために書類ボックスを買う。
帰宅後サイズを調べたが、横幅が2センチ弱長く、入らなかった。
引き出しの内幅は丁度30センチだが、ネットで調べたA4書類ケースはどれも31センチ以上ある。

引き出しはA4サイズの書類がほぼぴったり収まる。
いっそのことボール紙を買ってきて、仕分けボックスを自分で作った方がいいんじゃないかと思う。

部屋の整理を続けていると、あれもこれもと欲が出てくる。
普段ご飯を食べているのは畳部屋で、そこにはテレビが置いてある。
今年になってテレビ番組を見たのは、大相撲ニュースが数回と、タモリ倶楽部が1回。
5ヶ月でトータル1時間半ほどになる。

DVDを見たりするため、テレビは必要だ。
見たい番組も時々はあるし。
だが随分前に買ったブラウン管21インチテレビのため、場所をとるのが気に入らない。
液晶にすれば部屋は随分すっきりすると思うが、使用頻度の低い家電製品に5万6万の金は使いたくない。
さりとて、部屋は片付けたい。

地デジなんてどうせ見ないから、22インチくらいの中古の薄型はないものかと、オークションサイトを調べている。
いいのがなかなか見つからない。

捨てる作業は目下進行中。
長年使っていたパソコンディスプレイは、廃品回収業者に回収してもらった。
CDプレーヤーとガスファンヒーターも同様。

CDプレーヤーは単体のデッキで、オーディオコンポーネントを組む人向けのもの。
デジタル出力端子があるので、MDへの録音用に使っていたが、パソコンで音楽を聴くようになってからほとんど使用しなくなっていた。
19歳の時に警備員のバイトをして色々買い集めたオーディオ機器も、これですべて売るか捨てるかしてしまったことになる。

少しずつ部屋がすっきりしてきている。
次はワードローブを粗大ゴミに出す予定。