朝、久しぶりにまともな食事をする。
トーストにハムを挟んで食べ、それだけでは足りず、卵かけご飯も食べた。
ようやく胃が通常営業に戻ったのだろう。
それでも昼は無理せずおにぎり2個で済ませる。
少し食べると胃が張るのは、まだ治っていない。
夕方、飯田橋のひょうたん島で、圭三君と打ち合わせ。
先日渡していた過去のマグ台本から、『暮れなずめ街』を貸してくれと打診される。
二十代の時に書いた本なので、そのまま貸すのは恥ずかしく、
「書き直させて」
と伝える。
どのみち、テキストファイルの形式では残っていないのだ。
圭三君の過去を色々聞く。
彼は難関大学にいとも簡単に合格した過去を持っている。
しかし、受験勉強らしいことはほとんどせず、学校の授業で間に合ってしまったのだという。
昔から数学に関しては、苦手意識を持ったことがなく、
「公式を使って解くパズルのようなもの」
だったそうだ。
脳が、公式を使って数学の問題を解くということに特化した構造だったのだろう。
だが大学に入ると、公式を初めから使うことはせず、
「なぜその公式を使うのか」
ということを研究するようになった。
彼にとっての数学は、ゲームのようなものではなくなってしまった。
授業も面白くなくなり、何もしない生活が続いたという。
授業だけで難関大学にすんなり合格してしまったかつての<数学脳>に興味が湧いたので訪ねてみた。
「例えば、数学の入試問題があるよね。俺はそれを解くのに5万年くらいかかると思うんだけど、君なら今でもすらすらっと解けるの?」
「その前に、一回教科書をざっと読みたいですね」
「読んだら思い出せる?」
「どうだろう…やってみたいですね」
「そしたらさ、5万年かけて解こうとしている俺に、その問題の解き方を1時間で教えることができる?」
「うーん…」
「その一部始終を映像コンテンツにすれば、面白いと思わない? ちゃんと入試問題使ってやれば、受験生とか見るんじゃないかな」
これは、早く実現させたい。
夜、がざびぃにメール。
つかこうへい特集に参加することに決めた。
演目は一人芝居の『ヒモのはなし』
今年の予定はこんな感じだ。
3月に圭三君の台本書き。
6月にマグ公演。
7月に『ヒモのはなし』
10月にマグ公演。
11月にさかしたさんと二人芝居。
2月にこれだけ予定が決まるのは珍しいが、つまりこれは<縁がある>ということだろう。
じたばたしても仕方ない。
覚悟は決めた。
『ヒモのはなし』は、『ストリッパー物語』の一人芝居バージョンをやる。
複数キャストの『定本・ヒモのはなし』も読み返して、まっさらなところから作ってみたい。
つかさんらしくない芝居になるかもしれないが、自分がやりたいように作る。
下手に<つか芝居っぽく>作る方が、今の自分にとっての逃げだろう。