黒部名水マラソンを走った

夜中に何度か目を覚ましたが、しつこく寝続けた。窓の外が明るくなってきたので、ベッドサイドの時計を見ると、5時40分だった。スマホの目覚ましは5時にセットしていたはずなので、寝坊したと思い、慌てて起きた。

おにぎりとかにパンを食べ、経口補水液を飲んだ。上のランニングウェアにゼッケンをつけ、6時過ぎに宿を出た。富山駅に向かう途中、明らかにマラソン大会参加者とわかる人が、キャリーカートを引いて歩いていた。その人に歩みを合わせた。雨は降っていなかった。

6時19分の電車で黒部に向かう。車内は黒部名水マラソンの参加者で混雑していた。

黒部でシャトルバスに乗り会場に向かう。10分ほどで着いた。

体育館二階の観覧席が荷物置き場になっていた。すでに3分の1ほど席が埋まっていた。通路に面した席を二つとり、荷物を置き、ウェアに着替えてからしばらく座っていた。

雨が降ってきた。外に出て具合を確かめてみると肌寒かった。やはりレインポンチョを着ておこうと思い、脇の開いているところを、持参したゼッケンのストッパーで止め、ひらひらしないようにした。

トイレが混んでいたので、外に出て、別の体育館のトイレに行った。そこは空いていた。晴れていたらアップに使えるグラウンドは雨でぬかるんでおり、誰も走っていなかった。

その時点で8時半だったので、荷物置き場には戻らず、ゆっくりスタート地点に向かった。自分のブロックに着いた時、ゼッケンにある計測チップを必ず胸につけてくださいという放送が流れた。2枚あるゼッケンのうち、チップがあるのは背中につけていた。胸につけろということは、背中じゃダメなのか?

他のランナーのゼッケンをそれとなく見ると、チップのあるゼッケンは皆、胸につけていた。

背中につけたって計測はされると思うが、まだ時間があったので、近くの建物の影に移動し、上のウェアを脱いでゼッケンの前後を張り替えた。再びスタート地点に戻ると、5分前になっていた。

ゲストの高橋尚子は、毎年暑さに苦労する大会だが、今日は気温的に最高のコンディションだと言っていた。17度だそうだ。確かにそうかもしれない。3年前はスタート時点で20度を超えており、途中25度を超え、夏日になっていた。

雨はいつの間にかやんでいた。しかし、黒部市の天気予報は一日中雨だと予想していたので、10キロ以上走るまではレインポンチョを着ていようと思った。

9時に号砲。花火が上がった。既視感があった。スタートし、群衆に交じって粛々と走り始める。ペースは、速くも遅くもない。みんなと一緒。

途中、4時間のペースメーカーと少し併走したが、キロ5分40秒をわずかに上回るペースで走っていると、段々引き離した。

2キロ地点でいきなり給水ポイントがあったが、まだもらわなかった。ポンチョを着ているせいで寒さはまったく感じなかった。ランナーの中には、レインコートやポンチョを脱いで腰に巻くものや、給水ポイントのゴミ捨てに捨ててしまうものもいた。

10キロまでは、キロ5分30秒台で走っていた。最後までそのペースが崩れなければ、まあ悪くはない。

10キロを過ぎてから軽い上りがあったりした。それによりペースはキロ6分前後に落ちた。雨は降る気配がなかった。給水場ではまめにスポーツドリンクをもらうようにした。フードは10キロ過ぎのどこかで、バナナをもらった。

15キロ地点前後で、レインポンチョを給水所のごみ箱に捨てた。脱いだとたん、体が少々ヒヤッとしたが、気持ちよかった。

19キロを過ぎた頃、突然、へたった。こんなに早く? と思った。ペースが急激に落ち、ランニングウォッチが示すペースはキロ7分を記録していた。そのあたりでトイレ休憩をした。けっこう長く待ったが、おかげでへたりが若干回復できた。

20キロ、21キロと、6分台後半のペースで走った。21キロ地点先の折り返し点を過ぎてから、少しずつ走りがまともになってきた。そして不思議なことに、そこから30キロ地点までば、キロ5分30秒を切るペースで走ることができた。しかし、走りながら、これはいつまでも続かないと思っていた。心拍数は152くらいくらいだったので、オーバーペースではなかったが、いずれへたる時がくるとふんでいた。その前に、このペースで走れるうちに、距離を稼いでおこうと思った。

そして、予想通り、30キロを過ぎたとたん、魔法が解けたようにペースが遅くなった。

32キロ過ぎで、走ることがままならなくなり、給水所で屈伸などのストレッチをした。再び走り、国道のガード下で、Qちゃんにハイタッチをした。34キロ地点を過ぎてからは、残り8キロになったことが支えとなり、キロ6分20秒台で走り続けた。とはいえ、給水所では歩いて飲み物を受け取り、歩きながら飲み、また走った。

川沿いの道を河口に向かって走り、海岸沿いに出た。右手に日本海を見ながら、残り5キロの道を走った。たった5キロだったが、辛かった。

残り2キロを切ってからは、とにかく腕を振るようにした。腕を振ると前に進んだ。残り1キロからは、腕を振るペースをより速くした。結果、ラストの1キロはキロ5分半というペースで走ることができた。それがラストスパートのようなものになった。

ゴールして、1分ほどストップウォッチを止めるのが遅れたが、時計の時刻は4時間17分をさしていた。止まったりした時間を差し引いて、4時間20分台だろうと見当をつけた。ゴール地点に、黒部の名水というスポットがあり、清水が水道管から吐き出されていた。紙コップを受け取り、清水を2杯飲んだ。美味しかった。

荷物置き場へ行き、着替えた。ウェアは汗で重くなっていた。

シャトルバスに乗り黒部駅に向かった。給水所や沿道で応援してくれる人々、シャトルバスの案内や運転をしてくれる人々、皆、親切で穏やかだった。いい大会だったなあと思った。

ネットで公式サイトの記録を検索する。グロスタイムは4時間24分で、グロスタイムが4時間22分だった。去年の袋井メロンマラソンがネットタイム4時間24分だったので、対して速くなっていなかった。

黒部駅に着く途中、会場で参加賞の鱒寿司、かに汁、ご飯パックをもらい忘れたことに気がついた。

3時前に富山へ。この後、駅から1キロちょっとのところにある銭湯に行くつもりでいたが、再び雨が降り始めていたし、歩くのもしんどかったので、やめにした。

代わりに、昼飯を食べることにして、コインロッカーに荷物を預け、駅そばの富山湾食堂で、キトキト盛り海鮮丼と、生ビールの大ジョッキを頼んだ。

生ビールはよく冷えていた。キトキト盛りは、ご飯の量が少なかったので、ビールのアテとしてちょうど良かった。

食べ終わってから、土産ものを買い、飲み直すために『安べゑ』という格安居酒屋へ向かった。関西方面でチェーン展開している店らしい。

ほたるイカ沖漬け、手羽先唐揚げ、土手焼きを肴に、レモンサワーを飲んだ。スマホで注文するスタイルだったため、充電できるコンセントが席ごとにあった。

6時に会計をして店を出た。雨はやんでいた。

土産ものの買い物を追加し、コインロッカーから荷物を出した。駅構内に水飲み場があり、富山の水道水についての説明書きがあった。飲んでみると、たしかに美味しかった。

駅構内の椅子で『長安の夢』を読んだ。

7時40分の新幹線に乗る。長野で隣の席に女性が座った。

10時前に東京駅到着。地下鉄で帰宅。駅から家まで歩くのがしんどく感じたので、1キロほどの距離をLUUPで移動した。11時前帰宅。

風呂に入り、泥だらけになったシューズを洗い、洗濯物をまとめた。

1時就寝。