7時半置き。
母、起きていたが、体調が悪いという。
「熱が7度5分あるの。だからスポーツクラブ休むわ」
そう言って、寝てしまった。
夏バテだろうかと思い、朝飯を食べてからまいばすけっとに行き、アクエリアスと甘酒を買い、冷蔵庫に入れた。
9時半から作業。
これまで一週間かけて行った改修をゼロにして、一からやり直した方がいいのか、それとも現在の改修状態から不要な部分のみを前の状態に戻した方がいいのかを判別するために、前バージョンとのコード比較を行った。結構時間がかかったが、結論として、現在の改修状態を戻した方が楽だとわかった。けっこう多くの部分を修正していたからだ。
昼、ベランダの空心菜を摘み、ニンニク醤油で炒、ご飯と一緒に食べた。母が起きてきたので、アクエリアスを飲ませた。新聞が読みたいと言うので今日の新聞を渡すと、テレビ番組欄を調べつつ赤線を引いていた。
「あたし寝るから。あとさ、なんか甘いもの買ってきてくんない?」
と母が言った。
「わかった。何系がいい? 和? 洋?」
「何でもいい」
母は再び寝た。朝に比べると元気になったようだった。
午後、改修作業の続きをする。時間がかかるかと思ったが、夕方には終わった。クライアントに報告したが、リリースは最終になるだろう。
西日が射すので、居間のカーテンを閉めていたが、夕方、母が起きてきて、カーテンをあけた。
「わー、明るいわねえ」
そう言ったあと、洗濯機を回し始めた。発熱で汗が出たので着替えを洗濯するのかと思った。
少し経って母が言った。
「ねえ、今、朝の6時半よねえ?」
「いや、夕方の6時半だよ」
「ええっ! 今日、19日じゃないの?」
「18日だよ」
「ちょっと待って、あなたいつ来たんだっけ?」
「夜10時半頃」
「あなた来たのは覚えてる。それ、一昨日の夜でしょ?」
「昨日」
どうやら、丸一日寝ていたため、時差ボケみたいになったらしい。
「今朝7時半頃に、熱が出て具合が悪いって言ったの覚えてる?」
「うん」
「そのあと午前中寝てました。その間オレ、今日の新聞とってきて、アクエリアスとか買ってきました。で、お昼に起きます。アクエリアス飲ませたら、美味しい言って言ったでしょ」
「それ、昨日のことだと思ってた」
「今朝から4時間後の真昼だよ。で、その時に、新聞が見たいっていうので、今朝の新聞渡したら、自分で赤線引いてたよ。それから、私寝るから、甘いもの買ってきておいて、と言って、寝ました」
「それから、寝て起きて、翌朝じゃないの?」
「昼に寝て、夕方起きてるだけだよ。そして、冷蔵庫には不二家のクレープを買っておきました」
「食べる」
カーテンをあけて洗濯機を回したのも、朝だと思ったからのようだった。
夕食にお茶漬け食べる。母が寝ていたので、特に何も作らなくてよいと思ったため、そんなものにしたが、母は体調がよくなり、お茶漬けを普通に食べていた。
グイン・サーガ140巻『ケイロンの虜』読了。
パロの都クリスタルでヤンダルとの取引に臨むグラチウスは、ナリス的な男の罠に引っかかり、とらわれの身となる。その場所には、自らの手でカメロンを殺したことを悔やみ続けるイシュトヴァーンがいた。カメロンは足を滑らせて刀の上に倒れ込んだのだが、そこで「大丈夫か!」と助けて人を呼ぶのではなく、気が動転していた設定でカメロンの背中をぶっ刺しまくってとどめを刺すのは、いかなる同情にも値しない。悔やみ続ける描写は、そういう意味ではバランスがとれていたといえるが、好感度はもう二度と元には戻らない。
グインは、ベルデランドに匿われたシリウスを救い、彼をタルーアンの元で育てることに同意した。荘重な幕切れ。
シルヴィアはパロ南部のカラヴィアにいたが、ヤンダルの息がかかった改造オオカミに襲われる。パリス大活躍。ユリウスもしぶしぶパリスと協力して、化け物に変じた灰色猿を倒す。
またグイン。今度はケイロニア南部のワルド城からからの帰り道。前巻『豹頭王の来訪』の後という時間軸。前巻でけちょんけちょんな扱いを受けたドルニウスを再び元気づけ、彼の存在意義を再構築する。その足でダナエに向かい、陰謀をつぶし、それによって、ヤンダルに幽閉されたグラチウスまでも助ける結果となる。
グインは安定の大活躍で、特にダナエの章は、水戸黄門と桃太郎侍が合わさったような千両役者っぷりで痛快だった。グイン・サーガはこうでなきゃ。
131巻から140巻までは、奇数巻のパロとヤガを五代ゆう、偶数巻のケイロニアを宵野ゆめが担当してきた。しかし、141巻以降はすべて五代ゆうの著作となっているようだ。宵野ゆめ氏は病気になり、担当を降板したらしい。先をまだ読んでいないが、非常に残念だ。131巻から140巻を読んだ限り、宵野グインの方が五代グインよりも明らかに面白かった。
というより、五代グインは5巻分も費やして、話がまったく進んでいない。各巻のエピソードも物語を進めるにあたっては不要なものばかりだ。5巻をトータルで見た場合、一番活躍しているのがブランという状況になっているが、ブランのミッションは新しいミロク経に囚われたヨナとフロリーを救い出すというもので、それだけに5巻も費やすのは長すぎる。あの長かったクム編でさえ、この程度のことは1巻分で処理されていた。
また、五代グインは、既存の登場人物を大事に扱っていない。131巻ではアドリアンを化け物にあっけなく食い殺させ、135巻ではカメロンをピタゴラスイッチみたいに死なせ、137巻では魔法少女アッシャ憎む少女を闇落ちさせ、139巻では宵野ゆめがケイロニア編で丁寧に描いて活躍させていたドルニウスを登場させ、まったく実力のない魔道士であるとヴァレリウスに言われ、鼻っ柱をへし折ってからケイロニアに追い返している。
139巻は非常に不快だった。何のためにドルニウスを出したのか。また、その巻に出てくるグインも、ただワルド城に来てヴァレリウスとちょっと密談し帰っていくだけで、英雄と言えるようなことは何もしていない。のに、グインを見たワルド城の人々はみんなグインに恐懼し褒めそやす。なぜ褒めるのかわからない。また、オクタヴィアの即位についても、妾腹なのにどうたらこうたらとか、ヴァレリウスに言わせていた。宵野グイン展開では、オクタヴィアの戴冠は感動的に盛り上がったので、そのいちゃもんは登場人物ではなく、五代氏が宵野氏に、「なんでオクタヴィアを皇帝にしたんですか? なんでグインにしなかったんですか?」と文句をつけているかのようだった。140巻は、五代グインが139巻でグインを登場させた必然性を補完していたが、宵野ゆめさんがやることではないだろう。
五代ゆう氏は、131巻からの続編を書くに際して、過去のグイン・サーガ130巻と外伝をちゃんと読んでいたのだろうか? 読んでいたとしてもそれは読者としてではなく、続きを書かねばならないプロ作家が資料として読む読み方だったのではないだろうか。
五代グインの登場人物は、人物像として過去とのつながりが感じられない。スカールがリー・ファの幻を見て心を乱されることはあっても、泣くことはありえない。リギアがマリウスを「小鳥さん」と呼ぶのは論外。139巻ではグインまでもマリウスを表して「小鳥」という言葉を使っている。小鳥って呼び方、そんなに使いたいのか? ヴァレリウスが女に弱いため、リギアの生着替えを見て失神するミニコントが131巻にあったが、これも笑えない。アドリアンは、竜人がはびこったクリスタルで、市民を城に入れようとするリギアに反対してビンタされるというだけの役回りだった。139巻のドルニウスも、アッシャが女なのに魔道士の修行を受けていることに反対し、男女差別的なことを言い、ヴァレリウスに一喝されるためだけの役回りだった。最重要人物のイシュトヴァーンは、今後読者の支持を得ることは不可能なネガティブイメージを与えられ、リンダは眠らされている設定のまま出てこなくなり、フロリーやヨナも捕まっている状態のまま出てこなくなった。カメロンなんか死んじゃった。マルコなど、イシュトとは結構うまくやっていたし、過去、フロリーの件でイシュトに説教する時なんか、すごくいいコンビだったのに、そういうのも131巻ではなかったことになっていた。
宵野グインはむしろ逆で、登場人物の存在意義を捉え直し、魅力ある人物になるよう工夫されていた。筆頭はシルヴィア皇女で、栗本薫版ではゴミ屋敷で臨月を迎え、グインをヒステリックに罵倒する病み女だったが、下町での暮らしを経験させ、同情には値せずとも、狂った女状態からは脱していた。また、パリスなどは、まさかの復活を遂げ、20巻台よりもいい活躍をしていた。栗本版末期では影の薄くなっていたオクタヴィアは皇帝となり、失態続きのハゾスも少しずつ失地回復した。グインは圧倒的落ち着きと果断さで常に主役として巻を支えていた。
また、宵野グインは、ベルデランド、アンテーヌ、ダナエ、カラヴィアなど、舞台が移るたびにその土地の風俗や歴史をきちんと描写しており、食べる場面での料理や、衣装の描写も細かかった。
印象としては、132巻から140巻までの5巻で、宵野グインは五代グインの倍以上、エピソードを詰め込んでいたと思うし、物語もしっかりと進めていた。巻ごとに出来事を箇条書きにして比べてみれば明らかだ。
今後不安なのは、141巻以降でグインがどのように描写されるかだ。139巻でも、ワルド城を去ろうとしている時に、アッシャを憎む少女にアッシャを殺してくれと訴えられた時、しっかりとした対応はせずワルド城任せにしたのは失望した。宵野グインならそうはしていない。
夜、寝過ぎたため起きていた母と雑談する。気がつくと夜中の3時になっていた。
3時過ぎ就寝。