一日に人と会う予定が3つ

亜企ちゃんから先日メールをもらった。
なっつと娘さんと、久しぶりにランチを食べるので、土曜日に一緒にどうかとのこと。
土曜日は3時過ぎと7時に人と会う用事があったのだが、ランチは12時からとのことだったので、承諾した。

12時過ぎに池袋へ。
亜企ちゃんの予約したお店にて、なっつと、娘さんの美古都ちゃん、亜企ちゃん、綾香とランチ。
美古都ちゃんは一昨年の「ゲキダンエンゲキブ」公演稽古場で、まだ赤ちゃんだった頃に会ったきり。
女性3人の中に、低い声のでかい男が混じっているのは、さぞかし怖いだろうから、なるべく目を合わせないよう気を遣った。

途中で亜企ちゃんが、少し早いけれどもおれの誕生日祝いとのことで、スイーツのプレートを用意してくれた。

「お誕生日おめでとう」

のメッセージの上に、

「けいいちくん」

とあり、苦笑してしまった。

店の女の子に、

「あの、わたし、けいいちではなく、けんいちなのですが」

と伝えると、しばらくして料理長が謝罪にきたのには驚いた。

「このたびはまことに申し訳ありません」

こちらとしては、ネタが一つ増えたくらいの気持ちでいたので、逆に申し訳なく思い、

「いえいえ、大丈夫です。電話だと聞き取りづらいですし、思い出ができてかえって良かったですし。それに美味しかったですよ。どうもありがとう」

とにかく精一杯、料理長の顔を立てた。

2時半になり、お先に辞去する。

3時過ぎに渋谷へ。
10月のマグ公演に誘っている、堀口幸恵さんと、スターバックスにて待ち合わせ。
明治通り沿い、ルデコの向かいだ。
渋谷の西側は休日ともなると蜂の巣をつっついたような状態になるが、東側の明治通り沿いは、原宿方面はともかく、恵比寿方面なら結構空いている。

先日のトツゲキ倶楽部公演で、ラジオのパーソナリティとういか、DJをやる女性を彼女は演じていた。
清冽さに強い印象を受け、主宰の横森さんに紹介していただいた。
はじめましてと挨拶をし、2時間弱ほど色々お話をする。

演劇を始めた頃の話、今いる劇団の話、家族の話、好きな本の話、などなど。
学生時代に先行していたのが「哲学」というのには驚いた。

「どうしてですか?」
「高校時代、倫理・哲学の先生が好きだったので」

なるほど。

弟さんがいて、留学をするのだという。
「ランダムウォークですね。いいじゃないですか」
「そう言っていただけるとありがたいです」

夕方5時過ぎに店を出る。
渋谷駅前で別れ、新宿へ。
また新しい縁がつながるといいな。

夕方6時に南口から西側へ降りる。
笑里と飲む約束をしていた。
これも急な話で、

「そういえば塚本さんとさし飲みする約束してましたね。今度飲みませんか?」

こんな感じのメールが先日彼女から来たので、土曜日に飲むことになったのだった。

待ち合わせ時間は7時にしていたが、早く着きすぎたのでメールをする。
すると彼女はバイトを終え、新宿に着く寸前だった。

ならば7時を待つ必要がないと思い、ファーストキッチン前で待ち合わせをし、西新宿の甲州街道側を歩いた。
安いところにするかと、結局「さくら水産」へ。

「しかし、急にどうしたんだい?」
「ほんとに、一度飲みたかったんです」
「そっか。じゃあ今日は、色々語ろうか」

笑里の話、色々聞く。
大勢の中にいる笑里と、一対一で話す時の笑里は、別の人格だ。
「えみーる」を演じる必要がない。

稽古場にジャージで来た時の話になった。

「色々言われましたけど、私は、ジャージで押し通そうと思ってるんです」
「えらい」
「えらいですか?」
「そういう芯があるところがえらいよ。おれは、笑里がジャージで来るの、すごく好きだった」

考えてもみろ。

(やばい、ジャージで稽古場なんて、女子力なさ過ぎ!)

なんてことを思ったりする女優。その自意識。
こういうのを、醜さという。
あまり、ご一緒したくない。

終始、真面目な話をした。
年が離れているがゆえに、素直に吐露出来ることもある。

12時前に店を出る。
5時間以上もたっぷり話していた。
総武線ホームでエミリと別れ、帰宅。
一日に人と会う予定が3つもある日はなかなかないが、たっぷり堪能した。

すべて女性というのも、なかなかない。