チック症状はやや治まった。
他に肉体的な不安があるとするならば、首筋の凝り。
肩の付け根から後頭部にかけて、筋肉が岩のように張っている。
指で押すと低反発クッションのような感触がある。
例によって昼過ぎにはやや調子が回復する。身体的精神的すべてを含めてだ。
曇り空で少し肌寒いのに半袖。
台風が近づいているらしく、時々雨が降ったりする。
ひょっとすると近づきつつある低気圧が不調の原因かもと思ったりする。
雨の日になると古傷がうずくなんていう話があるし。
台風は結構マジになっているらしい。
関東地方を直撃する恐れがあるというから、相当マジってことだ。
夜、冷凍食品のミックスベジタブルを大量に食べる。
栄養があるのかないのか、健康にいいのか悪いのか、微妙な食品だ。
一応にんじんやグリーンピースが入っているから、ベータカロチンの補給に良さそうな気がするが、自分にベータカロチンが不足しているのかどうかわからないから、食っても健康なことをした気があまり起きない。
ニワトリにでもなったような気分だ。
ニワトリといえば近所で一匹のニワトリが飼われていて、その小屋には「ピッキー」という表札が下がっている。
だから彼の名はピッキーなのだろう。
7年くらい前からそこにいるのだけど、外に出ている姿を見たことがない。
寒い日も暑い日も、小さくて薄暗い鶏小屋の中でじっとしている。
ニワトリの寿命はよくわからないが、7才となると、結構な年なんじゃないか?
時々、時をつくっている。
夜が明ける直前が多い。
近所には野良猫が沢山いるが、ピッキーはかなり大きいから、猫も恐れるかもしれない。
橋本治の「古典入門」を読む。
日本語の文章がどのようにして現在の形になっていったかを振り返りつつ、古典がなぜわかりづらいかを明らかにしている。
わからない原因を教えてくれるのは、受験生にとってはありがたいことだろうなと思う。
読みながら、受験時代を思い出した。
中学の頃から、国語は一番苦手な科目だった。
現代文、古文、漢文、全部ダメ。
理由は、本を全く読まなかったからだろう。
17才の夏休みまで、本を読むという習慣がなかったのだ。
だから、どうやって勉強したらいいのか全くわからなかったし、授業は苦痛で成績は悪かった。
17才の夏休みが暇でなかったら、本なんか読もうと思わなかっただろう。
あの夏は暇で暇でしようがなかった。
金がなかったのにバイトもしなかった。
「くすぶっている」と自分でも思っていた。
自分がすり減っていくように感じ、このままじゃいかんと思い、それで本を読み始めたのだった。
それで一番最初に読んだのは、夏目漱石。
「こころ」
読書慣れしていない少年が最初の一歩を踏み出すのに、「こころ」が向いているのかどうかはわからない。
読み終わるまでに十日かかったから、その読書は快楽ではなかった。
むしろ苦行だった。
しかし、苦行であるが故に読み終わったときの達成感は大きかった。
本の内容にではなく、読み終わったことそのものに感動していた。
続いて、芥川龍之介や、志賀直哉といった、国語の資料総覧に出てくる作家の作品を読んだ。
楽しみのための読書ではなく、このままじゃいかんと思った自分を高めるための読書だから、長くて難しいものほどよかったのだ。
夏休みからそうした義務的読書が始まり、その年の暮れにはトルストイの「戦争と平和」を読んでいた。
もちろん、内容の半分もわからなかった。
しかし、読書の習慣が出来たおかげで、高校三年の時には現代文だけはなんとか人並みの成績がとれるようになった。
成績アップが目的ではなかったのだけど、嬉しかった。
ただ、古文の成績は相変わらず最低だった。
なにがなにやらわからなかった。
古文に興味を持って接することが出来るようになったのは、二十歳を越えてからだ。
受験から自由になれたからかもしれない。
面白さを人に伝えるのは難しい。
【書名】 ハシモト式古典入門 これで古典がよくわかる
[一覧] 書籍一覧 【書誌目次情報】 ハシモト式古典入門 これで古典がよくわかる [ごま書房 1997/11/25] この本の要約 ↑関連情…