気温がぐんぐんと上がり、花粉の飛散量が一気に増大した。
まるで、爆撃機の大編隊が飛来してきたみたいだ。
完全に裏をかかれた我々は、絨毯爆撃に身をさらすこととなった。
マスクの準備をしていない良民達が苦しそうにあえいでいる。
戦争は終わっていなかった。
なんと言ってもまだ3月上旬なのだ。
それでも暖かくなったのは嬉しい。
上着を着て20分も歩くと、額に汗を感じる。
脱ぎ時はいつだろう。
冬から春へのの衣替えはタイミングが難しい。
以前バイク便の仕事で長野に配達したことがあった。
5月の連休明けだった。
東京は大そう暖かくて、昼過ぎには長袖でいるのが辛いほどだった。
15時近くに東京を出て、長野市に着いたのが18時過ぎ。
帰りは夜だ。
夏用のジャンパーを着ていたので、碓氷峠のあたりを通る時、死ぬほど寒かった。
よく考えてみれば、春物の上着を一着しか持っていなかった。
着る期間が短いので、そう何着も持つものではないが、それが必要となる温度というのがいまいちわからない。
むしろ梅雨寒の時に重宝する。
夕方、実家へ。
電車に乗ると、鼻をすする人の数が増えたのがよくわかった。
今村昌平『映画は狂気の旅である』読了。
猥雑で、きたなくて、生命力にあふれている映画を撮る監督だが、最初の師匠が小津安二郎だそうな。
しかし、助監督をしながら、この人の真似はすまいと思っていたそうで、作風が180度違うのもそのためだろう。
小津安二郎のところから新人監督は育たなかった。
あまりにも完成された世界だったから、模倣し発展させることが不可能だったのだろう。
夜、『粗忽重ね』の台本を書き直す。
パソコンのデータにしていなかった部分を書き足すだけの作業だったが、やっているうちに推敲作業に変わってしまった。
昔書いた台本を読むといつも思うのだが、余計な単語が実に多い。
活字の段階では会話のが作れないため、どうしても「ああ」とか「それで」とか「だから」とか「まあ」とかいう単語をつけ加え、調整してしまうのだと思う。
要らない台詞も多い。
過去に書いた台本から、要らない単語や台詞を徹底的に排除したらどうなるだろう?
中には上演時間が大幅に短縮されるものもあるかもしれない。
ライブドアのニッポン放送株争奪戦だが、ここにきて堀江社長への逆風が強くなっている。
堀江社長はフジテレビ以外のテレビ局に出演し、自論を積極的に展開しているようだが、若さゆえに才気走る感じが出過ぎていて、あれではニッポン放送社員が納得するはずないなと思った。
保守的な人々の反感も買うだろう。
急進的な社会改革を進めようとした者は必ず挫折してきた。
今の堀江社長の姿と重なる。
ただ、本人は意外と、
「最終的にこれでライブドアの知名度はぐーんと上がって、株価も上がり、損は全然してない」
というふうに考えるのかもしれないが。