二つの飲み

真夏日が続く。

4月の末から低迷していた阪神が、ようやく首位戦線に食い込んできた。
正直な話、このままBクラスに落ち込むだろうと思っていたから、嬉しい誤算である。
巨人、中日、阪神。
この3チームで優勝を争うのが、今のセリーグにおいては正しいだろう。
2004年以来毎年必ず優勝争いに絡む中日に、改めて恐ろしさを感じる。
なんども言うが、過去のドラゴンズの歴史において、ここまで安定して強かったことはない。

しかし今年は、生まれて初めて巨人を応援している。
金に飽かせて作ったチームというイメージから、久しぶりに遠く離れたという感じがする。
コンパクトで、いいチーム編成だ。
去年の辛抱が実を結んだ印象がある。
移籍組も、きちんと実力を発揮出来ている。

ペナントレースは、適度にもつれ合いながら9月に天王山を迎えるという展開が最も面白いと思う。
そういう意味で、セリーグもパリーグも、いよいよ面白くなってきた。

夕方、新宿へ。
赤十字で働くシゲ君がパキスタンから帰国し、学生時代の仲間で集まることになったのだ。
暑かった。
待ち合わせ場所に浅香がいた。
「いやあ、暑いねえ」
と彼。

同期の銀ちゃんが手ぶらで到着。
同い年だが、昔とそれほど変わっていない。
後輩のたまも到着。
彼女は学生時代よりほっそりとし、凛とした雰囲気を漂わせている。

シゲ夫妻が到着。
シゲは10年くらい前と体型は変わらず。
不敵なにやにや笑いを浮かべながら歩くその姿は、温泉街のチンピラを思わせる。
冷静で飄々としたmixi日記のイメージとは正反対のイメージだった。
奥さんのタカハシは、見る度に目が細くなっている。
世界がどんどんまぶしくなっているのだろうか。

旦那はパキスタン、奥さんはケニアで仕事をしている。
お互い単身赴任のようなものだ。

目についた店に入り、乾杯をした。
「アタシは完全な偽個人情報でmixiやってる。日記が超恥ずかしいから誰にも教えない」
と、銀ちゃん。
「最近は歌舞伎を見ます」
と、たま。
浅香とシゲはそれぞれデジタル一眼レフを見せあっていた。

シゲの被写体となっていたタカハシは、
「日本に一時帰国だから、ウィークリーマンションにいるんですけど、マンションに二人きりだと動く物体がワタシだけなんです。ワタシしか撮る物体がないんです」
と言った。

「この前、カージャックされるのかなあと思いました」
とタカハシは続けた。
「買い物をして駐車場を出る時に、前の車がエンジンかからない様子で停まっていたので追い越したんです。そうしたら、突然その車のエンジンがかかって、後ろからついてきたんです」
「こわーい」
と銀ちゃん。
「その後、ハイウェイみたいなところを走ったんですけど、車線変更をしてもその車がぴったり後ろに」
「それからどうなったの?」
「前を、トラックが二台別々の車線を走っていたので、その間を、シュインと」
「すり抜けた?」
「はい」
サーキットの狼みたいなことをさらりとやってのけ、虎口を脱したらしい。
日本は平和だ。

遅れてOZORAの森さんと曽根さん来る。
総勢8人となり、場もいい感じに砕けた。

9時を少し過ぎてから、先に店を出る。
久保田君と飲む約束をしたいたのだ。

待ち合わせ先の高円寺に行こうとしたのだが、間違えて快速に乗ってしまい、荻窪に着いてしまった。
電話をすると、彼の方が荻窪に来てくれた。
居酒屋に入り、飲む。

現在稽古中の芝居の話や、友人のうわさ話などをする。
二人で焼酎を1本空ける。
誰かとさしで飲むのは久しぶりだ。
しかし、金曜日の<オギノ祭>といい、ここ数日飲み過ぎなのが気になる。

12時に店を出る。
さすがに酔った。
うちに帰りシャワーを浴び、マッハ寝。