11時劇場入り。
田中さんによるバラシの段取り説明の後、千秋楽の準備に入る。
昨日にも増して肩が凝っていた。
テンションをあげるため、芝居中自分がこもる穴の中で上半身裸になり、温泉ごっこをしたりする。
バカみたいだが、そういう遊びを稽古期間中にたくさん出来たかどうかが重要なのだと思っている。
そういう意味で今回の自分は忙しすぎて遊ぶヒマがなかった。
次回は沢山遊ぼうと思う。
マチネ開演。
序盤はいつも通りかと思いきや、鶴マミが台詞を忘れる。
こず江さんが次の台詞をフォローしたのでその場はなんとか回ったが、そこからラストまで鶴マミは持ち直すことなくボロボロになり、素人みたいになってしまった。
逆に自分は気合いがみなぎる。
鳩サブレーシーンで腹をくくって臨む。
(そうか、こうやればいいんだ)
と思ったが、今日は千秋楽である。
つかんだと思ったら終わっている。
終演後、お客さんに挨拶する。
会社の方が二人来ていた。
どぎまぎする。
昨日はTさんが来たらしいが、ばたばたしていて挨拶することが出来なかった。
工具を補充してバラシ開始。
自分は売上金と領収証片手に、精算を開始する。
昨日までの売上金は銀行に預けてあったので、途中引き出しに行く。
空に虹が出ていた。
男手の多さと工具補充が効いたのか、バラシは順調に進んだ。
おかげで精算に集中することができた。
感謝の言葉もない。
8時に荷返しトラックが劇場を出る。
あとは私物をまとめて打ち上げ会場に行くだけという段取り。
制作用具、私物、その他の荷物がとても沢山あったので、自転車でいったんうちに帰ることにする。
荷台と籠とリュックに重いものがぎっしりという感じ。
20分かかる道を30分かけて行く。
家に帰り、荷物を置いてひと息つき、再び自転車で打ち上げ会場へ。
店の手前で一石君と谷中さんに会う。
荷返し組も丁度戻って来たようだった。
返し作業まですべて終わった状態での打ち上げは、何年ぶりだろう。
『夏の子プロ・粗忽重ね』以来かも知れない。
全員揃ってはいなかったが、乾杯を繰り返すことで対処する。
松本さんと『第二ゾーンへ』の思い出を話す。
舞監が仕込み初日に事故り、バラシで手配されたトラックがなかなか来ず、来てみたら工事用の砂利トラで、雨が降っていたので濡れていたものを急遽ビニール袋で梱包し、さらにその日のうちにトラックを返却しなければならないため、男連中が返し作業に真夜中奔走するという、ひどい仕切りだった。
いつまた、そういう芝居をしてしまうかわからない。
だから、ひどかった芝居をきちんと覚えておくのは重要だ。
楽しかった芝居を覚えておくより重要だ。
今回は楽しかったなあと思う。
だがそれは演出席から眺めて客観的にそう思うのであって、自分が楽しさの中に飛び込んでの楽しさではなかった。
そういう楽しみ方が出来るのは、客演さんだけだろうなあと思う。
飲みながら席を移動し、わいわい話す。
尾池さんと田中さんは明日の仕事のため途中で帰った。
帰る前に大入り袋を渡し、お礼を言う。
そのまま大入り袋を全員に配り、ひと言コメントを言ってもらう。
その後、明け方まで制作の山田さんと話す。
山田さん、集客について色々意見をしてくれる。
4時過ぎ、閉店になったところで解散式。
大人数だったので、ささやき声で三本締めをする。
皆は疲れた体を引きずり、駅に向かっていった。
芹川と鶴マミを呼び止め、それぞれ少し話す。
芹川とは話し足りないことが色々あり、そのことについて現時点の立場や意志など色々聞く。
突っ込んだ話をしようと思ったが、自分が呼び止めた鶴マミがそばにいたので話せず。
次に鶴マミと話そうと思ったが、仲澤さんがそばにいたのでまた話せず。
仕方ないので帰ろうとすると、
「今度、色々話します」
と鶴マミから言われる。
だが、オレから連絡せぬことにはその<今度>は来ないだろうと思った。
「メールでもいいよ」
と返事をしたのだが、
「メールはちょっと…」
と返された。
他人の目を意識してのことだろう。
ともあれ、色々話す日程やその他の連絡はメールでくるだろうから、メールを待つことにしようと判断する。
5時帰宅。
シャワーを浴び、荷物を少し片付けてから眠る。