掃除屋初日

午前から正午過ぎにかけ、やり残した場当たりをする。

写真撮影の浅香と、撮影チームの松島くん来る。
ゆったりと話すゆとりはなく、緊張感に包まれたまま、2時過ぎからゲネ開始。

ゲネ前に、
「芝居中に転んでゴミ山につっこみ、血だらけになります」
「舞台装置がお客さんの席に飛んで、大怪我をさせます」
「舞台から滑り落ちて骨折します」
と、起こりうる最悪の事態を役者に告げる。

縁起でもないことかもしれないが、起こりうるのだから気をつけないといけないし、今回の芝居はちょっとでも気を緩めると、芝居が成立しないほどの大トラブルに見舞われるかもしれない。
「気をつけてね」
という言葉よりも、具体的な方がいい。
だから毎回のように最悪の事態を言葉にしている。

心配していた舞台装置絡みの大トラブルはなかった。
芝居そのものは、最終通しの時よりも<試してやっている>感じがある。

ゲネ後、すぐにカーテンコール作りをする。
終わった勢いで一気に作りこむ目論見があったが、人数が多く、考えていた配置をずらしたり試行錯誤する。

わずかなインターバルをおいて、本番の準備開始。

ゴミ山のプリセットは、先週木曜からの積み重ね稽古がものをいい、かなり手慣れてきた。
頭で仕込むのではなく、おのおのの役者が身体感覚と距離感覚をもとに組んでいる。
集団生活をする昆虫が巣を形成するのを見ている気になる。

お客さんの動員は開場時間ギリギリまで伸び、ほぼ満席の形でソワレの幕開けとなった。

楽屋のモニターで芝居を見る。
冒頭、桃ちゃんのテンションがやけに高い。
緊張しているのだろうか。

トシさんが登場し、上岡くんと先輩後輩のやり取りをするあたりで、客席から大きな笑い声。
楽屋に戻ってきたトシさんが、
「俺の、ゲラの後輩がきてる」
と言った。

お客さんの反応は非常に良かった。
ゴミ片付けも、心配していたようなトラブルはなく、後半の裸舞台までもっていけた。

上演時間2時間15分。

終演後、お客さんを見送る。
客席は少し暑かったらしい。

無事初日を迎えられたことがひたすら嬉しく、誰もいないところで巨大な息をついて安堵をゆっくり味わいたかった。
事故、怪我人が出なくて本当に良かった。
ゴミ山が雪崩のように崩れ落ちなくて本当に良かった。

着替えて、初日打ち上げに行く。
忍くんと遊くんと三代川の席に座り、乾杯をし、明日のダメ出しについて考えつつ、ビールを飲む。

終電組が一人二人と帰っていき、残った人数で端による。
ハチさんや尾池さんのテーブルに合流。
あのシーンはもっとこうありたいなどの意見を聞き、残りの酒を飲む。
尾池さんに教えられ、南北線でぎりぎりの終電に乗り、荻窪まで一緒に帰る。
帰り道、久しぶりにいろいろ話をする。

荻窪駅で別れ、1時20分帰宅。
風呂に入り、明日の分のパンフレットとアンケート用紙を印刷する。
3時就寝。