思い思いの重さ、そして千秋楽

8時過ぎ起き。
バラシ用の荷造りを済ませ、9時に家を出る。
11時に劇場入り。

昨日は昼間に突然雨が降るなど、不安定な天気だったが、今日は朝から日差しがとても強かった。
楽屋のベランダにいると、太陽の光で日焼けしそうだった。
それでも30度にはいかないらしい。

いったん集まり、昨日の台詞飛びについて話す。
誰にも起こりうることなので、待っている間にも、次の台詞を頭で確認するなどのシミュレーションをするといい、などと言う。

10月の千秋楽を、夏日で迎えるのは、良い兆候だと思う。

準備の間、平木君から質問を受ける。
その場で台詞を言ってもらうが、気持ちの流れを変える必要はないと思ったので、解釈の足しになることだけを伝える。

2時、時間通り開演。

昨日から、シーンが醸す空気を感じていたが、今日はそれがはっきりと出ていた。
何かするというわけではなく、当たり前の会話をして、そこで生きているのに、醸し出す空気が面白い。
そういう空気は、お客さんをリラックスさせるのだろう。
研修のシーンから、楽しんでいる雰囲気が伝わってきた。
そして、お客さんが楽しんでいる雰囲気が役者に伝わると、役者も楽しくなる。
去年の掃除屋も、千秋楽の芝居がとても良かったが、今年もそういう千秋楽を迎えられて嬉しい。
そして、今日で終わってしまうことが悲しい。
今日あたりが「中日」だったら、最高なのだけど。
でも、そのスケジュールだったら、明日あたりやばいかもしれない。
調子にのって笑いを取りに行き、自滅するかもしれない。

カーテンコールをバシッと終わらせ、楽屋に戻る。

直美さん見に来る。
マグにしては珍しい芝居との意見。
平木君からは、上川さんという女性を紹介される。
声優をやっているらしい。

4時半からバラシ開始。
宇宙キャンパスの佐藤くんが、『六月の魔女』同様、手伝ってくれた。
今回は、仕込みで菊田くんが手伝いに来てくれて、本当に宇宙キャンパスの皆さんには頭が下がる。
いつかお返しをせねばと思う。

銀行へ行き、お金を引き出す。
劇場の自転車を借りたのだが、5時前の日暮里はもう薄暗くて、町はいい感じの色に染まっていた。

劇場に戻り、制作の山田さんからチケット関連の説明を受ける。
その後、余ったチラシを段ボールに詰め、コンビニで郵送する。
重すぎて扱えないと言われ、その場でチラシを数十枚抜き取る。

劇場使用料金の支払いを済ませ、7時半過ぎにはトラックへの積み込みが終わる。
セリくんと平木君が荷下ろし要員として五反田に行ってくれた。

8時にバラシはほぼ終了。
最終チェックを劇場さんにしてもらい、8時20分に撤収。

8時半過ぎ、魚民にて打ち上げ。
尾池さん、宮崎さん、山田さん、皆、次の現場やその他予定があり、打ち上げに参加できなかった。
そのため、思ったより少なめの人数での打ち上げとなる。

渡辺さん、照明操作の箱崎さん、音響操作の遠地さんと話す。
遠地さん、ラーメン二郎にやたら詳しかった。
渡辺さんは、飲んだ後に二郎のラーメンを食べ、気持ち悪くなったことがあるらしい。

飲みながら、荷下ろしの芹川と平木君にメールをする。
五反田の荷下ろしが終わり、平木君は先に店に戻ってきた。
乾杯をしてすぐ、携帯がないと言い出す。
劇場に電話してみると、
「携帯ですね」
と言われる。
ロビーの黒いベンチに置きっぱなしになっていたらしい。
平木君、すぐに取りに行ったようだ。

いつの間にか、別現場に入っていた宮崎さんが、打ち上げに参加していた。
驚いたけれども、嬉しいことだ。

照明の荷下ろしまで手伝い、芹川到着。
恒例の大入りを配る。

一人一人コメントをいいながら渡していく。
今回は、一人一人がある種の「重さ」を抱えて臨んだ公演だったと思う。
重さの種類は、芝居だけとは限らない。
プライベートの色々も含む。

もやもやしようと思えば、いくらでも出来る公演だった。
にもかかわらず、今回の公演は、見て元気になってくれたお客さんが多かった。

全員分の大入りを渡し、自分の分になる。
知恵ちゃんが代表して渡してくれたが、何を喋っていいかわからず、とまどう。
重さの話を少しする。
思ったことは沢山あり、感無量ではあったのだけど、その場で言葉で表現することができなかった。

そのまま、飲みは朝まで続いた。
途中、松本さんが合流。
「今回は真っ直ぐでしたね」
と言われる。
そうかもしれない。

トシさん、タカ、平木君と、今回の芝居の話をする。
「なぜ、俺、あの役だったんですか?」
とトシさんに聞かれ、理由を即答する。
その質問をされ、それに答えることができただけで、今日の打ち上げには価値があった。
馬鹿話もする。
上岡君と柳瀬君の二人組ユニット公演の話。
ユニット名は「ふたりがかり」
強さと弱さを兼ね備えた、いい名前だ。
台本は俺が書く。
いくつか短い話も考えた。
上岡君がおじいちゃんの役で、柳瀬君が義理の嫁で、おじいちゃんが嫁を手ごめにしようとする、気色悪い話。
大金持ちの老人が私費を投じてショッカーを作り、若者を拉致して改造人間にしようとするが、一日に15分しか手術してやらないので、どこを手術されたかわからずに、その若者は大いに困るという話。

4時過ぎ、店が閉店となる。
外に出て、解散を告げ、日暮里駅の改札をくぐる。
くぐらなかった面々は、早朝の二次会に向かったのだろうか?

松本さんと秋葉原まで一緒。
明けて朝からシアターグリーンで仕込みらしい。
大変としか言いようがない。

朝の6時帰宅。
シャワーを浴びる。
頭が痛かった。
布団に入った途端に意識を失う。