事故

8時半起き。
着替えて自転車に乗る。
昨日より荷物は少なかった。

四面道から日大通りに入る。
道は空いていた。

車両の信号が赤で、その少し先に交差点がある。
交差点には歩行者用の信号があった。
車両の信号から7メートルほど先だろうか。
左の道から車が出てくるか、のぞき込むように走る。
前輪が横断歩道をはみ出すのと、左の道から車が出てくるのがほとんど同時だった。
体が前のめりになり、フロントガラスにぶつかった。
ぶつかる時、肘で顔面と頭部をとっさにかばった。
そのまま道路の上に倒れたが、どう倒れたのかは覚えていない。
すぐに手足を動かし、骨が折れていないか確認し、そのまま無意識に立ち上がって自転車を道の端に寄せた。
「動かないで!」
出てきた運転手と、歩道の向かいにいた女性が言った。
唇を切っていた。
歯が貫通していないか舌で確認し、舞監の田中さんにメールをする。

警察と救急車が来た。
自転車を交番に預けてもらい、救急車で血圧を測ってもらう。
生年月日その他、色々なことを聞かれ、落ち着いてひとつひとつ答えた。

病院でCTスキャンとレントゲンで検査をしてもらう。
異常はなかった。
唇の傷と、左足のすねに打ち身による腫れがあったが、歩けないほどの痛みはなかった。

検査を終え、病院を出ようとする時に警察に電話をした。
もし今日もらえるのならが、診断書を持ってくるように言われたので、病院に戻ってそのことを伝えると、会計に行くよう言われた。
保険適用外の金額として4万円弱請求された。
その場で払うのが納得いかなかったので、名前だけを書類に書いて病院を出る。

バスで警察署に行く。
外は雪だった。
交通課で運転手の人と会う。
歩いて来た自分の姿を見てほっとしているようだった。
同じ立場だったら自分もそうだろう。

調書を取ってもらい、赤信号を渡ったかと聞かれる。
車道は赤だったが、歩道の信号は少し先にあったので、先に進んでしまったと答える。
「あそこ、確かに見にくいんだよね」
と警察官が言った。

調書を取り終え、山田さんから着信履歴があったので、折り返し電話する。
午前中何度もメールをくれたらしい。
体調不良で本日来られないとのことで、作業内容は知恵ちゃんに伝えてあるという。
こちらも、午前中は色々ありすぎ、電話ですべてを伝えることが出来ぬまま、荻窪行きのバスに乗った。

1時半に劇場に戻る。
楽屋に入り荷物を置くと、待機していた役者陣からぎょっとした目で見られた。
トイレで鏡を見ると、切れた唇から血がにじんで、頬を少し腫らしていた。

2時過ぎから場当たりをする。
田中さん指示のもと、きっかけを抜くというより、切り通しのスタイルで進めていく。
夕方6時過ぎ、明かり作りの時間が必要となったので、休憩を取る。
思っていたより進行は円滑で、今日中に終わりそうだった。

9時前にカーテンコールを残して場当たり終了。
ほっとした。

10時に退出し、下落合まで歩く。

自転車を預けた交番までは距離がけっこうあったので、途中で夕飯を食べた。
万博チャーハンの店。

交番で自転車を引き取る。
前輪の軸が横にずれ、ブレーキがききっぱなしの状態になっていた。
押しながら歩いて帰る。
途中、あまりにも重いので、自転車を横に倒して、前輪の上に乗ってずれを修正した。
ブレーキのききはなくなり、走れるようになったが、ハンドルが左にずれていた。

12時前帰宅。
唇の傷を確認する。
血は止まっていたが、メイクで隠せるかどうかが気になった。
左目下の頬にも擦り傷ができていた。
吐き気や眠気を感じるということはなかった。
頭を打った記憶はないので、大丈夫だとは思う。

1時過ぎ就寝。