退院祝い

8時起き。
寒かったが、こんなもんだろうという気もする。

Premiereで10月公演の動画編集。
途中まで編集してあったものをすべて廃棄してやり直している。
明らかに編集のやり方に失敗したからだが、勉強し直したいという気持ちもあった。
ここ数週は、Youtubeの解説ばかり見ていた。

ようやく編集の指針が定まり、ゆるゆると進めている。
映像ソースは4本。
昼の回2本と夜の回2本なので音声は2種類。
正面から取ったのは昼の回のみで、この映像がメインとして最も良かった。

結果論を言えば、正面、上手、下手の3カメラで2ステージ分撮っていれば良かった。
が、まあ、撮れただけマシだ。

10時半まで作業して家を出る。
自転車で永福町へ。

「大勝軒」で中華麺食べる。
朝っぱらから行列ができていた。さすが人気店。
永福町系の大勝軒といえば、一橋学園店に20代の頃によく行った。椎名誠の本に出ている店。
代田橋店には一度行ったが、一昨年閉店したようだ。
他に保谷店が有名らしいが、あの辺に用事がないのでなかなか行けない。

巨大丼が来た。
卵をかけ、スープが熱いうちに食べる。
体が暖まった。

下北沢へ。
翠ちゃん出演の舞台観劇。
『十二人の怒れる男』
タイトルを少し変えていた。

類型的演技が目立っていた。
陪審員達が裁判の審理を行う。
暑い夏。部屋は扇風機が故障している。
有罪間違いなし。すぐ終わるだろう。
だが、一人の陪審員が無罪を主張した。
暑いのに。ああめんどくさい。

この感じを表現するために必要な芝居は、あおぐことや、ハンカチで汗を拭くことではないのではないか。
もちろん、あおいで、汗を拭くことはする。
それを表現として出すには、小劇場的演技とは真反対の、スタニスラフスキー的な稽古が必要となるのではないか。

たとえば稽古場で、全員もの凄い厚着をして、部屋の温度を42度くらいにして通し稽古をした時に、陪審員8番の発言に対して他の陪審員達はどれだけ苛つくか?
苛つくために必要な生理的条件はどういうものか?
そんな稽古の結果として、ハンカチがあったりするんだろう。

黒澤明の「野良犬」を鑑賞するのもいいだろう。
あれも、暑い夏の設定だ。でも撮影したのは冬だ。

ラストシーン、写真の下りが戯曲通りだったため、結果的にはなぜラストがああなったのかわかりにくかったと思う。
どういう演出をすればいいのか、演出に課せられるお題みたいな場面だろう。

仁平さんの美術が大変良かった。
回り舞台。
使ってみてえー。

翠ちゃんに挨拶し、劇場を出る。
新宿から大江戸線で御徒町へ。

ドトールでコーヒーを飲み、ノートパソコンを開くが、WiMAXがつながらなかった。
ファイルの整理だけしてパソコンを閉じた。

5時少し前に、ヤキタテピザ佐野へ。
先日退院した浅香の、快気祝いではなく退院祝い。

銀ちゃん、ふかやん、伊藤さん、片桐亜樹ちゃん、倉田さん来る。

お店のテーブル席をつなげ、カウンターのみあいている状態だった。
持ち帰りのお客さんがひっきりなしにやってきて、マスターの黒田さんは忙しそうだった。

銀ちゃんと黒田さんは、浅香が入院して間もない頃にお見舞いに行ったので、浅香の回復ぶりに驚いていた。
「そんなに大変だったんだー」
と、伊藤さん、倉田さん、片桐は言っていた。

浅香のダイエット計画について、片桐が煽る。
「目標XXキロ」
彼女はピラティスをやっているそうだ。

明太子のピザが大変美味しかった。
「これは、オーナーからでーす」
黒田さんが、ポテトサラダやシーザーサラダやグラタンをサービスしてくれた。
ポテトサラダが、胡椒とベーコンの味がぴりっと利いていて美味しい。
大人の味だった。

色々な話をした。
舞踏家の倉田さんが、
「見た目のカッコイイ体を作るっていう風潮は、どうも違うと思う」
という話をした。
すごく惹きつけられた。
「哲学がないってことですかね?」
と、書生みたいな青臭さで聞き返してしまった。

黒田さん、浅香に退院祝いのバランスボールをプレゼントした。
皆で拍手する。

「呼吸法をやれば絶対に痩せると思うよ」
倉田さんのレクチャーが始まった。
「お腹を引っ込めようとしちゃダメなの。背中を伸ばすと内臓が下に圧迫されないでしょ」
結果として、ひっこむということらしい。
昔、発声のレッスンを受けた時、横隔膜を意識した呼吸のことを学んだのを思い出した。

「ちょろっと顔を出して失礼します」
と、誘った時点で伊藤さんは言っていたのだが、10時半まで残ってくれた。
懐かし話だけじゃなく、普通の色々な話を聞けて、とても楽しかった。
刺激も受けた。肉体。そして肉体作りに宿る哲学。

11時前に散会。6時間近くもお店を占拠してしまった。
コーヒーが美味しかった。沢山食べた。
先輩と話せて楽しかった。こういう会が数ヶ月に一回くらい、メンバーがシャッフルされつつあると、面白いだろうなあ。
そういえば、演劇とは関係ない、大学時代のオレのクラスは、いまだにそれをやっている。
榊原くんや清水くんの尽力あってこそだ。尊敬する。

新御徒町で、JR組と別れる。
浅香に、プレゼントをもらった。

お酒だった。
その場で包みを開け、みなさんに見せる。
ウイスキーの竹鶴。

「大晦日やお正月にちびちび飲んで」
「ありがとう。こいつをちびちびやりながら、今年の紅白堪能するよ。坂本冬美で」

毎年、坂本冬美はしっかり見ている。

銀ちゃんと大江戸線ホームへ。
「あたし、機種変したらFACEBOOKやるから」
「でもiPhoneでしょ? する必要あるの?」
「古くてデータいっぱいなの」
「へえ、5s?」
「4」
「ああ、そりゃ古いね」

銀ちゃんは森下へ。
オレは逆方向に乗り、ホームで別れた。

新宿から京王。井の頭線へ。

メールをしていたら、永福町をいつの間にか過ぎていた。
容赦なく久我山に運ばれる。

永福町に戻り、自転車で帰宅。
12時。風呂に入る。

小林信彦『1960年代日記』読了。

考えさせられることがとても多い一日だった。
たまに、旧知の人と会って話すのは、人生の交わりの化学反応を自分の中に確かめるような趣がある。
それは、心地よい感触だから、広げられると面白いだろうな。