目覚ましが鳴らなかった。鳴ったのに起きなかったのかもしれない。しかし朝飯の時刻ぴったりに目が覚めた。
1Fのレストランへ行くと、女子中学生ソフトボール軍団がにぎやかに朝ご飯を食べていた。朝食バイキングの品数は昨日のホテルより多かった。
部屋に戻って荷物を整理していると、昨日のホテルに三島由紀夫の『愛の乾き』を忘れてきたことに気がついた。ブックオフで買った古本だし、本自体はまあいいかと思ったのだが、ブックカバーをしてあったのが残念だった。なぜか、ブックカバーをした本をよくなくす。
8時半にチェックアウトする。ナビを高松港にセットし、1時間と少し運転に集中した。
瀬戸大橋を渡り、与島PAで一休みした。9時半だった。
四国側からやってくるアンパンマンのトロッコ電車にみんなで手を振るというイベントをしていた。子供たちに旗を持たせ、建物の前で一斉に振るというもの。
しかし、やってきたトロッコは、遠目にみても何だかよくわからず、振っているこっちのことが向こうに見えているのかもわからず、微妙なイベントだった。
イベントを見届けてから車に乗り、四国に渡る。
高松港へ。車を止め、リュックにスイムウェアとシュノーケリング装備を入れ、フェリー乗り場へ。往復チケットを買い、11時35分のフェリーで小豆島に向かった。瀬戸内島巡りの総決算である。
12時半過ぎに小豆島の土庄港に着いた。
さてどうするか。小豆島に渡ることは考えていたが、どこへ行くかは決めていなかった。
まず、島を隅々まで回るのは無理だ。一周が180キロくらいあるらしい。レンタカーを借りるか、車ごと渡ってこないと無理だ。
で、レンタサイクルを借りた。電動自転車にした。これならある程度の坂があっても大丈夫だ。坂さえ大丈夫なら距離も稼げる。
昼飯を食うことにした。しかし情報ゼロ。営業中の看板が出ている食堂があったので入ってみた。「すなみ」という店だった。客は一人もいなかった。メニューには和洋色々あった。オリーブそうめん定食というのを頼んでみた。
思ったより品数が多く、しかし食べてみるとボリュームはそれほどでもないという定食だった。可もなく不可もなし。店の中は70年代のスナックみたいな内装で、五木ひろしや知らない演歌歌手の歌が延々と流れていた。嫌いではない。むしろ好き。
店を出て、とりあえず観光スポットをめぐってみた。まずは「海峡」へ。ギネスブックに認定された、世界で一番狭い海峡らしい。
なるほど。確かに狭い。けど。
運河じゃん。水きたねえし。
ものは言いようってことだ。
次に、カップルがよく行くというエンジェルロードに向かった。干潮時にのみ岩場と島の間に道ができるという。一昨日、中島で歩いた「城」みたいなものだ。あそこは人っ子一人おらず、道も岩で無骨だったが、エンジェルロードは完全に観光化されており、土産物店もあった。けど。
これ、満潮時でも道は残ってるんじゃないだろうか? 砂は乾ききっていたし。大潮の満潮時にはわからないが。それとも、定期的に砂を盛って観光資源を維持してるのだろうか。
しかし、満潮時は確かに見えなくなるらしい。疑って悪かった。
道は思ったより短く、カップルはそれほど多くなかった。
岩に生えた木には、願い事を書いた絵馬みたいなものがたくさんくっついていた。愛の墓標のようだった。中には「プールで25メートル泳げますように たかし」といった、七夕と混同したものもあった。
さて、次はどうする?
泳ぐか? 海水浴場はどこに?
調べると、エンジェルロードから10キロ離れたところに、オリーブビーチという海水浴場があった。電動自転車だから10キロくらいは大丈夫だろう。行って、1時間ばかり泳いで帰って来れば、5時台のフェリーに乗れる。設備とか詳しいことはわからなかったが、とりあえず行ってみることにした。
途中、朽ち果てた地元商店があった。
資本主義の尖兵商店もあった。
小豆島も、入江単位に集落があった。入江周りが平地になり、入江と入江の間を山が分断しているのが、これまで見てきた島々に共通していることだった。
電動自転車に乗るのは初めてだった。坂道を登るのはママチャリに比べるとずいぶん楽だった。しかしスピードが出るわけではなく、ペダルを漕ぐことはしなければならないので、10キロ移動するのはそれなりにエネルギーを使った。
オリーブビーチに着いた。自転車でビーチのそばまで行くと、予想したより規模が小さく、更衣室もシャワーもなかった。海の家はあるようだったが、そこまでして泳ぎたいわけではなかった。
結局、泳ぐのをやめにした。何しに来たんだ?
すぐそばに小豆島オリーブ公園というのがあったので行ってみた。傾斜のきつい坂を登った。ママチャリだったら押して歩いていたと思う。
3時を過ぎていた。一番暑い時間帯だった。館の中はオリーブ関係のソフトクリームを買う客の列が出来ていた。
オリーブ関係の展示もあった。しかし、オリーブに興味はなかったし、せっかく来たのだからという理由だけで興味を持とうとするのも不自然だったので、外に出て日陰のベンチに座って休んだ。
小豆島は、瀬戸内海最大の島ということもあって、一昨日行った中島とは感じがまったく違った。物流において本土とつながっている感じがした。中島はそのつながり方が弱かった。
どちらに魅力を感じるかというと、つながりが弱い方だ。一日二便くらいしか船がないような小さい島へ渡り、歩いてブラブラするのがいい。しかし、それだと一日にひと島しか見られない。今度来た時の楽しみにしておこう。
さて、休んだ。水分もとった。
ベンチにさっきまで座っていた令嬢四人組の一人が忘れたiPhoneを事務所に届けた。名乗らなかったのは失敗した。「親切なお方がいるものね。一体どなたが?」「わたしです」という場面を演じられないのが残念だ。
元のルートを戻る。来る時は登り坂が延々と続いて一気に下る道だったので、帰りはちょっと登ってから延々と下るコースになっていた。登りの負荷が傾斜に関係なく一定なのが、電動自転車のいいところだ。
途中、富丘八幡神社に寄った。
見下ろすと双子浦。
土庄港へ戻る。4時だった。土産物を買いフェリーを待った。4時半の便に乗れた。
5時半に高松へ。車に乗り、2キロほど離れたところにあるうどん屋へ行く。途中、「ケン」という写真屋を発見。同じケンとして頑張って欲しいものだが、店は営業している気配がなかった。
「誠うどん」という店に入った。
店は狭く、常連様がちらほらいた。
かしわうどんを頼んだ。しっかりボリュームもあり、値段は350円と激安だった。かけうどんは150円らしい。
店を出ると6時20分だった。ホテルに行く前にひと観光出来そうだったので、屋島に行って夕陽を見ることにした。ナビをセットしようとするが、なぜか検索にひっかからず、地図で直接指定した。行く途中の道は渋滞していて、信号が赤になっている時間も妙に長く感じた。
屋島に着いたが、残念ながら日は沈んでしまっていた。夕焼けも見られなかった。空が染まっていればこの時間でも十分だったが、染まるには日の角度的にもう少し季節を進めないといけないのではないか。7月末に夕焼けを見た記憶はあまりない。
宿に向かう。トレスタ白山。高松の南東。途中でガソリンを入れようと思ったのだが、対向車線側にばかり見つかった。ガソリンスタンドは、なぜかいつも対向車線側にある気がする。そして、やっと自車線に見つけてガスを入れると、その先に必ずもっと安いスタンドがある。
7時半過ぎにチェックイン。一昨日はビジネスホテル、昨日は宿泊センター、今日は観光ホテルという感じ。大浴場は昨日の方が良かった。
部屋でブログ更新などする。写真を乗せると文章が少なくて済む。楽だ。
吉本関連のニュースを見ていたら、無性に「やりすぎコージー」が見たくなり、動画検索をしてアップしてあるのを見た。2005年頃のやつ。この頃の今田さんは「舌無双」だ。芸人としてのピークを迎えていた頃だったろう。四十くらいか。大橋アナもかわいい。
12時半就寝。