「パラサイト」見る

8時半起き。
朝飯に、ご飯、大根おろし、人参のぬか漬け、キノコのシチュー食べる。

『進撃の巨人』まとめ読みをする。
昨年の暮れは27巻まで出ていた。今年は30巻まで出たので、まとめ読みは28巻から3巻分すればいい。
だが、案の定27巻あたりの展開は曖昧だったので、26巻までさかのぼって読み直した。「開戦!」があってサシャが死んでガビが捕まって、回想でマーレ国の捕虜たちが実は反マーレで、ガビが逃げてエレンも幽閉されて、なんやかやかってエレン派みたいな紅衛兵が出てきた。
ふんふん、なるほど、と思いつつ、まだ「始祖の巨人」と「王家の血を引く巨人」の関係性がはっきりとはわかっていない。大体、ヒストリアが女王様になった辺りから、授業についていけなくなっていたのだ。
それでも、26巻27巻は、昨年末に読み返した時より理解できた。で、28巻を読んでみると、さらにわかった。この巻のリヴァイは全巻中もっとも高い戦闘力を発揮する。強すぎる。

28巻まで読んだところでまとめ読みを切り上げた。

4時に家を出る。銀座へ。
銀座ファイブにある「あるでん亭」で、アリオオリオのベーコン添え二倍盛りを食べ、生ビールを飲んだ。「アリオ」はにんにく、「オリオ」はオリーブオイル。ペペロンチーノのようなものだ。それに、でかいベーコンがどーんと四枚乗っていた。ウマし。テーブルに、すりおろしたチーズが置かれており、ちょっとかけて味見をしたが、こいつも美味だった。パスタにオリーブオイルを絡めたやつに、このチーズをかけただけで十分旨いなと思った。「あるでん亭」はソニービルにあった時に行ったことがあるが、銀座ファイブの方が地下鉄直結なので行きやすいと思った。新宿センタービルに支店があるそうだが、ランチ時は行列ができるらしい。そりゃそうだろう。

6時にTOHOシネマズ日比谷へ。

ポン・ジュノ監督「パラサイト」の先行上映を見る。

上映前に、監督とキャスト陣による、「ネタバレしないでください」メッセージ映像が流れるが、これはご愛敬。というより、たとえネタバレしていても、面白さが損なわれることはまったくない作品だった。
冒頭、半地下の部屋から往来を撮った映像。カメラが下に移動するとそこは半地下の部屋で、家族が暮らしている。内職の段ボール折りをするために、スマホで方法を検索しているが、Wi-Fiが入らない。隣人のを無断で使っていたようだが、パスワードがかかったらしい。
家族は、父、母、長男、妹。家族全員仕事がない。ひょんなことで長男は金持ちの家庭教師の仕事をすることになる。長男は大学に行っていないのだが、妹はデザインの才能があり、証明書の偽造をネットカフェで難なく行う。
教え子はかわいい高校生。ママも若くて美人。パパはどっかのCEOで、家は超豪邸。ママの前で見事な教師スキルを見せ、信用を勝ち取る長男。
金持ち一家には手のかかる弟くんがおり、抽象画を盛んに描いている。ママは彼のことが心配。長男は、絵画セラピストを紹介すると言って、例の、デザインの才がある妹を……
と、こんな感じで、金持ち一家に侵食していく半地下家族たちの話で、前半はあの手この手の寄生パターンが面白く、笑いも起きていた。
ところが、そこから先がネタバレゾーンになる。コメディがスリラーふうの展開になったと思ったら、社会派ドラマになり、アクションになり、最後は、カテゴリーわけするのが難しいが強い印象を与える場面で終わった。
130分の作品だったが、まったく飽きなかった。カメラがよかった。ちゃんと「目」になっており、風景と人物のとらえかたに温もりがあった。

終わった後、ドキドキしながら映画館を出た。日本と韓国の関係が悪化したことになっている昨今、作品評とは関係ない意見が出てくる前に見られて良かった。

帰りの地下鉄内で、「パラサイト」の評を検索した。まだ公開前なのでヒット数は少なかったが、「貧困をテーマにした映画」という言葉には引っかかるものを感じた。
貧困を描いたのは間違いないが、「貧困をテーマにする」という言葉から連想される方法論ではなかったと思う。素材として、そこにあるものを、ありのまま冷静に撮っていた。だから、金持ち家族も悪人では決してなかった。むしろ、善人の方だと思う。
というより、善悪二元論で語るという方法論ではなかった。今の時代にそれをやっても、たぶん、意味がないのだ。悪徳資本家が労働者を搾取するという構造ではないから。にも関わらず、悪徳資本家が労働者を搾取してきた19世紀と同じような貧富の差が出来てしまっていることが問題なのだ。
映画に出てきた金持ちCEOはたぶんインテリで、社員の福祉もきちんと考えている人だろう。しかし貧乏人はそこでは働けない。かといって彼が、「貧しい人を優先に雇用する」なんて言うのは非現実的だ。彼はただ、有能な人を雇用しようとする。だがその前に、社会が、貧乏人は有能な人になれないところに変じつつある。
そういう構造が、映画を見ることですんなり理解できた。

後半の、ある激情については、伏線となっている場面がいくつかあった。ボンボン弟くんが何気なく言った言葉とか、CEOパパと美熟ママがソファの寝物語で交わした言葉とか、車の中で何気なくしたママの仕草とか。
それらは、悪意からくるものではなかったのだが、それゆえに、お屋敷と半地下、それぞれに属する人の間に存在する壁の分厚さを強く感じさせられた。壁があるから、わからない。そして、わかってもらえない。わかってもらえなさが圧倒的であるところから生まれた、発作的な激情と憎しみは、世界のどの国の人が見ても、しみじみ、わかるだろう。そして、わからないだろう。「貧困をテーマ」と書く人は、わからない側の人ではないかな。

CEOパパと美熟ママのソファシーンは、初めは息子のことを話したりしてるんだけど、だんだんムラムラしてきて、お互い性器を愛撫し合い、即席夫婦生活シーンになったのは、すごく良かった。エロチックだからではなぐ、わかるなあこの感じ、と思った。「万引き家族」で、素麺を食べてからの濡れ場にも似ていた。あっちは「半地下」側の濡れ場だが、でも、同じだよな、ムラムラするのはよ、な、シャチョさん、って思った。あそこはホントにイイ場面だと思う。

イイ場面、たくさんあった。
妹薬のパク・ソダムが、目が一重で、整形まったくしてない感じなんだが、実にかわいかった。大雨の場面、濡れたタバコを出して、一服吹かす場面、良かったなあ。
ラストの、歩み寄る二人と、その二人に近づいていく一人を撮るロングショットがあって、場面がすっと戻って、エンディングに至るところ、美しかった。この終わり方はビューティフルだった。

付け足しだが、脚本がものすごく良く出来ていた。舞台脚本に書き換えてブロードウェイで上演すれば、ロングランいけるんじゃないかと思った。

一番感銘を受けたのは、これ、日本でも撮れるはずだよなあと思えたことだった。しかし、韓国でこの映画を1000万人が見たということが羨ましかった。「万引き家族」を見た日本人は2000万人もいないんじゃないか。

9時半帰宅。ネットで、「パラサイト」関連の記事を見ながらハイボールを飲む。11時半就寝。