夏をつかまえる

6時起き。チェックアウトして、成田の第三ターミナルへ歩く。10分ほどで着いた。
peachのカウンターでチケットを発行し、荷物検査を済ませる。コーヒーを飲みたかったが、自販機にはブラックがなかったので買わず。
7時40分、石垣行きの便に乗る。列島の上を雨雲がまんべんなく覆っているさまがよくわかった。

『カラマーゾフの兄弟』上巻読む。
アリョーシャとリーズの初々しい恋の場面と、それを立ち聞きしていたホフラコワ婦人のたしなめ。アリョーシャだったらいいんじゃないの奥さん?
「ギターを持つスメルジャコフ」という、かっこいいタイトルの章あり。スメルジャコフが女中に恋歌なんぞ歌っているの見かけたアリョーシャは、こっそり覗いていたのだが、くしゃみをしてしまい、悪びれずに出ていき、ドミートリーの居場所を聞く。
アリョーシャはスメルジャコフの言い回しからヒントを得て、兄二人が会っているはずの居酒屋へ行く。そこにはイワンしかいなかった。イワンはアリョーシャに、神について自分が考えていることを話す。

奄美大島あたりで雲が晴れた。11時過ぎ石垣島到着。外に出ると夏があった。猛暑ではなくごく当たり前の暑さだった。夏慣れしているような夏だった。

車を借りて北上し、『新垣食堂』へ昼飯を食べに行く。店の駐車場が埋まっていたので結構離れたところに車を止め、歩いて店に向かおうとしたら急にスコールが降ってきた。5分ほどでおさまったので、車を下りて店に向かった。並ぶ人の数が増えていた。
10分ほど待つと店内に通された。牛そばを頼む。牛肉と野菜を煮込んだ汁で食べる素朴な麺だった。店のメニューにカレーがあったが、牛そばと中身は同じだろうと思った。

車に戻り、北上して平久保崎灯台へ。小さな展望台があり、島の最北端から海を見渡せた。観光客は一人もいなかった。
かごにパイナップルが積まれ、ひとつ二百円という文字が書かれていた。

少し南に戻り、石垣島サンセットビーチへ行ってみた。ここでも道沿いに車を止めるスペースがなく、ビーチ入り口から離れた場所に車を止めることになってしまった。
歩いてビーチに向かう。入り口にマリングッズをレンタルする店があり、若い兄ちゃんが番をしていた。お金を払えばそこに車を駐車できたようだ。「こんにちは」と声をかけられたので、山びこスタイルで返事をし、浜に下りた。

ビーチには親子連れひと組しかいなかった。子供がはしゃぐ声が聞こえた。波はまったくなかった。

車に戻る途中で道を間違え、かなり汗をかいた。求めていた夏の感じだなあと思った。これを味わいに来たのだ。
時刻は3時になろうとしていた。喉を潤そうと思い、ナビでそれらしき店を探し、向かった。

走っている途中で雨が降ってきた。結構激しく、道のはしに大きな水たまりができた。走るとタイヤが派手に水を飛ばすのがわかった。

結局、目指した店に車を止められそうなところがなかったので、再び県道に戻って道を南下した。有名な川平湾の標識があったが、そこではどうせ泳げないし、今日は泳ぐつもりはなかったのでスルーした。

5時前に石垣港に着いた。けっこう時間がかかったなと思った。

離島ターミナルのパーキングに車を止め、スマホで夕食を食べる店を検索しようとすると、電波が通じなくなっていた。そういえば平久保崎灯台からずっと通じていなかった。
とりあえずWi-Fiが確実に通じるファミリーマートへ行くと、イートインが閉鎖されていた。仕方なく、店の外で電波を拾って検索した。ついでにコーヒーを買った。

船の発着所でコーヒーを飲んでから、石垣島の観光用Wi-Fiに接続し、夕食を食べられる店を調べた。色々あったが、結局歩いて探すのが一番と判断し、市街地を散策した。

ユーグレナモール周辺を小一時間ほど歩いてから、『がんじゅうおばあの台所 ゆらてぃく』に入った。客は一人もいなかった。石垣牛ハンバーグの定食を頼むと、すぐに外から雨音が聞こえた。
定食には八重山そばがついていた。昼に食べた牛そばと同じ感じのスープで、素朴な味だった。

7時半に宿へ。宿は市街地から離れた県道沿いにあり、注意しなければ見落とすところだった。
入ると犬が出迎えてくれた。人懐っこい犬で、延々と太もものにおいを嗅がれた。

部屋に戻りシャワーを浴び、買ってきたビールを飲んだ。いい気分だった。あと少しで読み終わりそうだったので、『カラマーゾフの兄弟』の第1巻を読んだ。しかし、わずか数ページを残して、読み終えることはできなかった。

1時過ぎ就寝。