着物を売った顛末

7時に起きるつもりだったが、5時にスマホのアラームが鳴ってしまいそれで起きた。眠かった。PCでラジコにアクセスし、先週聞きそびれた火曜たまむすびの町山さんのコーナーを聞いた。

二度寝し7時に起きた。朝飯に、フルーツグラノーラとミルク。

水耕栽培の水足しをする。茎の先端をチェックしていたら、青虫が尺をとっていたので、申し訳ないがやっつけた。他にもいるか探したがみつけられなかった。

7時50分に家を出る。日曜にユニクロで買ったスラックスはジャージと同じ履き心地で、自転車を漕ぐ時にサラサラしていて大変気持ちがいい。自転車に乗らなくても、夏の仕事着にはいいと思う。

8時40分過ぎ現場着。

午前中、既存ツールのテストをする。すべての処理と結果が旧ツールの結果と一致したのでほっとする。信玄よ、よくぞこの信長を三年も謀ったな、という気分だった。

昼、『動坂食堂』で天丼。店は下町の食堂という風情で、中は小ぎれいだった。やや高いと思った。

午後、旧ツールの旧コート掃討戦を遂行していると、リモートさんがきて、データ重複の条件についてきいてきた。想定外の重複があったらしかった。解決するため従来のSQLを修正した。サブクエリをネストしているためややこしく、途中で眠くなってしまった。眠いと効率が一段と悪くなる。最近、午後に眠くなることが多い。眠気覚ましにヒスチジンを飲んでも効かない。

夕方、なんとかSQLを仕上げる。

『英語独習法』読了。英語スキームの存在と、学習時にそれを意識することの重要さが書かれた本だった。確かに、英文を理解する時などに、和訳が邪魔になることがある。

夜、実家へ。夕食に冷やし中華。

昨日妹からメールがきて、母が着物を売ったことを知った。母に聞くと、業者から電話があり、着物を引き取ってくれると言われたので頼んだら、10万円で売れたのだという。

その業者の素性が知りたかったので、領収証はないかと聞く。母は明細書をもらったと言って探し始めた。が、見つからなかった。
「家計簿にはさもうとしたの。でもそこは医療関係の領収書ばかり挟んでいるから、別のところにしようと思ってテーブルに置いたの。その後、どこにしまったんだろう?」

話を聞くと、電話をかけてきたのは訛りのある女の子で、引き取りに来たのは中年の男だったらしい。男は家に上がってきて、母が出した着物の写真を撮り、貴金属のアクセサリーはないか聞いてきたという。メッキのならあるがそれでいいかと母が聞くと男はそれでいいと答え、着物と一緒にイミテーションのブローチ類をまとめて10万で買い取ると言ったのだそうだ。

業者から電話が来る前に、母は友人と電話で話していた。その時、自分が持っている着物はいくらで売れるのか聞いたのだという。その友人は仕事の関係で着物をよく着るらしく、要らなくなったものは古着屋にまとめて売っているそうで、一着500円くらいだと答えた。母は、半世紀以上前に買ってとっておいた着物がそんな値段でしか売れないのかとショックを受けた。そこへたまたま業者から電話がかかってきた。試しに、と思って査定してもらうと、10万円と言われた。500円が10万になったら、じゃあ売りますとなるだろう。

売った着物のことを聞くと、独身時代お茶を習った時に作ったものから、結婚後おれの幼稚園入園式用に作ったものまでいくつかあった。そのうち独身時代に作ったものは、宇野千代がデザインしたものらしく、伊勢丹で買ったそうだ。ドキッとした。宇野千代がデザインした着物はネットで検索してもでてこない。その実物なんて、売る売らない以前に、価値のわかる人に見てもらった方がいいのではないか。

ますます、業者の名前を突き止めたい気持ちが募ったので、明細書を探すためゴミ箱まであさった。しかし見つからなかった。そもそも実家には書類を置いておくスペースなど限られている。全力で探して見つからないということは、家にはないと言うことだ。また、今朝はゴミ捨ての日ではないため、捨てたとしてもまだ家の中にあるはずだ。

業者の男がこっそり持ち帰ったんではないかと思った。クーリングオフに必要と言いながら、クーリングオフなどされたくないのではないか。10万を渡したということはそれに値する儲けが今回の取引にあったわけだ。とっとと帰って「ちょろいもんだぜ」とか言いながらストロングゼロで祝杯をあげたいはずである。

母は、昨日妹に怒られ、今日おれに色々言われたことで、混乱していた。良かれと思って何かをしたら、みんなにやいやい言われる状況になってしまっている。気の毒であるし、精神の具合にもよくない。とはいえ、チンピラ業者に着物を売ったことは、良く知らないおれでも勿体ないなあと思ってしまう。

10時、母が寝てから、何か良い方法はないか考えた。業者の名前を母は覚えていなかった。情報は、川崎から来たということしかない。向こうが名乗るとすれば、電話があった時と、業者の男が家のドアフォンを押して名乗る時だけのはずだ。覚えていないのは無理もない。

妹は、業者が家に上がってきたことで、生活レベルやその他の情報を知ったことを危惧していた。たしかに、その業者がもしインターネットで検索しても出てこない会社で、振り込み詐欺を得意とする連中で構成されていたら危ない。

それを調べるため、せめて会社名だけでも知りたかった。

ふと、最初にかけてきた電話番号を着信履歴から調べられないかと思った。もし事件などがあったら、警察はNTTにそういう情報を求めるだろう。

調べると、136番を回せば直近にかかってきた電話番号を知ることができるらしかった。ままよ、と思い、居間へ行き、136をダイヤルしてみた。調査に30円かかるという説明が流れたあと、承諾すると、昨日の午前11時40分頃にかかってきた電話番号がアナウンスされた。
番号をメモして自室に戻り、インターネットでその番号を検索してみた。すると同じ番号から着信があったという人の書き込みが見つかった。書き込み内容は、古い着物や貴金属があれば買い取るという業者についてのものだった。その業者の名前も載っていた。検索すると川崎にあるリサイクル業者だった。ビンゴ。

その会社の情報を調べた。評判がいい会社というわけではなかったが、ネットに公式サイトがある会社ではあったので、少しだけホッとした。
あとは、売った着物をクーリングオフで取り戻せるか、である。正直、明細がないと難しいのではないかと思うが。

1時就寝。