船で本ばかり読んでいた

朝、5時前に起きた。揺れは明らかに小さくなっていた。

6デッキに上がり、展望デッキに出てみた。予想はしていたが、空は曇っており、朝日を見ることは到底できなさそうだった。

階段のところに、クルーズで一緒になった夫婦の旦那さんがいた。
「朝日、見られるかと思ったんだけどね」と、旦那さんは言った。
挨拶をして、船室に戻った。

買っておいたカップ焼きそばを朝飯に食べ、しばらく、3デッキのサロン南島で読書をした。

『われら闇より天を見る』読む。一昨日、母島の帰りに少し読んだ。昨日も船の中で読もうと思っていたが、揺れがひどかったので読めなかった。

過去、ある事件を起こして服役した友人が、刑務所でさらに伸びた刑期を勤め上げ、町に戻ってくる。町は、彼が服役していた30年の間に、ずいぶん変わっていた。

なぜか、すらすらと読めない本だった。内容ではなく、翻訳の文体が原因かもしれない。

しかし、天気は相変わらず曇りのままであったし、東京港の天気は雨の予報だったので、景色を見たりすることは諦め、到着するまで読書に徹することに決めた。

読書を続ける。

刑務所に入っていたヴィンセントは、恋人の妹を誤って車で跳ねてしまった。妹は死に、彼は服役する。15歳の彼が収監されたのは成人の矯正施設だった。刑期は10年。しかし、そこで喧嘩沙汰を起こし、刑期は30年に延びてしまった。

刑期を勤め上げたヴィンセントを迎えたのは、親友のウォーカー。町の警察署長だが、ごく少人数の警察署で、殺人事件などは起こった試しはない。

ヴィンセントの恋人だったスターは今も町に暮らしているが、父親が誰なのかわからない子供が二人いる。スターの精神は不安定だ。娘のダッチェスは、自称『無法者』で、誰からも舐められないように刺々しさむき出しで生きているが、弟のロビンの面倒は欠かさず、彼にだけは優しくしている。

この、ダッチェスが主人公だ。

正午になると船は伊豆大島の横を通り過ぎ、東京湾内に入ろうとしていた。昼飯に、自販機でカップヌードルのカレーとクリームパンを買って食べた。

展望ラウンジで読書を続けたが、先日、行きの船で、めちゃくちゃうるさい声で笑っていた客が来て、また特徴的な声で『ぎゃははは!』と笑い始めたので、船室に移動した。

2時を過ぎてから6デッキの外に出てみたが、空は曇っており、神奈川県側の岸が見えなかった。船が立てる白波に映る水の色は茶色だった。その色を見て、東京に戻ってきたなあという気になった。

3時ちょうどに竹芝到着。雨が降っていたが、それほど強くはなかった。

浜松町まで歩き、JRで新橋、地下鉄に乗り換える。

4時帰宅。すぐに洗濯をし、シャワーを浴びた。

6時頃まで荷物の片付けをしてから、ドラッグストアへ買い物に行き、ビールを買ってきた。数日間、父島のスーパーで買い物をしてきたので、ドラッグストアが超巨大商店みたいに感じられた。

トマトは、茎を固定していたスポンジが外れかけ、茎が横倒しになっていたが、根は容器に漬かっていたので枯れてはいなかった。スポンジを固定しなおす。第一果のつぼみが膨らみ始めていた。たぶん連休中に開花し、結実開始は連休後になるのではないか。

夜、船でできなかったネット系の更新や諸連絡をし、Youtubeで小笠原関係の動画を見て、旅の余韻に浸った。

12時就寝。