7時起き。朝飯にフルーツグラノーラとミルク。
8時20分に家を出る。現場へ。出かける時に時計を忘れたことに気づいた。取りに戻ろうかと思ったが、スマホで済ませた。
地下鉄が遅れ、9時25分過ぎに現場着。
午前中、リモート用PCのセッティングをする。マニュアルを見つつ、ログイン出来るところまでこぎつけた。上長に残りの設定をお願いし、やれることはやった。
昼、オフィス近くのとんこつラーメンの店で、黒とんこつラーメンを食べた。味が薄かった。
午後、ODBC接続関係の調査と、どさん子ツールの調査をして、本日終了。
ダッシュでLUUPのポートへ。電動チャリを借り、先週テストしたルートで武道館に向かう。今日は武道館近くのポートがあいていたので、そこで返却した。6時20分前だった。
小走りで武道館へ。入口の門を親子連れが歩いていた。母親が小学二年生くらいの娘に、「あんたも大きくなって可愛くなって武道館一杯にしなよ」と言っていたが、娘がどこ吹く風だったのが可笑しかった。
入口のグッズコーナーには人だかりができていた。間もなく開演なので早く入場するようにと言う声があちこちから聞こえた。
東エリア3階席最上段という、ステージからもっとも遠い席に座る。チケットがとれただけでも儲けものだろう。アリーナ以上で後席だったときのライブ用オペラグラスを首から提げた。
ステージは360度すべての方向に向いたスタイルだった。武道館の全席を使用しており、ほぼ満席だった。昨年「オトナブルー」がバズったといっても、それだけで武道館を埋めることはない。満席になった理由は、きっかけが「オトナブルー」であれなんであれ、ネットで曲のMVや踊っている映像などを見て、生で見たいと思った人がたくさんいたからだろう。
自分の場合、紅白の出場歌手が決まる少し前に、ふと気になって検索したのがきっかけたった。実はその時、別のグループと勘違いしていた。そのグループは、実際にグループなのかはわからないが、昨年何度かネットで見かけて、個人的に好きではなく、何度も映像が流れるのがイヤだなあと思っていた。で、こんなもんが流行ったのかと思い、新しい学校のリーダーズを検索したら、全然違っていたのだ。
色々検索していくうちに、これはいわゆるアイドルじゃないな、とまず思い、何曲かMVを見てライブ映像を見てとしていくうちに、曲の良さ、ダンス、ボーカル、キャラクターの順にハマっていった。で、直近のライブを調べると、今日の武道館があったというわけである。
6時半を少し過ぎ、暗転したとたん大歓声が起きた。オープニング映像が流れる。スクリーンは東西南北すべての方向に設置されており。最後列の席からもよく見えた。
最初の曲は「TOKYO CALLING」だった。ステージの四隅から炎が噴き出し、会場がどよめいた。
序盤からSUZUKAの声は突き抜けており、歌の合間に観客を煽る態度には、まるで我々だけでなく、武道館全体とその外側の世界全体に「なめんなよ」とドスを効かせるような凄みがあった。
緊張しているんだなあ、とは、まったく思わなかった。もちろん緊張しているんだろうが、それは、初の武道館にドキドキするみたいな初々しいものではなく、どうやって世界を圧倒してやろうかという、『舌なめずり』に属する緊張だったろう。
ダンスはキレッキレで、SUZUKAだけでなく全員しっかり声が出ていた。序盤、息もつかせぬテンポで進んでいき、曲が変わるたびに観客の熱狂度が上がり、歓声に悲鳴のような響きが混じるようになっていった。
最初のMCでお決まりの『はみ出していく』挨拶と、SUZUKAの煽りがあり、わりとすぐに次の曲にいった。休む間も惜しいという感じだった。
「透明ボーイ」の振付は、360度方向の客席に対してステージングをシンメトリーにしたり方向を変えたりと、細かく計算し尽くしているように見えた。それでいて、ワイワイ楽しく考えた演出にも見え、曲の良さと相まって、胸を締め付けられるように切なくなり、思わず涙ぐんでしまった。この時点で、今日のライブは人生でそう何度も見られるものではないと確信した。
「恋ゲバ」など好きな曲が続き、怒濤のセットリストのあと、「知りたい」で初めてスローな曲となった。「マナとカナなら」の歌詞で、客席のあちこちから笑い声が起きていた。
2回目のMCとなり、東西南北全方向への『はみ出していく』挨拶の後、RINの叩くビートに合わせてSUZUKAが色々な言葉を発し、観客にリピートさせた。言葉が「だっちゅーの」になったりと、変な風に変わっていったが、SUZUKAのノリは、ビートに対してほんの少し溜めてグルーヴ感を出すセンスによって作られていた。この『溜め』は、そういえば「オトナブルー」の所々にもあった。「ほしいんで」と「しょ」の間を溜めるセンスがそうだ。普通ならわりとすぐに「しょ」にいくのに、溜めて、ベタな溜めになる寸前に「しょ」とつなげている。この、寸前、というところが独自の感覚で、真似ができない。ちょっとでも溜めすぎると昭和歌謡になり、下手すると演歌になる。だからあの曲は、歌謡曲っぽいのに人を踊らせる魅力があり、海外のステージでも盛り上がっていたのだと思う。
2回目のMC後「Freaks」からのSUZIKAは、より突き抜けた感があり、声一段と伸びるようになっていた。
「Pineapple Kryptonite」の終わりで四人が正座してお辞儀したあと、そのままステージの下に沈んで消えていったのが可笑しかった。その後、警備員の格好で「Intergalactic」をやった後も、同じように沈んでいった。
「Intergalactic」をMVで見て思ったのは、日本人アーチストが海外で通用するか否かは、言葉の問題ではなく、踊らせるか踊らせないかではないか、だった。この、踊らせる、の肝になっているのも、SUZUKAの『溜め』が示すグルーヴ感ではないか。画期的なのは、そこに日本人的な『間』が入っていることだ。それによって、ヒップホップを日本人のリズムで解釈し、しかもカッコいいという、希有なリズムを生んでいる。だから「NAINAINAI」で「ばあ」などを入れるのも、それまでのノリとまったく違和感なくつながっている。
などなど、小賢しいことを考えたのは、見終わって少し経ってからである。後半戦はほとんど、見入っている状態だった。特に、「最終人類」以降のSUAUKAは、ラストスパートをかけるかのごとく、ところどころでシャウトをしていた。そのシャウトは、技術論の体系に沿ったデスボイスというものではなく、今のシャウトは今日のこのステージが最高だからしているんだ、ということを、観客みんながわかるようなものになっていた。
最後の曲は「青春を切り裂く波動」だった。興奮の極で終わった直後、すぐにアンコールを求める拍手が鳴り響いた。拍手の大きさがすごかった。
アンコールの一曲目が「オトナブルー」だった。あっ、そういえばあったな、とさえ思った。それまでのステージがすごすぎて、ある意味で、この曲を観客の『懐メロ』にしていた。
その後、特報や、青春についての思いをSUZUKAが吐露し、リズムに乗せてのコールアンドレスポンスがあり、ついて来れない観客への叱咤があり、感極まったあとのメンバーへの感謝があり、「迷えば尊し」でライブは終わった。
呆然としたまま武道館を出た。九段下方面は大混雑していたので、市ヶ谷方面に歩き、三番町からLUUPに乗った。どこかの地下鉄駅近くで降りようと思っていたが、結局、家の近くまで10キロ以上をそのままLUUPで走ってしまった。
10時前帰宅。すぐに風呂に入り、凍えた手足を温めた。
ライブ中の特報は、ファンクラブ設立と、初夏からのツアー発表だった。ファンクラブに入ればライブの先行予約ができるらしかった。会場がZepp DiverCity だったので、これは一般購入は無理かもしれないと思い、ファンクラブに入会し、チケット抽選予約にエントリーした。
たぶん、これから数年は、そして特に今年は、新しい学校のリーダーズの行けるライブがあったら、万難を排して行くべきだと思った。今日のライブ名は『青春襲来』だったが、まさに、青春が我々に襲いかかり、古びた壁をぶっ壊し、ぬるくなった肉に冷水を浴びせ、ふやけた精神に電撃をかましてきた。生で見られて本当に良かった。過去、色々なライブを見てきたが、たぶん今日のは、人生で見たライブのベストワンだ。