7時起き。朝飯、朝風呂、身支度を、機械のように黙ってやった。暮らしの動作を機械みたいに黙ってやれる時は、実は調子がいい。
そういえば、フォレスト・ガンプってそういう人間だったな。走れと言われたら走った。走りたいと思ったら走った。迷走ではなく瞑想だ。惹きつけられ、一緒に走る人がいてもおかしくない。一番笑ったのは、ジョンソン大統領に尻を見せる前の、フォレストの静止状態。あの表情はいい。ジェニーが死んで、墓の前で泣く場面は、泣かないでいてくれた方が泣けたなあ。でも泣いてくれなきゃ、商業作品にならないのだろうなあ。
昼、橋本治『橋』を読む。やはりこれは、前に読んだことがある作品だった。たぶん十年近く前だ。
夕方、業務スーパーで買い物。冷凍餃子、サツマイモ、ヨーグルト買う。初めから買うもののイメージをしっかり持てば、業務スーパーの買い物が長引くことはないとわかった。って、それは業務スーパーに限ったことじゃないんだが。
スーパーで買い物をしていて、何を買いたいのかわからなくなってしまうことがよくある。何を買いにきたのか忘れたのではない。
「肉と野菜系のおかずにするか…大根150円か、ブリ大根にするか?…ブリブリ…でもブリもなあ…お、ローストビーフ用の肉が安い…野菜買ってなかった…野菜はいいか…麺類だ!麺類だ!…いや、麺類もなあ…パンか、サンドイッチつくる?…めんどくせえ、デリカにするか…コロッケ安いな、コロッケパンにする?…やっぱ野菜食べないと…鰯のつみれ汁作ってないな、さっき安かったぞ…鰯、さばくのめんどくせえ…めざし焼く?…お、フライパンが安い、買っとこうか…いや、いらねえだろまだ…アイスだ。コーン買って、トリプルにして食べちゃう?…パイナップル安いな…さばの水煮…めんつゆ…やっぱ麺類? やべえ、店入って1時間うろうろしてる、何か買わなきゃ…って、これ、別に、買わなくていい感じ?」
たぶん、こういう時のオレほど、一緒にいてイライラさせられる人はいないと思うな。
そして、業務スーパーほど、オレをそういう状態にさせるスーパーはないと思う。
なのに今日は違った。
「サツマイモは先日焼き芋作りに失敗したのと同じサイズを買おう。これとこれだな。業務スーパーといえば冷凍食品。今日は水餃子にしよう。豚餃子はサイズが大きいな。エビ餃子しかない。カロリーゼロの甘味料を試したいから、ヨーグルトも買おう。メグミルク発見! よし、レジだ!」
去年のオレは1時間うろうろしていたのに、今日は5分。
12倍、速くなったと考えていいだろうか?
これって、聖闘士星矢的には、なにクロスだろうか?
6時40分帰宅。エビ餃子を茹でて食べた。
焼き芋だが、前回の失敗は、アルミホイルに包んだため、温度が低かったのだと仮定し、芋を半分に割ってオーブントースターで90分熱してみた。しかし、期待したほど柔らかくならなかったので、160度オーブンで60分追い熱した。
結果、カッスカスになりやんの。
ヒステリー起こしそうになったが、シャーッ!とか言いながらその芋を1分で食らった。
難しい。
録画していた「いだてん」見た。中村勘九郎の肉体ばかり凝視した。美しいニッポン人の肉体だ。時々こんな言葉を発する。
「たまんねえ体してんなあ、おい!」
「見ろ見ろ、肩から鎖骨のライン!」
グラドルのイメージビデオを4Kテレビでスロー再生する無職四十代ひきこもりになったような気分だが、真面目な話、中村勘九郎の肉体は素晴らしい。
何千年も前から受け継がれてきた、美しいニッポン人の肉体、だと思う。
ああいう体が、関ヶ原を駆け回り、日露戦争を戦い、太平洋に散って行った。
「いだてん」は、ああいう体が、海を渡って、別の体と走ることを競い合うようになる顛末を描いている。
そう思って見ている。
視聴率、苦戦しているらしい。そうかもしれない。でも、勘九郎の肉体を鑑賞するドラマと思うと、ドラマ部分がまったく気にならない。いい楽しみ方ではないかもしれないが、楽しい。