左側の出番

小雨が降り、肌寒い日だった。
昼、「丸信」が休みだったので、「菊地」へ行く。
この店は丸信で修行をした人がオープンした。
荻窪に引っ越した当初はよく行ったが、最近はご無沙汰だった。
一度、お金を払い忘れそうになり恥をかいたことがあり、行きづらかった。

「丸信」と明らかに異なるのはメンマだ。
色合いが明るい。
丸信のメンマは、何日も汁に漬け込んだように黒ずんでいる。

隣の席に、下町言葉で話す年輩のおじさんがいた。
常連さんだろう。
この手のラーメンは年配の方に人気があるのだと思う。

昔、バイク便の仕事をやっていた時、月島のラーメン屋にふらりと入ったら、常連のおっさんが見事な下町言葉で喋っていて、聞き惚れたことがあった。
下町言葉を話す人を見かける度に思い出す。
元気だろうか。

帰宅後、台本書きをするも、頭が働かなかった。
残り15ページで伏線を回収しなければならない。
ノートにこれまでの展開をメモしたり、書くべき事柄を箇条書きにしたり、脳みその左側の出番だ。