「ジャガーの眼」観劇

7時起き。昨夜の水炊きをそのまま味噌汁にして食べた。

午前中、師宅で稽古。筋肉のほぐし方などアドバイス受ける。

図書館で『双調平家物語』の14巻から16巻までを借り、「好味屋」と「八千代」でパンを買って帰宅。
暑かった。

枯れてしまったトマトの株を処分し、枯れそうになっている株をペットボトルに移した。根が随分伸びていて、どれもきれいな色をしていたので、まだ望みがありそうだった。
昨日買ったトマトを水耕容器に生けた。これが枯れ始めたら、水が悪いということになる。

1時半に家を出た。
雑司が谷へ。鬼子母神にて、唐組紅テントの整理券をもらった。

開演まで4時間近くあったので、明治通りのサンマルクカフェに入り、ブログ更新をし、『双調平家物語』を読んだ。

6時、「なりたけ」という店で背脂系ラーメンを食べる。塩辛かった。昔来たことがあるような気がする。2001年ごろか? e野くんの南京小僧に出させてもらった時かもしれない。

鬼子母神に戻る途中、いい感じの古書店を見つけた。5分ほど中を覗いた。映画関連の書籍が多かった。

6時20分に鬼子母神へ。お客さんが集まっていた。唐組の若手俳優が大きな声で案内をしていた。座布団を劇団グッズとして売っていた。100円ショップでクッションを買う手もあるなと思った。

演目は「ジャガーの眼」。上演時間は2時間20分。2度の休憩あり。舞台転換をその時にするのだ。実質的な上演時間は2時間くらいだろう。

整理券を早めにもらったので、わりと前の方に座れた。胡座をかく余裕があった。昔はもっとギュウギュウ詰めだったと思う。俺の知らないさらに昔はもっとギュウギュウ詰めだったろう。
ドキドキしながら開演を待った。

音楽が流れ、芝居はおもむろに始まった。拍手が起こった。古参ファンのものか。掛け声は少なかった。時代が代わり客層も変わったのか。

でかいサンダルとともに大勢の役者たちが登場した。
来た来た!
…と、思ったが、あれ? そんなに来ない。役者が客席にダイブしてきそうな迫力を感じない。なぜだろう。

音が小さかった。近隣に配慮しているボリュームだった。そのへんはやはり、唐さん自身が演出をされていないからだろうか?

本多劇場こけら落とし公演「秘密の花園」で、唐さんは演出ではなかったのだけど、小屋入りの稽古を見て、もっと水をぶっかけろと発破をかけた。そのため、下のフロアのパン屋の天井から漏水したそうである。パン屋にとっちゃ、たまったもんじゃないが、すごい舞台になった。

ほかに、新宿中央公園に強引にテントを建てて機動隊に包囲されたり、劇団天井桟敷と乱闘事件を起こしたりと、武勇伝はたくさんある。が、唐さんはとくに、闘争好きというわけではないのではないか? 表現の前に立ちふさがったのが、たまたま法律だったり権力だったりしただけではないか?
あ、天井桟敷の事件はそうじゃないか。

1幕目は、そんなわけで、やや期待はずれといった感じで終了した。しかし藤井由紀さんの麗人ぶりにドキドキした。

2幕目。藤井由紀さまが、くるみ役として登場。ずっと見る。そのうち、しんいちとの長い掛け合い場面になり、いつの間にか1幕で感じた物足りなさがどこかへすっ飛んでいた。涙が出そうになった。なにがなんだかわからないのに。
大鶴美仁音さんの少年がこれまためちゃくちゃ良かった。

2幕目が終わってからの休憩で、前に座っていた女性が連れの友達に言っていた。
「ううう、わかんないんだけど、涙出た。え? 感動? うーん、なんでだろう」
左に座っていた男女客の男の方はこう喋っていた。
「ストーリーはさあ、わかりやすい方なんだよねー」
色々な反応がある。
俺は前の席の女性と同じく、ううう、あああ、と心の中でうなって、呆然としていた。

3幕目。くるみとしんいちの場面。しんいち役の俳優に眼が行く。若い。その声は、命そのものを燃やして発しているようで、耳に突き刺さってきた。

ラスト、舞台奥が開く。当然開く。絶対開く。開かねばならない。
街が現れ、登場人物たちが去っていく。
そして、自分の中にある何かまで、持って行かれそうになる。

見ることができて良かった。
先週、Sさんが花園でこれを見たという話を聞き、「あっ!」と思った。観劇フラグがピーンと立つのを感じた。
これ、絶対見ないといけないやつだ。それも今。
本日、見ることができ、やはり、見ないといけないやつだったと思った。
久しぶりに芝居を見て満たされた。
「わかる」≠「説明できる」に則ると、2幕が終わって「わかんないんだけど」と言いつつ泣いていた女性は、わかっていたのだと思う。でも、そのわかり方は、言葉で説明したくない。

そういえば思春期、色んなことに感動したものだったが、その気持ちを誰かに「つまりこれこれってこと?」と言われると「そうじゃねえよ!」と大反発したものだった。それでいて、自分で「これこれじゃなくて、こうこうだよ!」と言葉にすると、もっと違っていて、言ってる自分に落ち込んだものだった。

10時過ぎ帰宅。ハートランドビールとエビスビールを飲んだ。飲まいでか。