種がもやしになる時期

 稽古もいよいよ佳境に入ってきた。
 って、まだ今日で7回目だが。

 とはいえ、急げるうちに急いでおかないと追いつかれてしまう。
 時間とか疲労とか色々なものに。

 夕方、遠くで雷の音が聞こえた。
 雨が降るかもしれないと思い、中野坂上の100円ショップで傘を買った。
 結果として必要ではなかった。

 稽古前のアップ風景

 20分ジョギング、腹筋100背筋80腕立て50。
 腹筋は復活したが、腕立てがまだまだ。

 直美の声がしっかり出るようになってきた。
 今回の役で、気持ちのいいはじけ方を体験すれば、それがきっかけになって芸域が広がるかもしれない。

 綾香もまず発声から攻めてきた。
 最初のひと言が<爆発声>になっており、そこがよろしい。
 それを受ける鶴マミは、稽古初期にまだ残っていた女の子っぽさが払拭されてきた。
 変化を見るのが稽古の楽しみになってくる。

 ノブ君は、肉体訓練や小道具探しなど、役のための外堀埋め立て作業に余念がない。

 しのちゃんは、陰の自主練を感じさせる役の作りっぷりで、今の段階で付け足すことはない。
 追加台本を渡した時、現在の役作りとどう化学反応するかに興味がある。

 健ちゃんは前回の役を寡黙にした感じ。
 前回は彼のキャリアではかなり衝撃的な役作りだったと思うが、今回は台詞が少ない分、存在感を生かさないといけない。
 表情、動作などで、衝撃的な変化がこれから必要になってくるだろう。

 初参加の豊田君だが、稽古そのものに興奮するという状態から脱し、今日は落ち着いて役を作っていた。
 滑舌に難があると本人は思っているようだし、確かにそういう面もあるのだけど、落ち着いて役を作ることが出来るだけで、滑舌問題も50%くらいは改善する。
 本当に滑舌を直すのは、そこからだと思う。

 須藤さんは、ずばずば言う女を演じるが、心が冷たいわけではなく、またそのことがわかるからこそ、ずばずば言われた人は彼女のことを恨まないという、そういう役。
 豊田君が過去に生きる役なら、須藤さんは現在を生きる役。
 その差が、説教臭くならないように、迂回迂回の工夫をするのが、演出家たる私。

 その私は、ちょっと出てきて、わっと騒いで去る役。

 役者の変化が著しいこの時期は、稽古をやっていて楽しい。
 (変わったな)
 と思ったら、なるべくそれを役者に伝え、意識してもらうようにしているが、チェックしきれないこともある。
 (あんたの売りは、今回の芝居ではこれだ)
 ということが言えるのは、もう少し先になるだろう。

 11時帰宅。
 魚肉ソーセージを買って帰り、それを肴に焼酎を飲んだ。
 へとへとだ。