中日ドラゴンズの変貌

 キャッシュカードを落とした。
 先週バイクに乗って、コンビニかどこかで落としたらしい。
 気づいたのもその帰り道だったので、翌日銀行に電話し、届けは出してあるので心配ない。
 だが、再発行手続きをしてから10日経たないと郵送されないらしく、それまで現金は拝めないという状態にある。
 さすがにそれはまずいので、ネット経由で別の口座に振り込みをした。
 振込料が400円と少しかかったが、致し方ない。

 昨日の夜から頭がガンガン痛む。
 朝起きてもそれは続いていて、昼前には割れそうなほどだった。
 熱や風邪の症状とは違う痛さだ。
 これが偏頭痛というやつだろうか?
 アスピリンを飲もうか迷ったが、昼を過ぎてから治まる気配があったので我慢する。

 空模様もあまり良くない。
 秋晴れは10月を待たねばならないか?

 プロ野球。
 今年は横浜を密かに応援していた。
 牛島監督は昨年チームをAクラス入りさせていたし、上位チームとやって負けた試合でも接戦が非常に多かったので、今年若い力が伸びればあわよくばと思っていたのだ。
 ところがふたを開けてみれば4月からほぼ最下位を定位置とするありさま。
 残念である。

 中日と阪神が優勝争いするという展開は予想できた。
 どちらも星野仙一という存在を抜きには語れないチームである。
 小学生の頃からずっと中日ファンで、星野監督時代の2回の優勝時は興奮して応援したものだ。
 山田監督、高木監督、山内監督、近藤監督は、星野監督ほど長く監督をやらなかったし、優勝したのも近藤監督だけだ。
 過去20年(1987年から2006年)のうち、星野さんが監督の座にいたのは11年(1987年から1991年、1996年から2001年)である。
 それだけ長い間、ミスタードラゴンズというべき存在だった。
 だから我々は、
 (星野を応援する)=(中日を応援する)
 という式に慣れきっていた。

 星野監督以前の中日はどんなチームだったか?
 正直言って、かなり雑なチームだったと思う。
 昭和49年の与那嶺監督時代はさすがに知らないし、覚えているのは中監督末期から近藤監督時代あたりからなのだけど、個性的な選手がそろっている割に、土壇場の戦いに弱かった印象がある。
 昭和57年の優勝は、引き分けが19試合もあることで、勝率でジャイアンツを上回ることができたのだが、実力的にはジャイアンツの方が上だと誰もが思っていたし、実際翌年は5位に沈むことになる。

 昭和59年は山内監督のもと、広島と激しい首位争いをしたが、直接対決では広島の抑え小林のパームボールに手も足も出ず2位に終わった。
 この時も選手は大変個性的で、ホームラン王の宇野、俊足の平野、巧打の田尾と谷沢、パワーヒッターのモッカと大島、強肩の中尾、ピッチャーでは速球の小松、カムバックを果たした鈴木孝政、守護神牛島と、粒ぞろいだった。
 戦力的には後に優勝した時よりも上だったと思う。

 だが、星野監督就任以前のドラゴンズは、大切な試合に滅法弱かった。
 それなのに、どうでもいい試合では毎回得点を記録したり、ジャイアンツ相手に連勝したりした。

 では星野監督時代の中日が、大切な試合に強かったかといえば、そうとは言えない。
 優勝した87年、99年以外は、惜しいところで負ける展開が多かった。
 特に1991年は、前半を首位で折り返しながら、後半広島に競り負けた。

 落合監督は2004年に就任し、今年3年目だ。
 2004年は優勝。
 2005年はタイガースと首位を争って2位。
 そして今年は、現在優勝マジック15である。
 強いドラゴンズを3年間も維持できた監督は、おそらく過去いなかったのではないか。
 首位争いをしたという意味では星野監督時代の98年から2000年にかけての3年間くらいしか思い浮かばない。

 そして、現在のドラゴンズは、大切な試合に強い。
 ここ一番というところで、選手がいい仕事をする。
 なんだか、強かったときの広島カープ、阪急ブレーブスのようだ。
 昔からのドラゴンズファンとしては、なんだか違うチームを見ているような気がしてならない。
 星野さんが11年かけて築いたドラゴンズのイメージを、落合監督は勝つことで易々とぶちこわしてしまったといえる。
 その、ドラゴンズと首位を争うのが、これまた星野直系の野球をするタイガース。
 面白くないわけはない。

 だが、昨日、そして今日と、ドラゴンズはタイガース打線を完全に封じ込めた。
 昨日はエース川上が完封。
 今日はベテラン山本がノーヒットノーラン。
 おいおい、ドラゴンズってこんなチームだったっけ?
 山本がここ一番でそんな投球する姿など、今まで見たことないぞ?

 しかし、ファンはタイガースを応援するだろう。
 したくなるだろう。
 落合野球は確かに強いが、淡々と勝ち進む不気味さがある。
 その不気味さの温度は、味方としてよりは敵としての方が感じ取りやすいものだ。
 メディアの扱いを見ても、ドラゴンズの勝利はあまり大きく取り扱っていないようだ。
 なんだか、ファンの規模も名古屋ローカルに縮小したかのようだ。

 だがあえて思うが、落合さんにはこのままドラゴンズの監督を続けて、常勝ドラゴンズ時代を築いてもらいたい。
 そして、他のチームがドラゴンズのユニホームを、<にっくき青色>と認識するようにしてもらいたい。
 12球団を見渡しても、あれほど涼しい顔をキープし続ける監督は他にいないし、マスコミへの無愛想さも相まってファン以外にあれほど憎たらしく思われる監督もいない。
 それこそ、オレ流の真骨頂であるし、選手時代からの反骨を知る野球ファンにとっては、たまらない愉悦ではないかと思うのだ。