暑さペースダウンで棄権

夜中の2時に一度起きた。トイレに行き二度寝した。その後、4時に起きた。昨日は9時前に寝たので、睡眠時間はもう十分だと思ったが、外はまだ寒そうだった。

マラソン会場までシャトルバスが出ている水沢駅には、一ノ関からJRで30分近くかかる。始発は5時半。その次が6時過ぎだった。しかし、ネットで路線案内を調べると、今日は6時20分過ぎに、奥州きらめきマラソン専用の臨時列車が走るらしかった。それに乗れば、間に合わないということは絶対にない。

6時22分に一ノ関ならば、ホテルを40分前に出れば十分間に合う。コンビニに寄りおにぎりなどを買って、ゆっくり食べながら駅に向かえばいい。

そう思い、目覚ましタイマーを5時20分にセットして横になったが、睡眠時間は十分足りていたので、寝られなかった。で、5時頃に起き、ゆっくり身支度をし、5時半頃にホテルをチェックアウトした。

コンビニでおにぎりを四つと、アクエリアスの900mlを買った。

駅に向かいながらおにぎりを三つ食べた。

一ノ関駅には6時5分頃に着いた。ランナーと思しき人々がホームに何人かいた。駅員が、ここから水沢へはSuicaが使えないので、紙の切符を買ってくれとアナウンスしたので、入場時にピッとやったスマートウォッチを駅員に示して入場取り消しをしてもらい、切符を買い直した。

6時22分の臨時列車に乗り水沢駅へ。降りると、会場へのシャトルバスへ案内する人が改札の外に立っていた。

バスに乗り、10分ほどで会場に着いた。

今回はレイトエントリーだったので、総合案内テントでゼッケンや計測チップの入った封筒をもらい、参加賞テントでゼッケンを見せてTシャツをもらい、あいたスペースでゼッケンとチップを取り付けた。

着替えを済ませた時に、総合案内か参加賞テントのどちらかで何気なく机に置いたアクエリアスを、そのまま置き忘れてしまったことに気がついた。すでに500ml以上飲んでいたから、水分補給という意味では気にしなかったが、こうした忘れ方をすることが最近増えたなあと、じじむさいため息を尽きながら、しみじみと思った。

ストレッチを済ませると、すでに時刻は8時を過ぎていた。スタートは8時半だったので、出走グループの集まるゾーンへ移動した。

気温は、体感的に20度を上回っていた。今日の最高気温は28度になると、会場の放送が伝えていた。

暑さ対策のため、帽子の他に、濡らした冷感タオルを首に巻いて走ることにした。以前、真夏に自転車で現場に向かう時、濡れたハンドタオルや手ぬぐいを首に巻くことで、汗を防いでいたものだが、それと同じだ。

8時半に予定通り号砲が鳴った。自分の位置は4時間タイムキーパーの少し前だった。とにかく完走できればいいと思っていたため、抜かれても別に良かったのだが、それでも、後ろから追い立てられる感覚は心地よいものではなかった。

道はそれほど混雑していなかったので、1キロを過ぎたあたりで普通のペースで走ることができていた。時計でペースを確認すると、大体、1キロ5分30秒くらいので、心拍数は152ほどだった。

その後、2キロ、3キロと進むごとに、ペースは5分20秒台前半へと上がっていった。速くも遅くもないペースだ。

4キロ地点を過ぎたあたりで、心拍数が158になっていることに気がついた。ペースは5分20秒を切るか切らないかといったところだった。

このあたりから暑熱による影響が出始めていたのだろう。

7キロあたりで、5分20秒台をキープするのが難しくなってきた。同時に、後ろにいた4時間台のペースメーカーが背後に迫ってくるのを感じた。ペースが落ちたにも関わらず、心拍数は158のままだった。

8キロでペースは一気に遅くなり、5分50秒を超えた。そのあたりでペースメーカーに追い抜かれた。

10キロ地点でとうとう5分台を維持できなくなった。ペースメーカーは遠ざかっていき、周りは自分を追い抜いていくランナーばかりになっていった。

(まさかこんなに早くバテるとは)

そう思いながらも、なんとか足を動かしていったが、ペースは落ち続け、13キロ地点でキロ7分台になってしまった。そのあたりで、完走は無理かもしれないと思い始めていた。

14キロ地点のエイドステーションにトイレがあった。行きたいわけではなかったが、小休止して心拍数を落とし、首に巻いたタオルをもう一度濡らしておこうと思った。

トイレに並んでいる時、別のランナーが笑顔で「暑いっすね」と声をかけてきた。頷き返したが、実はここに至るまで、暑さはそれほど感じていなかった。それにも関わらず、ペースが落ちてきたので、妙な感覚ではあったのだ。

ところが、エイドステーションの水で濡らすために、首に巻いたタオルを外した直後、体全体が急にむわっと暑くなった。

そこで思った。もしかすると、首に冷感タオルを巻いたことで発汗機能が正常に機能せず、冷房病みたいになっていたのではないか?

そういえば、風もなく陽光が降り注いでいたにも関わらず、流した汗の量はそれほどでもなかった。首を冷却することで、発汗を司る脳を騙すことはできていたのかもしれないが、体全体としてはオーバーヒート状態になり、こもった熱を処理しきれていなかったのかもしれない。

そこから先は、冷却タオルをせずに走った。しかし、しばらく走っても汗は出てこず、首を触ると、そこだけ冷えているような感じがした。

15キロから17キロ地点までは7分半を切っていたが、18キロで大きくペースが落ち、7分58秒となった。19キロではとうとう、キロ9分というペースになった。ほとんど早歩きに近かった。ゆっくり走ろうとして9分台というのではなく、普通に走ろうとして9分台になってしまうという状態だった。先々週、実家から鎌ケ谷まで走った時と同じだ。あの時も15キロ地点あたりで暑さにやられてしまい、木陰で休み休みしてやっと走れたのだ。

21キロ地点手前に関門があった。そこで棄権する旨を宣告し、チップを返却した。係の人が現在の気温をトランシーバーで報告していた。30度だった。

ランナーが後から後から走り過ぎて行った。道ばたに座り込んで眺めていると、とても遅いペースに見えたが、たぶん自分は彼らよりも遅いペースになっていたはずだ。

15分ほどでバスが来た。それに乗り、スタート地点に送ってもらった。11時半過ぎに、スタート地点近くのコースを通った。3時間台前半で走るランナーがゴール直前を走っていた。

荷物を引き取り、更衣室で着替え、ゴールの様子を見に行った。3時間40分台のランナーがゴールしていた。

シャトルバスに乗り、水沢駅に移動した。今回も完走できなかったことに挫折感はあったが、悔しさはそれほど感じなかった。それよりも、根本的な問題を何とかしないといけないと思った。暑さへの耐性と、体重減だ。

暑さ対策は、要するに、正しく汗が出る体にしないといけないということだろう。以前から気になっていたのだが、真夏に走ってもそれほど汗が出ないのに、ちょっと辛かったり熱かったりする食べ物を食べると、ものすごく汗が出る。発汗機能が、体温調節と連動していないような気がする。

体重減については、もっと落とさないといけない。3月から6キロ落としたが、それは、増えていたのを戻しただけで、軽くなったわけではない。

水沢駅に昼飯を食べるところがあるかネットで調べたが、見つけられなかったので、1時過ぎの電車で一ノ関へ。

駅の西口にある中華料理店が昼の2時半まで営業しているようだったので行ってみたが、シャッターほしまっていた。しかたなく、駅前にある和食店に入り、ロースカツ丼を頼んだ。出てきたのはソースカツ丼だった。まあまあだった。

帰りの新幹線は夕方6時半過ぎ発だった。それまで、図書館で時間をつぶすことにした。

図書館で『原節子の真実』読了。著者が女性ゆえか、原節子は男社会に翻弄された人だという印象を持った。巷間伝えられる小津安二郎とのロマンスも、その一つかもしれない。確かに『おっさんが考えそうなこと』臭がプンプンする。

監督の「させたい」と、女優の「なりたい」は、なかなか一致するものではないと思うが、原節子の場合、「なりたい」の部分にスポットが当てられることがほとんどなかった。それなのに引退したら勝手に神話化され、小津監督の死に殉じた引退であるような説を流布されたのだとしたら、そんな世間、彼女は好きになれるか? とは思う。

4時、図書館を出る。

近くにあったクレープ屋で、バナナクレープを買って食べた。

やきとりセンターに入り、ビールやホッピーなどを飲みながら、木村カエラ『NIKKI』を読む。ホッピーの『なか』は、焼酎が少ないと思ったが、お代わりを注文すると女の子店員がきて、「どのくらい入れるか教えてください」と言って、その場で焼酎を注いでくれた。その様子がとても可愛かったので、「じゃあこのへんで」と言い、ホッピーでちょうど5倍に割れるグラスの位置を指で示した。ふちギリギリを示したら、満タンにしてくれたのかなと思ったが、そんな人間は、オレが独裁者だったら死刑だ。全身に蜂蜜ぬって蟻塚放置だ。

死刑だ、なんて思った時点で、酔ってきたことが分かったので、勘定を払って店を出た。5時半だった。外はまだ明るかった。

駅に向かい、土産コーナーでゆべしを買った。駅構内には、ハンバーガーを売る店や、立ち食いそばの店があった。ここで昼飯を食べても良かったかもしれないと思った。

改札に入り、新幹線改札前のNewDaysで、ビールと、ホヤのつまみを買った。ホヤのつまみは、キャラメルの箱みたいなケースに入っていた。値段は300円以上もしたが、ホヤ自体、つまみとして好きなので、思わず買ってしまった。

6時半過ぎのやまびこに乗り、ホヤをつまみに缶ビールを飲んだ。ホヤは、生のホヤ酢とまったく違う味で、普通に美味しい珍味だった。

『NIKKI』読了。2019年、デビュー15周年を記念した企画で、一年間つけた木村カエラの日記。ちょうど、コロナ禍が始まる前の一年間にあたる。

長男が9歳、長女が6歳で、家庭のことが多めに書かれていた。ママ業を堪能しつつ、時には疲れ果てたり、落ち込んだりと、普通の人間として当たり前の喜怒哀楽がそこにあるが、基本的には性善説で前向きなカエラがいる。妻視点で描かれる夫の瑛太くんもかっこよかった。

ビールを3缶飲み干したあたりで大宮を過ぎた。酔いはそれほど進んでおらす、むしろ冷めていた。

中日とDeNAの試合結果を検索した。今日は、3-2でドラゴンズが勝っていた。8回裏でリードしていたのを知っていたので、勝つと思っていたが、ちゃんと勝った。柳に勝ちがついたのが嬉しかった。

9時過ぎ東京着。メトロで帰宅。夕食に中華三昧の塩を食べる。沢山の汗が出た。発汗機能がおかしいとは、つまり、こういうところだ。

シャワーを浴び、東野幸司の『ホンモノラジオ』を聞きながら、11時就寝。